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何か書きたい。  作者: 冬の老人
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ウジウジ悩んで考える。その1

まだまだ暑いが少しずつ気温が下がってきた。

ようやくエッセイを更新しようと調子に乗って書いていたら過去最長になったのでぶつ切りの分割して投稿。

「ウジウジ悩んでないで行動しろ」

とよくある叱咤である。

自分も言われた記憶がある。


しかし記憶を思い返せば自分の子供の頃というのはそれなりにガンガン行ってた気がする。

そのおかげで迷子になった記憶も、溺れて死にかけたり、まぁそれなりに痛い目にもあってきた。

ならば「悩む」というのはそうした身の危険を避ける為の行為なのか。

勿論それも一理ある。

あるにはあるが身の危険のために悩むのであれば小さい頃から大抵の子供が「勉強しないと将来苦しむ」という大人たちからの脅しを素直に受け入れて皆賢くなるだろう。

だが実際はどうか、というとそんなわけもない。

自分の結論としては「悩む」というのは眼の前にある「問題」そのものではなく、その問題に対しての自身の立ち回りについて「周り」にどう見られるか、という一見無関係の事に考えを巡らせる事だと考える。


「周りの事なんか考えるな」

「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」

これまたよくある説教だ。

自分はコレについては別に反論するつもりもなく真理だと思っている。

一方で真理だと理解はしていてもそれに反して動けないのが自分であった。

何故か、といえば自分のエッセイではすっかり当たり前になったが基本的に「親」のせいである。


自分は過去に「ありがとう」が言えない人間であり、その理由は父親から人に簡単に「ありがとう」というのは「男らしくない」という事で怒鳴りつけられた事がトラウマになってたった5文字の言葉が言えなくなった、というのをどこかのエッセイで語った記憶がある。

「ありがとう」と口にする事自体がトラウマではない。

「ありがとう」と口にして「父親」に「男らしくない」と怒鳴られた事がトラウマなのだ。

あくまで他人がトラウマである。


「周りの事にとらわれず、眼の前の問題に集中したい」

「分からない事、出来ない事があるから教えてほしい」という事はあった。

そしてそれを母親は「忙しい」「教えられる事など何もない」と知らない、分からないの一点張り。

父親は、といえば「まず自分でやってみろ」という。

失敗して聞いても「自分でやらなければ身につかない」という。

そして結局子供の自分一人、昔はパソコンもスマホもなかった時代では調べるためにできる事も限られていた。

どうしても出来ないから涙目で頭を下げて教えてくれ、と頼み込むと父親はため息を吐いて「なんて情けない子供だ」という感情を隠しもしない。


その後はその時の気分次第で「こんな事も一人で出来ないなら止めろ」と言って結局「自分が成すこと」を取り上げ何も教えず。

教えてくれたとしてもその後には「お前はドブ川から拾ってきた他所の子だから仕方ない」という毎度毎度のからかい。

家族の前で自分を笑い者にしながら、そして母親もそれに同調し、妹には見下され。

自分もそれを苦笑いで受け入れるしかない。

10にもならない子供にはそれしか選択肢がない。せめて母親が味方してくれれば救いはあっただろうが。


結局、そのドブ川から拾ってきた、というような話は冗談なのだとは思う。

何故なら母親もまた定期的に自分の出産について語るから。

帝王切開で腹を割いて産んだ、と。

うんざりするほど聞いて、そしてそれは恩着せがましく自分には感じられた。

「お前はドブ川から拾った子供」

と父親が語る様を何も言わず静観している母親から

「お前は帝王切開までして産んだ子供」

と産んでやった恩を定期的に訴えられる。

肉体的にも精神的にも未成熟な子供の不安を煽るには充分だ。


頭の中では父親のいう「ドブ川から拾ってきた」という言葉は冗談だ、とは思っている。

思っているが父親の言葉を否定しない母親の「お前は帝王切開で産んでやった子供」という言葉に親子の情は感じられず、恩着せがましい言葉にしか感じられない。

どっちを信じればいいのか。

どう立ち回れば親に落胆されずにすむのか。

どう立ち回れば恩を返せるのか。

そしてどうすれば妹のように何も思い悩む事無く子供として愛されるのか。


勿論子供の頃にそうやって明確に言語化出来るわけもない。

だが言語化出来ないからといって何も考えていないわけではない。

思い悩まないわけでもない。

ただ漠然とした不安が行動する前に「悩む」行為を増長させる。

そして何も出来なくなる。

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