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「熱い……」


アンナリーゼは、ベッドに横たわるレンブラントの額に触れた。顔は赤く上気し、額には汗が滲んでいる。


これは……。


「実は、3日程前から熱を出しておりまして……。ですが、レンブラント様はアンナリーゼ様に心配をかけたくない故、言わないようにと……」


ルネは苦笑しながら、レンブラントを見遣る。


「医師の見立てでは、普通の風邪らしいのですが中々熱が引かず……日頃からの疲労も影響しているのだと思われます」


想像もしなかった事実にアンナリーゼは、呆然として立ち尽くしていた。

レンブラントが風邪で寝込む姿など初めて見た。彼はどんな時もいつも元気で、体調が悪そうにしている所をこの11年間見た記憶がない。


だがもしかしたら、アンナリーゼが知らなかっただけで本当はとても疲労したり、体調を崩していたりしていたのかも知れない……。



「先程起き上ってこられて驚きましたよ。この3日間意識も朦朧としており、起き上がるのは疎か、殆ど話す事すら出来ずにいらっしゃったので……」


レンブラントがこんなにも苦しんでいるのに、自分はどうしょうもない事ばかりを考えていた。恥ずかしいやら情けない気持ちになる。


「きっと、アンナリーゼ様のお声が聞こえたからですね。レンブラント様は、いつ如何なる時もアンナリーゼ様の事ばかりを想ってらっしゃる故……。寝込んでいる最中も、うわ言でアンナリーゼ様の名前を呼んだり、手紙を書くと起き上がる事が出来ないのに、急に起きあがろうとしたりと、それはもう大変でした」


苦笑しながらルネはそう話すと、新しい布巾を取りに部屋を出て行った。


2人きりになり、アンナリーゼはレンブラントの側に腰を下ろす。


「申し訳ございません、レンブラント様。私何も知らなくて……何も、出来なくて……」


うなされるレンブラントを見て、アンナリーゼは眉根を寄せる。


「……寒い」


意識のない中でそう呟いたレンブラントに、アンナリーゼはどうする事も出来ずに戸惑った。ルネはいないし、部屋を見渡した限り予備の掛布もない。


どうしたらいいの……そうだわ!








「レンブラント様、温かいですか」


彼から返事はない。だが代わりに熱を求めるようにアンナリーゼの身体を抱き締めてくれる。


昔読んだ本には、人と人との体温で身体を温める事が出来るとあった。アンナリーゼはベッドに入り、レンブラントをそっと抱き締めたのだった。


レンブラント様、私が温めてさしあげます。


久しぶりの彼の匂い……酷く安心する。


そのままアンナリーゼは、うとうととし始め、暫くすると眠ってしまった。








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