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おはぎの回想

「おはぎ、ほら餌だよ。」

朝、にしきがスーパーの品出しの仕事へ行く前に、にしきが『人魚の餌』と書かれた数個の深緑色の粒の餌を与える。

にしきはそれを食べずに、ぼうっとしていた。

にしきの記憶は、海の底の、自分が海の人魚だった時のことを思い出していた。



おはぎの海の人魚の時の名前はソフィーナ。真っ白い肌に金色のうねりのある長い髪がおしりの下まであった。鱗も青みかがった綺麗なものだったし、大きさも今の体長15cmとは違い、人間の大きさであった。瞳は鱗と同じ色の青色で透き通ったような澄んだ瞳をしていた。

ソフィーナには、結婚する予定の婚約者がいた。同じく海の底の生き物で、体つきはイルカのような、でも人間のような擬態だった。名前は入夏(イルカ)で、背が高く、髪は茶色がかった髪で目も大きく全体的に美形だった。

海の人魚は、海の底の生き物達から大層大切にされていて、特別扱いされていた。ちょっとした魔法も使えたし、美しく芸術的。

彼女の人生のなかでもっとも光り輝いていた時間だった。(ライバルのマナが横恋慕して、策略でイルカを騙し、勢いで女王の座と共にイルカという婚約者を奪い取っていくまではだが。)

マナは黒髪のふわりとしたロングでソフィーナと同じくおしりまで長くあり、背は高く体も大きく、薄い水色の鱗の華やかな美人だったが少し感情的な性格だった。マナに比べてどちらかというと、ソフィーナは冷静な性格だった。

今までは、マナに殺されても、何度でも時空から助けが入り、イルカに会えると思い込んでいた。しかし、それは自分勝手だったと反省した。皆人生は1度きりなのだ。だから時空からストップがかかり、マナとのイルカをめぐっての三角関係に終止符を打たれたんだろう。

おはぎは、ソフィーナだった時のイルカとの記憶を思い出していた。

2人で笑い合い、仲睦まじく海の底を泳いだり、波長もぴったり合い、一緒にいるだけで幸せだった。

1つ、とても幸せだった宝物の記憶がおはぎ(ソフィーナ)にはあった。

イルカがソフィーナの誕生日にプレゼントを家に忘れてきたのだった。しかし、ソフィーナにとって、誕生日のプレゼントよりも、イルカ自身が自分の側にいてくれる方が重要だった。彼のちょっとした笑顔などが、ソフィーナにとって大切な宝物だったのだ。それ位、ソフィーナは、イルカに惚れ込んでいた。だから、マナの暴力的にイルカを奪った行為は許せなかったのだ。


しかし、そんな思いも過去のものだ。

ソフィーナいや、今はおはぎの15㎝の人魚はため息をつき、人工の人魚として生きていくことを決めた。




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