3つの世界の人魚
「お忙しいところすみません、ちょっとお伺いしたいことがあって…」
おはぎは、別のドアを開けて部屋を清掃している従業員におずおずと声をかけた。
「何でしょう…?」
従業員はおはぎにチラ…と目をやった。
おはぎが従業員の側までちょこちょこっと泳ぎ、彼女?の手にチップ(金貨1枚)を渡すと、
海のホテルのベッドメイクをしていた従業員の目がキラリと光った。
「人魚の世界の真実をご存知かしら?」
「…」
おはぎが渡した金貨の価値がかなりのものだったようで、そのせいか、今この部屋のベッドメイクが終わったら、もう家に帰るだけだからと私達の部屋まで来てじっくり話してもらうことになった。
ちなみにこの従業員は、人魚ではなく、たこの形をしていた。声は女性の声だったので、彼女、と表現した。
海のホテルの従業員達は魚やタコやイカ、ホタテなど、海の生き物の形をしつつ、それが少々擬人化されていた。
詳しく話を聞くと、この海の底には人魚の国は無いそうなのだ。変わりに海の底には海のお姫さまがいて、それは、人間達は来られない秘密の海底国らしい。
「実は人魚の世界には3つの世界の人魚がいると言われています。『海の人魚』『川の人魚』『人工海の人魚』があると言われています。私達が住むこの世界にいる人魚は『人工海の人魚』だけです。」
ベッドメイクの従業員は、先程整えてくれたベッドの側の椅子に座りそう話してくれた。




