情け
「情けない。」
そんな言葉は言われ慣れている。
昔は言われるたびに自己嫌悪に陥っていたがそもそもとして「情け」とはなんなのか。
「情けない」という一つの言葉のように感じるがそもそも「情け」が「ない」という二つの言葉が組み合わせられた言葉だ。
しかし「情けない」ではネガティブな、人を貶めるイメージがある。
一方で同じように「情けない」を使ったワードで「情け容赦がない」ではまるで意味が違ってくる。
勿論それは「容赦」というワードが一つ入っている事も理由ではある。
しかしであるならば「情け」とは「容赦」の何かを強調したり付け加えているわけだ。
また「情けをかける」という言葉がある。
これは意味的には「温情」となるわけだが他にも情けの字を使う物がある。
「感情」「愛情」「情報」など。
ネットで「情け」を調べれば「敗者への配慮」などが出てくるが感情や愛情、情報といった言葉から連想される「敗者と配慮」と言われて自分はピンとこない。
情けという物を考えるならその漢字を解く。
「情」という漢字は左側の「りっしんべん」に「青」を組み合わせたもの。
りっしんべんは「心」の意味。
心が青い。
青は「青春」だとか「青臭い」と言う風に「若い」「未熟」であると言うような意味合いで使われる。
「情け」はつまり「若さ」に近い物であり、「敗者への配慮」に通じるような要素で構成されたもの。
若さを象徴する物は色々あるがやはりエネルギーに満ち溢れている事は当然だろう。
実際、「情けない」と言うのはエネルギー不足な状態も当てはまる。
とりあえず「情け」について「エネルギー」と言うのは1つある。
情という字を使う感情や愛情と言う単語が意味する事もエネルギーは必要だし、情報についてもデータをエネルギーという力として捉える事も出来る。
ただ最低限3分割で考えた時、あと二つほど情けを構成する要素が必要。
それは「若さ」から連想され、同時に「敗者への配慮」を満たすような要素でなければならない。
勿論、若さの側面からイメージしたエネルギーについては敗者への配慮にも当てはまる。
敗者というのはエネルギーを著しく消耗しているわけだから敗者に配慮するというのはエネルギーを与える事とも言えるからそれは当てはまる。
若さ、を意味する時にエネルギーに溢れた状態、力強さが一つの側面ではあるがそれと同時に「新しい」事が必要不可欠な要素でもある。
とはいえ「新しい」という事そのものが情けを意味するものであると言うのは違う気がするし、敗者への配慮という物としてもそれは腑に落ちない。
だからといって「新しい」が完全に異なるというわけでもない。
新しい物と言えば農機具に使われるバッテリーを購入した。
まぁバッテリーならスマホのバッテリーでもなんでも良いのだがバッテリーはその中に機械を動かすためのエネルギーがあり、充電して中にエネルギーを溜め込まなければならない。
新しいバッテリーと同じように満タンになるまで充電しても古いバッテリーでは経年劣化によりバッテリーのポテンシャルが下がり、使用時間が短くなる。
バッテリーに限らず、あらゆる物、そして人を含めた生物は古くなれば劣化し本来の力を持続させる力は衰える。
つまりは「時間」、それが若さの二つ目の要素。
感情も愛情も時間を共有する必要があるし、情報も新鮮さ、時間の正確さや情報の中にある日時など重要な要素だ。
また敗者への配慮についても「情けをかける」というのは時間を与える事も当てはまる。
そして3つ目。若さから連想され、敗者への配慮にも通じる物。
それは「柔軟性」だ。
拘りがあり過ぎれば「頑固」になるし、拘りが無さ過ぎれば「無関心」になる。
若さは大きなエネルギーを持つ上、そのエネルギーを力として発揮し続ける持続力もある。
同時に若さは未熟でもあり、未熟故に受け身にもならざるを得ない。
若さの行動の代表ともいえる「挑戦」。
挑戦するという事は「問題」に敢えてぶち当たるという事。
問題に対して脳筋的にゴリ押ししても解決とは言わない。
何故なら問題を見ていないからだ。
問題を見ずに自分の能力でゴリ押すのは単なる「力試し」である。
問題を解決するにはまず問題を受け止める必要がある。
問題を見て、ルールを知り、クリア条件を知る必要がある。
そしてそのルールの範囲内でクリア条件を満たす解決方法、可能ならその中でも効率的な方法を指し示す。
「挑戦」とは積極的な受身から始まる。
そして複数の解決方法がある事を知る、認めるという事。
クリア条件を満たすのであれば全力だろうが片手間だろうが無関係。
良し悪しではない。
労力をかければ偉いわけでもないし、コストが少ないからずるいわけでもない。
どちらも同じと認めた上で「何らかのトラブルでいつものパターンが通用しない場合に他のパターンも何時でも使えるように備える」
それが柔軟性。
「エネルギー」があり、「時間」があり、「柔軟性」がある。
長々と語ったが正しく「若さ」を構成する3要素である。
また「敗者への配慮」の側面で見てもこの3要素全てが必要である。
消耗した敗者を回復させるにはエネルギーが必要だし、ショックを受けた敗者には時間が必要。行き詰まって視野狭窄な敗者には受け止めて指針を示す柔軟性も必要。
「情け」とは「若さ」と共通点があり、それが「配慮」となる。