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▼雷撃都市  作者: 亜久津カナ
▼雷撃都市 ー第壱章ー
15/32

1-15:⚡︎ EVC整備

ーエルの小型ガレージ前ー


扉に近づく足元。

電子音が鳴り自動で開錠される音が聞こえる。

内部の湿度をコントロールするために搭載された除水フィルターが停止し、溜め込んだ煙のような湿気の塊を外部へと吐き出す。


扉が開くと中にはエルのEVCと大きな工具箱でぎっしり埋まっている。

EVCをガレージの外へと移動するエル。


「やっぱりもう少し広いガレージ欲しいな…」


さらに小型油圧ジャッキを持ってきてEVCの前後のタイヤを浮かして固定する。

固定されたEVCに跨り、サスペンション上部にあるジャックとSPをケーブルで繋ぎSPを操作するエル。


「まずはエアーを抜いてっと… フロントはもう少しダンパー効かせた方が良さそうだったな… +0.25くらい上げてみるか… リヤはプリロード少しかけるかな… ぶつぶつ…」


SPをいじるたびにサスペンション内部からはスプリングが変化しているような風変わりな音がする。


「あ!油面見なきゃだったんだ!!もーーっ!」


段取りを間違え頭を抱えるエル。

EVCから飛び降りガレージの中からサスペンションと同程度の太さであろう円筒形のオイルゲージを持ち出す。

それをサスペンション上部に差し込むためにケーブルを抜く。


「あーもう、やっぱり面倒だなぁ… 早くサイドアクセスのサスにしたいな… っと油面+5mmで様子みるか…よっと。」


オイルゲージの数値を設定しサスにそれを差し込むと、ゲージ内部のタンクがサス内部のオイルを吸い上げ不純物を取り除き再度送り込む様子が見える。


ゲージのシグナルがグリーンに点灯しロックが解除される。


中に残った不純物混じりの劣化オイルを廃棄物専用下水溝に捨てるエル。


再度SPをサスに接続して各パラメーターを調整をし最終確認プログラムを走らせると、オールグリーンの表示がSPに映し出される。


後片付けを終えたエルがEVCをスタンドから下ろし跨って具合を確認している。


「むっふふふ…いい気がする!テスト走行だ!」


ミラーレンズのゴーグルと首に蹄鉄ような形状の「 AIR helmet」と書かれたネックリングを装着するエル。


「よーし、出っ… あ、朝飯食わなきゃ! 」


EVCに跨ったままKEIから渡された包を開くとホットサンドが入っている。


「お、美味しそう… いただきます!」


口いっぱいにホットサンドを頬張るエル。

口の中に広がるサーモンペーストとハーブソルト、ケッパーの風味。

ディルがアクセントになっていて清々しい。


ゴーグルに陽が当たり地面にピンクの光が乱反射する。

透けて見えるその中の瞳は閉じているようだ。


「美味しかったー!やっぱりKサンドは最高だなぁーっ ごちそうさまでした!

よっし、改めて… 出っ発ーっ!!!」


食べ終えた包み紙をポケットへと捩じ込み、スロットルを捻る手元。

モーター音を響かせながら走り去るEVC。


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