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13.従兄弟達の結婚事情

「ミハエル様もそうですが、レノ様やクリフト様も、なぜ今まで王族の方々がこの歳になるまで婚約をされていなかったのですか?」


王族ならば十代のうちに婚約をしているのが普通だ。

貴族でも大抵はそのようになっている。


「慎重を期するですね」

「俺は単に結婚に興味がないだけだ。女に興味が無いってわけじゃない」


レノ様とクリフト様と久しぶりにゆっくりお茶をできることになり、とても嬉しい。

この三人でいるとあの船の旅を思い出す。


「ミハエル様も派閥の力関係を気にしてとかでしょうか?」

「それもありますが······」

「ミハエルは男色なんだよ」

「······そっ、それは私が婚約して大丈夫ですか!?」

「本当には結婚しないから、いいんじゃないか」


うわぁ、本当に婚約者ごっこ~!?


ミハエル様、あれは演技なのね······。


「ミハエル様の好きな男性はどんな人なんですか?」

「それ聞くんだ?」

「そりゃあ気になりますよ。もしも今、意中の方がいるなら応援したいですし」

「あなた専属の護衛がそうですよ」

「ディーン様が!?」


屈強な体躯に不釣り合いな童顔の近衛騎士様。

童顔でも整った顔立ちの、微笑むと右頬にえくぼができて可愛いらしい人よ。


「両想いですか?」

「グブッ···」


レノ様は喉を詰まらせた。


「それ聞く?」


聞くだけ野暮ってことなのね。


「私が結婚しなくてもいいなら、安心しました」


ミハエル様は私に会いに来ていたのではなくて、騎士様に会に来ていたのね。

それも結構な頻度で。とてもマメな方なのねって思っていたわ。

わざわざお忙しいのに申し訳ないなんていつも思っていたけど、それなら気が楽になったわ。


「ミハエル様の妹君はそれを知っているのかしら?」

「ああ、知ってるぜ」

「そうなの? じゃあ別に私が嫉妬されているわけではないのね、良かった!」


あの私への否定的態度は、女性はあり得ないからなのかも。


なんだ、兄思いの良い子じゃないの。今度会ったら笑顔で返してみようかしら。大丈夫、わかってますからって。




それからほどなくして、クリフト様は南の辺境伯の令嬢とお見合いを嫌々させられたのだけど、即日婚約が決まってしまった。


「好みのど真ん中。話も凄く合うんだよ」


クリフト様は、今まで見たこともない顔で照れていた。


ワイルドな美貌、賢くてさっぱりした性格のご令嬢は、私も好きになれそうだ。

家柄も派閥的にも問題なく、トントン拍子に結婚できるわね。




「レノ様は、結婚されないのですか?」


レノ様はアレクシス様よりも年長だ。


「私が結婚しないのは······家の事情です」

「家の?」

「理由はそれだけではありませんが、母が長年患っておりまして、それが治癒するまではと」

「どのようなご病気なのですか?」

「数年前に毒を盛られたのですが、それだけでなく呪いも受けたのです」


レノ様のお母様にはまだお会いしてはいなかった。

公式の場にもいらっしゃらないのはそのせいだったのね。

離宮で療養されていると聞いた。


「もしよろしければ、お加減の良い時にお会いさせていただいても?」

「申し訳ありません、そう言えばご挨拶がまだでしたね」

「いえ、そう言うことではなくて···、できれば試してみたいことがあるのです」

「試す?母にですか?」

「忘却の魔法が呪いに効くのかを知りたいのです」




「母上、よろしいですか」

「ええ、お願いするわ」


私はレノ様のお母様に、忘却魔法をかけさせてもらう許可をいただいた。

魔法研究所の研究員と称して、協力していただく形を取った。


毒と呪いは多分ルファーブルが関与しているかもしれなかったから。

ルファーブルの女が見舞いに来たなんて受け入れ難いことだろうし、特に私は王弟殿下を襲った女の娘なのだから。


「では、はじめさせていただきます。よろしくお願いいたします」


レノ様のお母様であるティティア様は身体の左半分が麻痺、顔全体が淡い灰色になっていた。


最も王弟殿下から寵愛を受けていたティティア様をこのようにしたのは、やはり政敵なのだろう。


私は、呪いを受けたという記憶を抹消する魔法をかけさせてもらった。


呪いはない、自分は呪われていないという状態になるとどうなるのか?


それを確かめたかった。



寝台に寝ているティティア様は、ピクピクと小刻みに震えていた。


「あ···あ···ううっ」


頃合いを見て、完了の合図である指を鳴らした。


「いかがでしょうか?」


ティティア様は左手を動かしてみた。


ぎこちない動きだったけれど、数年間動かなくなっていた身体を動かせるようになっていた。

一人で身体を起こせるようになった。


「母上······!」

「ああ、ありがとう······!とても軽くなったわ、夢みたい」


「ふう······」


緊張から解放された私は、その場に座り込んだ。


「······これは成功したと言っていいでしょうか?」

「もちろんです。忘却魔法にこんな使い方があったとは。本当に助かりました」

「お役に立ててとても嬉しいです」


ティティア様はその後、自力で歩けるまでに回復した。


食欲旺盛になって、顔色も良くなっているそうだ。


今まで呪いに阻害されて手を出せなかった毒にやられた部分は、レノ様が回復魔法で処置できるようになった。時間が立てば完治するそうだ。


レノ様が私が毒で倒れた時に、布団をかけ直したり整えることに、まるで侍女のように手慣れていたのは、ティティア様を長年看病されていたからだったのね。


これで安心してレノ様も結婚できると思うわ。

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