ヘンリクセン王国 宝石の行方編2
「……しっかしあれじゃな。宝石というのはやはり魔性のものなんじゃな?」
「というと?」
「これだけの商人がその幻の宝石とやらを狙いに買いに来ておる。それに、儂らの依頼人とか、来れないけれどほしい商人、…商人だけじゃないな。ほしい貴族などが、儂らみらいな人間を使って来ているわけじゃ。その幻の宝石が本物かどうか、も確かめずにの」
く、っくっく、と笑いながらそういったロマーナ。
「…宝石、だけならここまで人は集まらないとは思いますけどね」
「まぼろしの、っていうのがきも」
「そうじゃな。人はまぼろし、とかめったに出ない、という言葉に弱いところがある」
「言われてみれば…。でもそれは人だけじゃない、でしょう?」
「かもしれんな。儂も幻のとかめったに出ない、とか言われる酒にあったらこうなるかもしれぬ」
ふと周りを見るともちろん私達みたいな人間、もいればエルフやら魔族の人たちやら獣人やら、色々といる。このヘンリクセン王国がそれだけ多種族住んでいる、とも言えるが、それだけではないだろう。時折、何ヶ月ぶりかに聞こえる我が母国の言葉も耳にしているから、このヘンリクセン王国に色んな国から集まっているということになる。
まあ、人が集まる所には騒ぎがつきものであり、ここ何日かで何回か喧嘩を見たりもした。私達は巻き込まれないように遠目で見ていただけだが。いやほら、巻き込まれて痛い思いやら死にそうになるのはこの国ではお断りな所あるし。
「……ところで、しんぎふめい、って」
「いや、幻の宝石なのじゃろ?一体誰が売りに出したのか、それが本物なのか、ここのオークション会場の主であるライル社しかわからんわけじゃ。いや、そもそもライル社も本物かどうかわかっておらぬかもしれぬ」
ロマーナの言葉に、何も言い返せなくなる私。いやほんとそうなのだ。今の所、依頼人の商人から「これ偽物ですね」みたいな話がないから、ここでオークションにかけられているものは、全て本物だ、とは思っているが、狙いのものが本物、であるかどうかなんてわからないのだ。
これがただのバカ高い宝石とかなら、あの商人なら見たことだって売ったことだってあるだろうから偽物を掴ませられれば、私達にのちのち、になるが言ってくるだろうし、そうなったら商人がライル社を訴えるということになるかもしれない。私達がしったことではないが。
ただ、今回は幻の宝石である。商人も見たのは本での写真と情報だけ、と言うし偽物をかわされたとしてもわからないのである。これが商人から他の人間に渡れば、商人の信用に傷がつく。だが、それは。
「ライル社だって、わかっているはず、です。ここで偽物を売ったら自分たちがどうなるか、なんて」
「確かに。確かに。ルネはかしこいの」
「なんか、ロマーナさん、私のことバカにしてません?」
「しておらんよ。そうじゃな、ライル社だって、商人だったの。きちんとしたところからしか、商品は手に入れないものな」
「そうです。ちゃんと付き合いの長い所からきちんとしたルートで手に入れたもの、ですよ」
「………そうだと、いいな」
何となくそうでもない商品も見たような気がしたけれどもそれはそれ、これはこれなのだろう。少なくとも私達が今まで知っていた情報で、ライル社が盗品を扱ったという話は聞いていない。胡散臭くても、決して盗品はないのだろう。盗品は。
あと、そういうのはルネとビーチェが手を出そうとしたのを私とロマーナが止めているから、私達は関与してない、っていうのもあるのだが。




