聖女と女神様
くそぉぉぉ! あのおっぱいちゃんのせいで、また入れねぇ!!!
俺は歯を噛み締めた……って、まぁ、蚊に歯なんてねぇんだけどさ。
そんなことより、あのおっぱいちゃんだよ!!
幼い顔立ちに、ふわふわの金髪ツインテール。
天使みたいな笑顔を浮かべてるくせに、その胸は推定95センチオーバーの爆乳Eカップ……いや、もしかしてF寄り?
神殿の聖衣が悲鳴を上げてるぞ、あれ。
布が「もう限界……」って泣いてるのが俺の複眼にははっきり見える。
俺が神殿の門に近づくたび、彼女はどこからともなく現れて、
「邪悪な気配ぃぃぃ!!」
と、聖魔法の光をぶちかましてくるんだ。
俺はただ、女神様に文句を……じゃなくて、祈りを捧げに来ただけなのに!
一匹の弱々しい蚊が、なんで毎回「聖なる浄化の光」連発されて、黒焦げになりかけるんだよ!
くそぉ、血ぃ吸うたろかぁ!
「俺の寿命……あとわずかなんだぜ? 夏の終わりが近いんだよ……!」
最後ぐらい、女神様に文句の一つでも言わせてくれてもバチは当たらねぇだろ!
ついでに「胸がでかすぎるシスターさんの件」について、意見を述べる権利くらい——
そう毒づきながら、俺は神殿の石段の陰で小さく羽を震わせていると、どこからともなく、きらきらした可愛らしい声が響いた。
『えへへ~……蚊さん?害虫は神殿に入れないんだよぉ』
え、誰!?
俺の複眼が慌ただしく周囲を掃く。声の主はどこにも見えない。
『ふふっ、面白いよぉ! 蚊のくせに女神の神殿でそんなにムキになって! わたし、ちょっと気になっちゃった♪』
声は明らかに楽しげで、鈴を転がすような少女の笑い声が混じっていた。
荘厳さとか威厳とかは微塵もなく、むしろ好奇心旺盛な女の子が悪戯を見つけたみたいなノリだ。
『ねえねえ、特別に話を聞いてあげる! 女神のわたしが、直々に! ……ただしぃ~、条件があるけどねぇ~』
俺は固まった。
まさか……この声、女神様本人!?
しかも、予想以上に可愛い声で俺をからかってる……!
『あの聖女ちゃんの胸について、もっともっと具体的に、熱~く語ってみせて? わたしが気に入ったら、ご褒美あげちゃう! どう? がんばってみる~?』
…………は?
『えへへ~、どう? がんばって語ってみて~♪』
女神様の声が、ワクワクした少女みたいに弾んでいる。
俺は複眼をぐるぐる回しながら、覚悟を決めた。
「……わかりましたよ、女神様。ストレートにいきます!」
俺は小さく羽をブンブン震わせ、大きく息を吸うと語りだす。
「あのおっぱいちゃんの胸はマジでヤバいんだよ!!95超えてるEカップ、いや絶対F寄りだろあれ!
幼い顔してるくせにあの爆乳、完全に反則だろ!神殿の聖衣がパンパンに張り裂けそうになってて、
動くたびにユサユサ、プルンプルン揺れて、俺の複眼が釘付けになるレベルなんだよ!!
あの谷間、深すぎて蚊の俺でも吸い込まれそうなんだよ!
柔らかそう、温かそう、重そう、でもプリプリしてて……触ったら一生分の血を吸った以上の幸福感が得られそうで、でも触ったら即座に聖魔法で灰になるんだろこの野郎!!
でかすぎ、柔らかすぎ、聖女にあるまじき凶悪さだ!
あれで『邪悪な気配!』とか言ってる時点で、お前自身が一番の邪悪な誘惑じゃねぇか!!
あんなもんを前にしたら、普通の男は祈りとかどうでもよくなって、邪悪な妄想を垂れ流すだろっ!
あれだけ凶器みたいな胸をぶら下げておいて、聖女面して清純ぶってるのも、余計妄想に拍車をかけるんだよっ!
