船の上 合間の話編2
「まあ、しかしあれじゃな。一体何をやらかしたんじゃ」
「なに、とは?」
「いや、あの国、余程のことがない限り放逐なんてせんじゃろ。ああいや、ちょっとまて。考えさせてくれ」
そう言って顎のあたりに手をやって考えるロマーナ。外見年齢ではそんなに変わらないように見えるが、実際問題おいくつなのだろうか。聞いてみたい気もするけれど、聞いたら間違いなく私は死ぬ。事故死に見せかけてとかじゃなくそのまま肉塊になる。いや、こんなところで肉塊なんてされたらとんでもない被害を色んな人に与えかねないからよしておこう。
一回だけお風呂で背中を見せてもらって、そのときに力を抑える印がちらりと見えた気がしたからきっと魔物とか上位種とかそういう種類の人達、なんだと思う。そりゃ、本能でかなわないと思うわけだ。ルネかビーチェがロマーナの好みの人で良かった。
「………なんじゃろ、どうしてもあれじゃな。恋愛関係のもつれ、それもルネがとっても高貴なお方の后とかだったとかしか考えられないんじゃが…」
「なにか見てきた????」
「あたりかの?!?!?!?!?!いや、儂そういう疎いから一番遠そうな所から行こうと思ったのじゃが…」
「あたりだね。………まあ、後悔はしてないよ。彼女に不便は強いているかもしれないけれどね」
「それは…ないじゃろ。不便を強いられてると思えば、彼女は言うじゃろ」
「………かもしれない。私は色々と考えていえなそうだけど、彼女は色々言うからな」
そういう所に救われている私がいて。だからこそ、こういう風に旅に出て生きていようと思えるのだから。
「いいコンビだと思うのじゃよ。そりゃ、儂がお嫁さんにほしいと思う相方だからそうじゃないと困るのじゃが」
「ハッハッハ。そうじゃなかったら奪われていたかな?」
「そうじゃな。何回も言っているように、やって奪っておったじゃろう。もちろん、ビーチェも一緒にな」
ニヤリと笑ってそういったロマーナ。実際出来るだろうから言うんだし、やらない間はしっかりと楽しませておくれよ、みたいな圧を感じる。うん、これ楽しませることができなくなったら私はやられるかもしれない。そうなったら、ごめんよ、ルネ、ビーチェ。
ただ、まあ、そうなったら何も言わずにやるんだろうな、という思いもあるしそういう信頼感もある。だから、言われてる間になんとかロマーナの好みの方がもうひとりぐらい増えてくれないかな、って思っている。




