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ゴーレムの弱点探し

エレナさんの強烈な蹴りが炸裂し、上半身が地面に突き刺さるようにして埋まったゴーレム。

ギャグ漫画かよ…。


足をがむしゃらにぶん回して、エレナさんを遠ざけたゴーレムが頭を引き抜く。

そのゴーレムの姿を見た時、一瞬自分の目を疑った。


「嘘だろ?」

「わお…。装甲はかなり頑丈なんだねぇ」


ゴーレムの身体は、アレだけの攻撃を受けたのにも関わらず、傷一つ付いていなかった。

効いてないのか?エレナさんの蹴りだぞ。Aランクだからって、ここまで硬いものなのかよ…。


……いや。地面に埋もれてわからなかっただけで、単に自己修復しただけとかか?外れた腕をくっつける機能があるんだし、その可能性は高そうだ。


「ガガガ、ピピ!」


ゴーレムがエレナさんに斬り掛かる。

ヘイトは完全にあっちに向いてるようだ。


ゴーレムの斬撃を掠らせることなく躱すエレナさん。しかしあの人にだって体力の限界はあるはずだ。

なるべく早く決着をつける為に、奴の弱点となる部分を見つけ出すのが得策だろう。


ゴーレム種は四肢を外されると、なんの抵抗も出来なくなって、ただの壊れた人形と化す魔物だ。

だけどあのオレンジ色のゴーレムは、どういう原理でそれを可能としてるのかわからないが、外れた自分の四肢を引き寄せて修復することが出来る。

弱点を克服した、面倒臭いタイプだ。


次にあの装甲だが……


「エレナさん!」


俺はゴーレムの背後に回って、エレナさんに声を掛けながら、魔力玉をハンマーでかっ飛ばした。

まっすぐにゴーレムに向かって飛んで行く魔力玉は、当然避けられてしまう。


「ぶち抜きシュートッ!」


―――ゴツーンッ!


「ガガガ!?」


しかしその魔力玉は、エレナさんが華麗にボレーを決めて、見事ゴーレムの胴体にぶち当ててくれた。

たった一言声を掛けただけでこの連携……決まると気持ちいいなぁ。

……そういえばさっきの、技名なのかな?


空中へ逃げるゴーレムを見てみると、胴体に罅が入っていた。

が……すぐにそれは消えて無くなってしまった。確定だな。


やはり身体の修復も可能みたいだ。凄い治癒速度で、あっという間に傷が塞がってしまったぞ。

ほぼほぼ一瞬だ。なんて卑怯な性能してやがるんだ…。


「エレナさん。アイツが自分の腕をくっつけたり、傷を修復する原理がどういうものかわかりますか?」

「たぶんだけど、ゴーレム自身の魔力だと思う。ゴーレムの身体は魔力で組み上げられているからね。壊れた箇所を魔力で修復してるんじゃないかっていうのが、ボクの予想」

「魔力か…。それって、無尽蔵って訳じゃないんですよね?」

「もっちろん♪有機物も無機物も関係なく、魔力は有限だよ。……アイツは、ボクでも一撃でコアを破壊するのが難しいくらいには硬い。だからたぶん、ボクの体力とアイツの魔力の耐久勝負になると思う」


耐久勝負か。

だけどあのゴーレムの魔力があとどれくらいなのかもわからないのに、それは割と危険な気がする。

エレナさんからいつもの余裕そうな笑顔は消えてるし、「それで勝てるかなぁ?」と自分でも疑問に思ってそうだ。

やっぱり可能ならすぐにでも倒すべきだろう。


そうなると一つ、俺に選択肢が出て来る。

精霊魔法を使うか否か、である。今のところ、俺の一番の武器と言ったらこれくらいだ。


「挑発!さぁ、こっちに来いっ!」


エレナさんが前に飛び出して、もう一度ゴーレムと接敵する。

彼女の強烈な蹴りで四肢がもがれようとも、致命傷となる傷を負わされようとも、ゴーレムはすぐに距離を取って自己修復する。

その間に、先ほどの考えを巡らせる。


……雷を利用した加速なら、初見殺しでゴーレムの隙を突くことは可能だと思う。

しかし俺は鳴のように莫大な魔力を保有していない。精霊魔法を使うと、すぐに魔力切れを起こす。雷撃を精々が三、四発打てる程度だ。

しかも鳴みたいな火力は出せないし…。だからオークキング戦でも使おうにも使えなかった。

魔力切れで動けなくなるのは避けたい。


あと雷魔法なんて使ったら、エレナさんに鳴が精霊であることを気付かれるかも…。


―――いや。この際それはどうでもいいことか…。


戦いで一番大事なのは、きっと死なないことだ。

あとのことの問題なんて今考えても仕方ない。


「もー!逃げるな!?……くっそ〜。さすがに空飛ぶAランク相手に空中戦は危険だしぃ…。やっぱり耐久勝負か」


空中へ逃げて、傷付いた身体を爆速で修復するゴーレム。

あの回復速度を上回る一撃を与えられないなら、その暇を与えないことが出来ればいいんだろうけど、空中に逃げられたら―――空中?


少しばかり、違和感を覚える。


―――そういえばあのゴーレム、なんで攻撃しながら回復しないんだ?


武器である手足を失った時はわかる。エレナさんに攻撃する隙を与えやすくなるから。

だけど……あんな超スピードで回復するんだったら、別に回復と攻撃を同時に行っても良いと思うんだが…。


「さすがに二発目の攻撃に耐えられる程の耐久力はない?」


でもエレナさんの、胴回し回転地獄蹴りなんていう即死級の蹴りを受けても耐えられる装甲なんだぞ?

警戒するのはわかるが、普通な方……と言っても十分やばい蹴りだけど、まだ普通な方である蹴りであれば数発は耐えられそうだ。


アレくらいだったら回復しつつ、攻撃の手は止めなくても良さげに見えるが……まさか。


「……一発勝負になるだろうけど、やってみるか」


俺の考えが合ってるかどうか確かめる為に、全身に雷を纏わせていく。すぐ行動に移せるように。

次にエレナさんがゴーレムに罅を入れた瞬間が……勝負だ。


いい加減、戻って来ない俺たちを鳴が心配してる頃だろう。

早く戻って安心させてやりたい。

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