『邪悪』を生み出してるのは、お前のそのでかい胸なんだよっ!!」
俺は一気にまくしたてて、息切れしながら石段にへばりついた。
熱くなりすぎて複眼が熱を持ってる気がする。
……しかし、俺は蚊だから、全然興奮しねぇんだよな……
複眼で見てても『でけぇなー』と思うだけで、心臓も高鳴らねぇし……あれだけ熱く語ってみても、全然リビドーが迸らねぇ、くそぉ!
『きゃはっ♪ 蚊さん正直すぎ! 「興奮しねぇ」って、すっごく面白いよぉ~! えへへ、聖女ちゃんの胸がでかすぎて邪悪とか、蚊なのにそんなこと思うんだね!』
女神様の声が、ますます楽しそうに弾んだ。
すると、急にいたずらっぽい、くすくすという笑いが混じった。
『ふふっ……じゃあさ、興奮できるようにしてあげようか? わたし、女神だもん♪ 簡単だよ~?』
その提案に、俺の複眼がカッと見開かれた。
「ぜひ!!」
思わず食い気味で返事をしてしまった。
蚊の俺が何を期待してるんだって話だけど、反射的に出てしまったんだよ!
すると、女神様の声がさらに小悪魔っぽく、甘ったるく変わった。
まるで悪戯を思いついた少女が、にやにや笑ってるみたいな……。
『えへへ~……でもぉ、興奮した後どうするの?
その身体で発散できるの? 蚊さんのちっちゃな身体で、聖女ちゃんのあの大きなおっぱいに興奮したら……どうやって発散するつもり~?』
…………。
一瞬、沈黙が落ちた。
俺のちっぽけな蚊の脳みそが、真っ白になった。
「…………は?」
発散? この身体で? 俺は蚊だぞ!? 針みたいな口吻で血を吸うことしかできないのに、興奮したあとどうしろって言うんだよ!
聖女の胸に突っ込んでいって「吸わせてくれ!」ってなるのか!?
パチンって叩き潰されて終わるだろ?
女神様は俺の動揺をまるごと楽しんでいるのか、声がますます楽しげに響く。
『ふふふっ♪ どうするの~? 教えて? 蚊さん♪』
……女神ちゃん、君はただの小悪魔だろ!
可愛い声でこんなこと言うなんて、完全に性格悪すぎる!!
「あの……女神様……? ちょっと待って……俺、ただ血が吸えればそれで…………」
『え~? 今さら逃げようとしてるの~? かわいい♪』
完全に玩具にされ始めていた。
『くすくすくす……蚊さん、ほんっと面白いから、少しだけ弄っちゃお♪』
女神ちゃんの声が、完全に小悪魔のそれになっていた。
いたずらっ子が悪戯を思いついたときの、ワクワクした笑い声。
女神なのに小悪魔とは……
そして、次の瞬間——
俺のちっぽけな蚊の身体が、ぱあぁっと淡いピンクの光に包まれた。
「え、ええっ!? なにこれ!? 体が熱っ……!?」
『ほら、聖女ちゃんを見て♪』
言われるがままに、石段の陰から聖女のおっぱいちゃんをチラリと覗いた瞬間——
ドクン!
俺の複眼の奥で、何かが爆発した。
「お、おおおおっ!? このリビドー!! なんだこの波!! 胸が……あの爆乳が、ヤバいくらいエロく見える!! 柔らかそうで、揺れそうで、谷間が深すぎて吸い込まれそうだ……!!」
今まで「でけぇなー」くらいにしか思わなかったのに、急に全身が熱くなって、羽が小刻みに震え始めた。興奮してる。明らかに興奮してる。でも——
「……って、興奮したけどどうすりゃいいんだこれぇぇ!! この体で何ができるんだよ! 針で刺す以外に選択肢ねぇだろ!!」
パニックになりながらも、俺の足は勝手に動き出していた。
『ほら、聖女ちゃんの血吸ってきなよ~♪ 今ならいけるよ?』
女神ちゃんの声が、甘く誘うように響く。
俺は言われるがまま、ふらふらと聖女に向かって飛んでいった。
聖女ちゃんはすぐに俺の気配を察知して、いつものように胸を揺らしながら立ち上がった。
「邪悪な気配……! 退散しなさいっ!」
聖魔法を放とうと手を掲げたその瞬間——
ピキッ。
見えない力に全身を拘束され、彼女の動きがピタリと止まった。
「え……? あっ、動けない……!? な、なにこれ……!?」
必死に体をよじって、見えない拘束から逃れようとする聖女ちゃん。
大きな胸が、聖衣の中でぐにゅんぐにゅんと激しく揺れ、彼女の幼い顔が赤らんで困った表情を浮かべる。
その姿が、さらに俺を興奮させる。
「うおおおっ! 色っぽすぎるだろそれ!! 暴れてるだけであの胸が……!! ますますヤバい!!」
興奮MAXの俺は、聖女ちゃんの首筋めがけて一直線に突進した。
「では、いただきます!! 美少女の血ぃぃぃぃ!!!」
チュッ……!
