表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/16

10.ラディス・フォークナー

「う、うそっ!あなたがバークレイ伯爵だなんて・・・!」

バークレイ伯爵、またはフォークナー伯爵。

ラディスの父がフォークナー公爵と呼ばれているので、それと区別するために、彼の領地の名前でもあるバークレイの名で呼ばれているのである。

それにしても、ずっとエルマーをさらった悪い奴、あるいはエルマーについて何かを知っている怪しい男、だと思っていた人が、伯爵とは。

由緒あるフォークナー家の長男が悪事に手を染めていたなんて―――!

「お前元は侯爵家だろ?どっかのパーティーで俺の顔ぐらい見たことあるだろう」

あきれたような視線を投げつけられ、リアはムっとする。

「最近はパーティーなんて3ヶ月に1回ぐらいしか行ったことないもの!あなたの顔なんて見たことないわ」

ぷいっとリアはそっぽを向く。

下級貴族になってからというもの、パーティーに行く機会はかなり減ったし、何よりわざわざ馬鹿にされにいくのも嫌だった。

行くのは今でも父に良くしてくれる、身内だけのパーティーぐらいだ。

そんな小規模のパーティーで彼を見かけるはずがない。

すると男、ラディスは、あぁ、と思い出したように言う。

「そうか、お前の名はリア・ベレスフォードといったな。ベレスフォード家といえば、1年前に没落した元侯爵家だな」

わざとらしく、元、を強調していう。

リアは殴りだしたい気持ちを抑えて、こぶしをぎゅっと握りしめる。こんな奴にいちいち腹を立てても仕方がない。そう、自分に言い聞かせる。

(とりあえず今はこの人を縛り上げて、エルマーの情報を聞きださなくては)

「あなた昨日、どうしてエルマーの家に1人でいたの?」

自分がずっと疑問に思っていたことを、リアはラディスに問いかける。

「どうして、か。それは俺も聞きたい。――――どうしてお前はあの時、あの場所にいた?」

質問を質問で返されては意味がない。

先ほどから思っていたが、この『自分が上』というえらそうな態度が気に食わない。

しかし、自分が答えなければ、相手も答えてくれないだろう。しかも、何されるか分からないのだ。

「エルマーは私が経営しているカフェの店員で、一昨日から出勤してこないから心配になって、あの夜、仕事が終わった後エルマーの様子を見に家までいったの」

さっと簡潔に説明する。

すると、あからさまに疑っているような目つきでこちらを見てくる。

「はぁ?仮にも貴族のお前がそこらへんのカフェで働いているわけないだろう。もっとましな嘘はつけないのか?」

「仮にも、じゃないのだけれど・・・」

今のリアの地位について馬鹿にされたので、ついついそちらに反応してしまう。

(いや、今はそんなことじゃなくて・・・)

「嘘じゃないわよ。私の家が没落したのは知っているでしょう?だから少しでも家にお金を入れたいと思って、カフェを経営しているの」

「普通、貴族がそんなことやるか?」

「悪い?私はどうせ普通の貴族じゃないから。それに、お父さまが大変なときに、自分だけ家でゆっくりしてても意味ないでしょう?」

小さいころからお嬢様らしからぬことばかりやってきた。

しかし別にそれが悪いとは全く思わなかったのだ。

いすにふんぞり返って、ただ命令だけするような、そんな貴族になりたくないからである。

父のように、自らが率先して動く・・・・、そんな人になりたいと、そんな人でありたいと。

カフェで働くことだって、普段お屋敷にいては学べない、さまざまなことを学ぶことができて、とても楽しい。

それに、一緒に働いている店員のみんなは、今ではかけがえのない大事な仲間だ。

(だからこそ、私がエルマーを探し出さなくちゃ!)

エルマーの部屋の荒れよう、そして血痕・・・・。

きっと何かの事件に巻き込まれたに違いない。

カフェ「ベレス」の店長として、何としてでもエルマーを探し出すのだ。

リアの心の中は、濁りのない真っ直ぐな友情の炎で燃えていた。

「お前・・・まっすぐな目をしてるな。―――どうやら嘘じゃないらしい」

ラディスがリアの目を覗きこむように見る。

ふいにリアの心臓がびくっと飛び跳ねた。

そしてざあっと先ほどまでの一連の出来事がフラッシュバックする。

(そそそそそういえば、わたしこの人とさっき・・・・キスしてしまった・・・・)

もちろんそこにリアの意志はないのだが、ファーストキスだったことには間違いない。

しかも、あんなに体を密着させて。

べたべたろくに知りもしない男に――――触られて。

そう思うと、先ほどまでの動揺が、すさまじいスピードで羞恥へと変わっていく。

リアはラディスの視線から逃れるようにさっと背を向け距離をとろうとする。

すると突然彼は、強い力でリアを自分のもとに引っ張った。

態勢を崩したリアはラディスの胸に飛び込むように、思いっきり抱きついてしまったのだ。

男らしい、しっかりした胸板を、顔で感じでしまったリアは、顔を真っ赤にして離れようとする。

しかし、なぜかラディスは強くリアを抱きこむ離そうとしない。

「ちょ、ちょっと離してっ!・・・・く、る、しいっ!!」

「お前が逃げようとするからだ」

「あれはっ、逃げようと、したんじゃなくて、近いから、距離をおこうと、しただけっ!!」

そう言うと、少しだけ腕の力を緩めてくれたので、呼吸は楽になったが、まだまだ近い。

しかも顔をあげられない。

もう1回離して、と言おうとする前に、先にラディスの方が口を開いた。

「――――悪かったな」

ぼそり、と小さな小さな声でつぶやく。

一瞬、何のことかと耳を疑ったが、それから後の彼の話を聞いて、聞き間違いではなかったと分かる。

「あの夜、俺は父上からの命令で、とある事件について調べていた」

そう言いながらラディスはゆっくりとリアを拘束していた腕をほどいた。

すごくお久しぶりです、杏樹です(笑

ここ最近テストテストテストで全く更新できませんでしたよ(汗

高校生って中学生のときより遥かに大変ですね・・・。

もうすぐ夏休みという名の課外が始まります。

この暑い中、自転車こいで学校に・・・(泣

でも午後からは授業がないのでばりばり更新したいです(自信なし

今回はつなぎみたいなものです。

次回はラディスメインでいきたいと思っています。

まったく更新がなかったのに、見て下さった方々。

本当にありがとうございます、嬉しいです!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