ギモン・スキル2
シウの不安そうな顔にタンクの台詞がフラッシュバックする。
『あの人を敵に回してまともにゲームが出来ると思うなよ』
面倒なことにあいつはシウの前でこの世界を『ゲーム』と言い放ちやがった。
これは、拙い状況に陥っている可能性がある。
と言うのもシウを含めるこの世界の住人が自信をゲームの中の人物と認識しているかどうかが問題なのだ。
認識した上で演じているのであればさほど気にしないで済むのだが。
もし、認識していない状況だとしたら・・・。
想像しただけでも寒気がする事態へとおちいるだろう。
正直、これが怖いのだ。
じゃあ、どうするか決まってるだろう全力でごまかす。
「いやー。いい天気だね。風も気持ち言いし」
「どうしたんですか。いきなり。どちらかと言うとジメジメしてるような気がしますが」
「んー。そうかな」
「なんだかごまかしてませんか」
「いやぁ・・・そうかな。そんなこと無いんだけどなぁ」
「それより質問ですが」
「ねぇ今からいく町ってどんなところなの」
「何をいきなり」
全力でごまかすためこんなやり取りをしばらく続けたのだが、シウがジト目でこちらを見てきて耐え切れずに諦めた。
何故だかシウには勝てる気がしない。
「解ったよ。質問ってなんですか」
「すいません大切なことなので聞いておきたくて。何故、あの人たちの行動が解ったのですか」
予想とは違う疑問に安堵した。むしろ答えやすい疑問でよかったぐらいだ。
『何、安堵してるんですか』とシウは不信に思っているようだが今の僕は気にしない。
「あれは、あいつ等の情報からどう行動するか予測して、それが全部当たっただけだよ」
「あれが、予測ですか」
シウは驚いているようだが、正直困る。
なんせ今回は、テンプレ的な予測を立てたら相手が本当にテンプレみたいな事やってきたからな。
「今回は、たまたまだ。いつもは7割程度ぐらいしか当たらない」
「7割でも凄い気がしますが・・・。まぁそんな未来予知みたいにポンポン当てる人はいませんよね」
「あー。それがいるから困るんだよなぁ」
「え。本当にいるのですか」
「まぁ僕の師匠なんだけどさ」
「師匠ですか」
シウは若干まだ不思議そうだが、こればかりは仕方ない。
実物を見れば一発で理解するだろうが、正直に言って師匠には会わせたくない。
師匠の思い出話は極力したくないほどには苦手だ。
「どんな人なんですか」
「一言で言えば変人かなぁ」
「変人ですか」
「初対面でいきなり僕のパンツの柄言い当ててドヤ顔するような人だから」
「パンツですか。もしかしてレイさんも私のパンツを」
顔を赤くしてスカートの裾を抑えるシウ。
「あー。僕には出来ないし出来たとしてもしない。師匠は初対面の人のパンツの色と柄を当てて相手の反応を楽しむという悪癖があってね」
「なんていうか。女の敵みたいな人ですね」
シウは嫌そうな顔をしている。
それが、そうでもないんだからたちが悪い。
例えるならそう、首謀者で実行犯なのに、なぜか怒られるのが無関係の僕という感じだな。
実際そう言うことがあったし間違いない。
「まぁ子供の悪戯ばかりやってるような人なんだけどさ。先読みに関しては右に出るものは居ないと思われる人なんだ」
「想像が出来ませんね」
「まぁ、会う事も無いだろうし。そんなおかしな人が居るんだ程度に理解しとけばいいよ」
「そうですか。残念です。その先読みをぜひ習いたかったのですが」
「基礎ぐらいなら今度、教えてあげるよ。さぁそろそろ行こう」
「はい、ではまたスキルについてお話しますね」
そして、再び歩きながら講義が始まる。
「称号の取得ボーナスの種類には『特殊アイテム』『特殊スキル』『特殊システム』の三種類が有る所まで話しましたよね」
「あぁ。『特殊システム』はよく解らないってのも聞いた」
「そうですね。では『特殊アイテム』と『特殊スキル』はそれぞれ『神のスキル』『神のアイテム』と呼ばれている事はまだ話してませんよね」
「あぁ。聞いてない。それにしても、『神のスキル』に『神のアイテム』か。神々しい名前だな」
「確かに仰々しい呼び方だと思います。しかし、そんな名前になった訳があります」
シウは人差し指を立て自分の顔の前へとだした。
「しかも、シンプルな理由です」
「それは、何だ」
「それは・・・。再現が出来ないからです」
再現できないか。納得した。
このゲームはスキルを取得して無くてもやろうと思えばそれに似たような事が出来る。
恐らくアイテムも作ろうと思えば既存アイテムの大半は作ることも可能だろう。
つまり、現状持って無くても如何にでもなるというのがこのゲームの特徴になるだろう。
だが称号ボーナスの物はそれが出来ない。
『特殊スキル』は真似る事が出来ず、『特殊アイテム』は作れない。
だから付いた名称が『神のスキル』に『神のアイテム』か。
「その様子だと納得していただけたようですね」
「ああ」
僕の表情をみて聞いてきたシウに短く答える。
「今回私は『奉仕するもの』と『苛められる者』。二つの称号を手に入れました」
「『苛められる者』かぁ」
僕の『苛める者』と対になっているようで若干げんなりする。
「『苛める者』『苛められる者』なんてちょっと引くような名前ですけど、これでもりっぱな愛の証なんですよ」
「何その愛の証。変態じゃあ有るまいし」
ちょっと引いている。
「この称号の取得条件は、恋人同士のイチャつきの延長上に有る称号ですから」
あぁ要するにイジメでは無く。恋人同士に可愛い悪戯といった程度のことなのか。
「どのみち、他人には知られたくない称号だな」
「その点は、大丈夫ですよ。相手には称号を見る術がありませんから」
「ならいいが」
「それでですね。ボーナスは『ドM』というスキルです。ダメージを受ける度に最大MPの1パーセントづつ、MPを回復します」
「なぁそれって強すぎじゃないか」
要するに100回ダメージを受ければMPが全快すると言うことになる。
「ですからそれと類似した効力を持つ称号が見つかるまでの間この称号を如何に取れるか研究されてました。そして解ったことは、取得条件には愛が絶対条件だということです」
「愛か」
「称号目当ての行動では取れないそうです。ですから、この称号が取れて嬉しいのですよ」
顔が仄かに熱くなる。
僕達がこれを取れたということは、つまりそう言うことだ。
「わかったから。これぐらいで勘弁してくれ」
「ふふふ。解りました。つぎに『奉仕するもの』ですね」
「説明頼む」
「『奉仕するもの』のボーナスは『回復奉仕』というスキルですね」
「回復奉仕と言うのは奉仕をした相手のHPを回復させることが出来ると言った所か」
「あながち間違いじゃないです。付け加えるなら、状態異常も回復できる上にスキル発動にMPが必要ないといったところでしょう」
「これまた強いな」
「自分を奉仕できないので自分を回復できないという欠点はありますが其れを差し引いても強いですね」
称号のボーナスは強いものが多いのかもしれない。そう考えると僕の獲得した称号も期待できるのかもしれない。
僕の称号ボーナスも楽しみだと期待に胸を躍らせた。
ちょっと説明多いですがどうでしょうか。もう少し小分けにしたほうがいいのかなぁと思いつつ書いてました。