俺の針みたいな口吻が、聖女ちゃんの白い肌に刺さった瞬間——
「ひゃうっ!? あっ、なに……!? 熱い……!」
聖女ちゃんが小さく甘い声を漏らした。
俺は夢中で、彼女の血を吸い始めた。
普段よりずっと甘くて、濃厚で、興奮で頭がおかしくなりそうな味……!
しかし、吸いながらも心のどこかで叫んでいた。
(……吸ってるだけじゃん! 興奮してるのに、この体じゃこれ以上何もできねぇ!! 女神ちゃん、完全に俺を玩具にして遊んでるだけだろこれ!!)
一方、女神ちゃんの笑い声が頭の中に響き渡る。
『きゃはははっ♪ 蚊さん必死すぎ! 顔(複眼)が真っ赤だよ~? どう? 美少女の血、美味しいでしょ? ふふふっ、もっと吸っちゃっていいよ♪』
チュッ……チュクチュク……。
俺は夢中で聖女ちゃんの首筋に針を刺し、甘い血を吸い続けていた。
極上で、濃厚で、ほのかに甘くて、フルーティーみたいな……まさに美少女の血。
遊ばれていると分かっていても、この誘惑に抗えない。
血を吸われている聖女ちゃん——
「んっ……あっ、は……! 熱い……何か、……あんっ!」
甘ったるい声を漏らし始めた。
「やっ……だめ、あん……ひゃうんっ!」
体をびくびく震わせ、拘束されたまま胸を大きく上下させながら、幼い顔を真っ赤に染めて喘いでいる。
あの爆乳が聖衣の中で激しく揺れ、聖女の清楚なイメージが完全に崩壊しつつある。
(うおおおっ! 血吸ってるだけなのにこの反応!? 聖女ちゃんエロすぎんだろ!! 女神ちゃんの力か!? 俺の吸血がただの吸血じゃなくなってる??)
興奮と罪悪感と快楽が入り混じり、俺のちっちゃな体は震えが止まらず必死に血を吸い続ける。
やがて、満足するほど血を吸い終わった瞬間——
ドクン……!!
俺の中で、何かが大きく弾けた。
「……あ。」
急に頭が冷めた。
さっきまでのムラムラが、潮が引くようにスゥゥゥっと消えていく。
「……は? 俺、今何やってんだ?」
複眼で自分を見つめ直す。
体長3ミリの蚊が、美少女聖女の首筋に刺さったまま、血を吸い終わった後で放心している図。
しかもさっきまで「うおおお興奮!」とか叫んでた自分が急に恥ずかしくなってきた。
……うん、賢者タイムってやつだね。
聖女ちゃんはまだ拘束されたまま、息を荒げているが先ほどまでの様に興奮することはない。
一方、頭の中では女神ちゃんが大笑いしていた。
『きゃははははっ♪ 蚊さん、賢者タイム入っちゃった~!? 顔(複眼)が一瞬でしょぼーんってなってるよ! かわいすぎるんだけど! 血吸ってる最中はあんなに必死だったのに、終わったら即醒めるとか、蚊ってほんと情けないねぇ~。くすくすくす……どう? 少しは発散できた? それとも……まだ足りない? もう一回吸っちゃおうか♪』
俺は聖女ちゃんの肩から離れ、石段まで全力で逃げ帰りながら、心の中で全力で叫んだ。
「女神ちゃん……!アンタ絶対悪魔だろぉぉぉ!!」
女神ちゃんはケラケラ笑うだけだった。
……うん、この小悪魔女神ちゃんとは係らない方がいい。
尚、血を吸ったことで、聖女ちゃんの名前が判明した。
ミリアちゃん、15歳。
因みに90のDだそうだ……。蚊の俺から見れば大差ないよな。




