43 カナリアとラルバと彼氏たち
タイトルに副題を足しました
今日は、待ちに待った収穫祭。私は、カナリアから届いた手紙を持って、黒猫亭へ向かう。一か月前、収穫祭の下見にマローへやってきたエルガ村に住む少女カナリア。とある事件をきっかけに知り合っい、初めてできた親友だ。はやる気持ちを抑え、黒猫亭の扉を潜る。
ふわふわの長い髪に留められたスズラ草の髪留めをつけた少女が、目に入る。彼女はも私を視界に入れると、ソファから立ち上がって、柔らかい笑顔へと変わり、大きく手を振った。
「アルちゃん! お久しぶり」
「カナちゃん! 会いたかった!」
両手を広げ、カナリアに抱きつくと、カナリアも同じように私に両手を回した。しばらく会うことができなかったけど、私たちの絆は、繋がっている。お互いの目尻に浮かぶ涙を見て、久方の再会を喜びあった。
「アルさん、お久しぶりです その節は大変お世話になりました」
カナリアと再会の抱擁を交わしていると、横から声をかけられた。カナリアに夢中になって気が付かなかったが、彼女の父親であるラルバも側にいたことに改めて気づいた。慌ててカナリアから離れ、姿勢を正しお辞儀をする。
「ラルバさん お久しぶりです お元気そうで何よりです」
「ええ、アルさんたちのお陰で、無事エルガ村まで帰ることが出来ました 今回は前回の教訓を活かして、事前に身元のしっかりとした冒険者に護衛を雇いマローに来ることにしましたよ」
ラルバたちは、エルガ村に帰り、村長たちに襲われた事件について、直ぐに報告をしたらしい。収穫祭には、エルガ村からも村人総出でマローに来ることになっていたが、村人だけではいざという時に戦えない。事件を重く見た村長は、身元のしっかりとした冒険者を雇うことを即決してくれたとのこと。
「お陰で、エルガ村にも冒険者ギルドを誘致しようという声も上がっていますよ」
「民営でも国営でも早くギルドが設立されると良いですね」
「ええ、ギルドができれば、村も更なる発展が見越せますから」
ラルバとカナリアは、この後エルガ村の出店する屋台の準備に駆り出されるとのこと。一日中一緒に収穫祭を回ることは出来ないが、午後から一緒に回ろうとカナリアと約束を交わした。
「あ、アリオスさんも来てくれたんだ」
カランコロンと黒猫亭の扉が開くと銀髪の長身で一眼を引く男、アリオスが片手を上げて入ってきた。
「お二方、久しぶりだな 元気にしてたか?」
「ええ、アリオス様もお元気そうで何よりです その節は、お世話になりました」
ラルバとカナリアは、アリオスに向かってお辞儀をする。畏まったことが苦手なアリオスは、頭を掻きながら「様はいらねえよ」と言った。
「はじめまして、俺は、バート 錬金術師で冒険者もしている 俺もアリオスさんの弟子の一人だ 以後よろしく頼む」
「あ、はい カナリアです エルガ村出身です アルちゃんとは仲良くさせてもらってます」
「ご丁寧にどうも ラルバと言います」
バートは、あの後ちゃっかりとアリオスの押しかけ弟子となってしまった。私たちの住む家に空き部屋がある事を知ると、「アルとアリオスさんだけなんて、信じられない」と一緒に住むからと荷物を持ってやってきた。ジェシカに相談すると「賑やかになって良いんじゃない」と言われたので、私も同居を了承したのだが、アリオスは、なぜか渋い顔をしていた。
「おうおうおう 赤髪のあんちゃん オイラも紹介してくれや」
「うわぁ 小人さん? 可愛い」
バートの肩に乗っているのは、精霊ノームの親方の一番弟子であるイッチだ。ノームたちとの宴で、意気投合したバートとイッチは、従魔契約を交わすことになった。ノームは、バートの錬金術に興味を示し、イッチが従魔になりたいと名乗り出たからだ。
「おうおうおう オイラは、イッチ ふわふわの娘っこ よろしくな」
「カナリアです よろしくね」
バートの肩の上で、少し照れたように歯に噛むイッチは、見ていて微笑ましい。
「アルちゃん どっちが彼氏?」
カナリアが、私にそっと耳打ちして尋ねてくる。彼氏って何?どういう意味?首を傾げるとアリオスもバートも何だか渋い表情になった。
「彼氏って 二人とも男性だから 彼じゃない?」
「アルちゃん お子様なのね」
カナリアが、何故か残念な表情で私を見る。アリオスもバートも、「お子様なんだよ」と肯定してしまった。
「カナちゃん 私18歳だから もう成人してるから」
「はいはい アルちゃんは大人 大人です」
「カナちゃん わかってない!」
私の肩で傍観していたアーくんをぎゅっと抱きしめて、「アーくん 私、大人だよね」と顔を擦り寄せると『ホッホー』と慰めてくれた。
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次回予告 讃美歌と白雪と私




