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カガリくんの無茶

いつの間にかいいねが60行ってて嬉しいです。

ゴーレムの攻撃を躱して、躱して、躱しまくって、隙あらば反撃する。


「ソォイッ!」


胴体を狙って鋭い蹴りを放つ。しかしゴーレムは上体を逸らすことで回避した。

……コイツ。だんだんボクの動きに着いて来るようになって来た。


間違いない。このゴーレムは、ボクの動きを学習している。


元々、他のゴーレムとは違った様子を見せてはいた。

普通のゴーレムは人の言葉や感情に反応は示さないし、そもそも反応するような感情を持たない。

だけどコイツは違う。腕を簡単に外されたことによる驚く。ボクとカガリくんのいちゃもんに首を傾げる。

そういった反応を見せた。


まさかゴーレムが知能を持つなんて……Aランク並の強さに加えて、それはちょっと性能を盛り過ぎじゃないかな?

しかも挑発が効いてるはずなのに、しっかりと回復行動をする理性を保てる胆力を持ってるんだから、堪ったものじゃない。

このままだとボクの方がヤバいかもしれないなぁ。戦いの中で成長するコイツ相手に、耐久勝負なんていう危ない橋すら渡らせてもらえなくなる可能性が出て来た。


ゴーレムの攻撃を躱しながら、カガリくんを見やる。

ハンマーを構えて、いつでも殴り掛かれる準備をしていた。

だけどそれだけじゃなくて、全身をメイちゃんみたいに雷で纏っているのも見えた。

恐らく精霊魔法であろうことはすぐに予想が付いた。けど……


……え?待って。何してるの?

精霊でもないのに、人間のカガリくんが雷で肉体強化なんてしたら、身体への負担が大き過ぎるって!

人の身体は半分以上が水分で出来ている……下手したら感電死だよ!?


「ん?あれ……なんか身体が、痺れて来たな…。なんで?鳴とシルバーは大丈夫なのに…」


ほらやっぱり!?


「カガリくんっ!それは……」

「説明は、後でします!まずはそのゴーレムの身体に、ダメージを……与えてください!」

「ちっがーう!別に説明を求めてる訳じゃないよ!君は死にたいの!?今すぐその雷を止めて!」


ゴーレムの攻撃を躱しながら、カガリくんに警告する。

まだスカウトすらしてないのに、今この場で死なれる訳にはいかない。死ぬならせめてボクの足で殺されて死んで!


「申し訳ないですが、どうしても、やりたいことが……あるんです。その為にも、早くソイツにダメージを……って、なんか、腕の感覚が無くなって来ました!なぜでしょうか!?」

「その雷でしょ!やめなよ!?」


あーもう、どっちにしろ遅いか…。

ならさっさとカガリくんが思い付いたことをやらせるか、ゴーレムを倒すかしないと。


―――少し隙が大きいけど、なんとか気合いで避けて一発ぶち込むか!


一旦距離を取って、足に力を込める。

まだ挑発が効いてるゴーレムはボクを追って、足の剣で突きを放って来る。

ボクのマネのつもりかい?


「ガガガ、ピーピピ!」

「ゴーレムがボクの足技をマネるなんて、1000年早いっての!」


地面を壊し蹴って突っ込み、剣を躱し、懐に入り込む。

そして……


「悪魔の膝蹴りッ!」


コアがある胴体の真ん中目掛けて、全力で飛び膝蹴りをくらわせた。

大きな罅が入り、壁まで吹っ飛んでいった。

空中に逃げられる前に、もう一度地面を壊し蹴って追撃を仕掛ける。


「とりゃあーッ!」


この飛び蹴りさえ決まれば、あの装甲を砕いてコアを破壊出来るはず!


「ピーピピィー!?」


だけど……すんでのところでゴーレムが空中へ逃げてしまい、ボクの飛び蹴りは壁を破壊するだけとなってしまった。

くっそ!これだからAランククラスの魔物は嫌いなんだよ!


―――でももうこれ以上のチャンスは無いはず。危険だけど、今すぐ奴を追って……っ!


もう一度ゴーレムに追撃を仕掛けようとした。だけど、すぐにその足を止める。

空中に逃げて、今まさに傷の修復をしようとしてるゴーレムに光速で向かっていく、カガリくんの姿があったから。


「お前。回復する時、身体動かせねぇんだろ?」

「ガガ、ピピピー!?」


カガリくんは、逃げたくても逃げられない様子のゴーレムに向かって、ハンマーに雷を纏わせて振り下ろす。

なんの抵抗も出来ずに、ゴーレムは思い切り地面に叩き付けられた。


ボクはカガリくんが命懸けで作ってくれたチャンスを無駄にしない為に、一足飛びで突っ込んでいく。


「ピ、ピピー!」


だけどゴーレムは最後の悪足掻きをしようと、赤い瞳に光を収束させ始める。

まずいっ。アレはたぶん、遠距離攻撃…!追撃は……間に合わなそう!?


だけど今更止まることなんて出来ない。ここを逃せば、また修復される。

被弾覚悟で突っ込んで……


「ふんッ!」


―――ズコーン!


しかしそこに、カガリくんがまた光速で降って来て、ゴーレムの首にハンマーの柄をぶっ刺した。まるでゴーレムの行動を、予期していたかのように。

おかげで首は外れて、収束した光は霧散した。


「エレナさんッ!」


すぐに飛び退いて、苦しげな表情でボクを呼ぶ。

相当キツいはずなのに、ボクを助ける為にそんな無茶を…。


自分が出来る精一杯を行う健気な姿に、思わず頬が緩んでしまう。

……やだなぁ、もう……ますます欲しくなっちゃった。

なんとしても魔王軍に引き入れたくなる、良い人材だよ。君は。


「それはそれとして、後で説教だーッ!」


もう一度地面を蹴って縦回転しながら、ゴーレムの胴体目掛けて、かかと落としを食らわせた。

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