ヘンリクセン王国 宝石の行方編1
ヘンリクセン王国の王都、ハフグレーン。そこにある、ライル社所有のオークション会場。そこに数日前から正装して私達は来ていた。
ビーチェは最初は「自分と同じような人間が売られるんじゃないか」と思って警戒をしていたが、この国は奴隷禁止でそういう事をやるととんでもなく重い罪になるとわかると、オークションを楽しむようになっていた。まあ、他の国ではこういうところでは人が売られているという話は聞くし、現にビーチェは売られていたわけだし、そうなるのはわかる。
…いや、国に気が付かれないように売っている会社と買っている人間はいそうだけど、ここを所有しているライル社はそんなことがない、…とは思う。いや、これで裏でやってますよ、なんて言われたらどこを信じたらいいんだ、ってなるけれども。
さて、私達は依頼を受けてここにいるわけだ。依頼主はビーチェを”処分”してほしいと依頼してきた商人。どうやら今回は、ここで売りに出されると言われている幻の宝石がほしいらしい。参加したかったが、ちょうど大きな商売の話が入ったらしく、この国に来ることになった私達が代理で参加することになった、という。とりあえず上限は決まっていないし、なにか他にも良いのがあったら仕入れてくれ、と言われている。とはいえ私達はオークション初心者だし何がいいかはよくわからん。基本宝石に全力で行きたい、のだが。
「次はチョーカーかぁ…。うーん、ビーチェちゃんはどうおもう?」
「…………ううーん、そこまでたかね、でうれるかどうかはわからないけどいいもの、だとはおもう」
「よっし、参加だ!」
「うむ。書いてくるぞ」
「………私達のお金じゃないからいい、が…」
それなりに競りそうなものを選んでは参加し、取れたり取れなかったりしている私達。私達に依頼をした商人の苦笑いが目に見えるが、それでも文句を言ってこないあたり、商人から見てもわりと当たりなのを取れてはいるのだろう。売れたら私達の口座(ドノン共和国にある銀行で作った)に売上金の15%を入れてくれると言うし、当分お金には困らない、はず。困らないと良いな、分からないが。
あ、そうそう。きちんとルネの実家にも連絡を入れている。いやほら、そうしないと私の体いくつあっても足らなそうだし。…いや、ついさっき、ロマーナの話をしたら「ひっ?!あの悪魔を?!」って言ってたし連絡しなくても大丈夫そうになったけれども、まあ、それはそれ。これはこれである。というか、あの人達がビビるレベルなんだなあ、ロマーナ。
でも、ビビる気持ちは正直わからなくもない。私もやはりビビる時はあるもの。
「…なんじゃなんじゃ。儂の魅力にやられたか?」
にひー、と笑って私を見たロマーナ。いや笑う姿は可愛い、とは思うし美人さんだと思うが、それ以外が割とかっこいいしこわいんだよなあ。…うーん。




