1-9:⚡︎ LCU整備 其の参
ー雷撃分散盤調整庫 ネイル装填作業 ー
車の両側に3機ずつ並んだ計6機のロボットアームと、その後ろにグリスの付いたおびただしい量のネイルが装填された繰出機が見える。
レーザーポインターで示された位置に正確に車を停め降りてくるエル。
ロボットアーム操作盤の電源を入れると、それまでバラバラな位置で止まっていたアームが一斉に動き初期設定位置へ整然と直る。
「今日は…2番までで、3800っと…」
操作盤のモニターに表示されたプレート上面図の区画指定と数値を打ち込む手元が見える。
シグナルが赤から緑へと切り替わる。
「ポチッとな。」
エルが【決定】ボタンを押すと、うなりを上げて動き出す2台のロボットアーム。
繰り出されるネイルが雷撃分散盤の上面にある穴の空いたプレートへもの凄い速さで組み込まれていく。
その間に排出されたネイルを再利用するために、検査・修正装置にそれを集めて放り込むエル。
錆の進行が強すぎるネイルが弾かれてはダストボックスへ入っていく。
「錆弾増えてきたな…どっか漏水でもしてるのかな?」
分散盤の隙間をフラッシュライトで照らしながらチェックをするエル。
漏水チェックが終わったのも束の間、ものの15分ほどで3800本のネイルの組み込みが完了する。
車を少し前に出して倉庫の中央へトラックを移動し、畜雷ユニットをテストモードで再起動するエル。
ネイルと冷却プレートがゆっくりと連結していく。
冷却プレートの最大容量位置までネイルが下がると初期位置へ戻る様子が見える。
冷却プレートに残ったプツプツと開いた細かい穴が元通りになりテストモードからスタンバイ状態へと移行する畜雷ユニット。
最後にガードとラジエータを組み付けて全ての工程が終了となる。
面倒な作業が多く時間もかかるが「整備は忍耐強く丁寧に」というVの言葉をエルは大切にしている。
「よし、整備終わり!Vは…アレやってんのかな?」
車の電源と整備庫の灯りを落として奥の部屋に向かうエル。