筋トレを日本人がするべきである、という「理由」その4
人間は肉体労働、スポーツ、デスクワーク、勉強、料理とほぼあらゆる生活の動作において身体の「前」、目線より「斜め下」、両手の「内側」で作業する。
さて、それではその時、作業している手の「肩」はどうなっているのか。
パソコンのキーボードを叩いている時などの肩を見ると身体よりも「前」に突き出しており、さらに「上がっている」
背中が丸まっている、所謂「猫背」状態である。
勿論、姿勢が良い人もいるが長時間続けていれば次第に疲れて楽に作業が出来るように、とそうした猫背の姿勢になりがちだ。
ここで肩が前に出るのは身体の前で作業しているからより手を遠くに伸ばすために当然だ、と思うだろう。
しかし作業は斜め下で行われるのに肩が上がるのは矛盾している、と感じる。
何故作業は下で行われているのに肩は上がるのか。
それは「猫背」の状態を見れば一目瞭然で背中が丸まっている、つまりは胸のあたりから上が前に倒れているからである。
ここで「上手くしゃがめない事」が繋がってくる。
上手くしゃがめない、それは主に骨盤の傾きが原因である。
このしゃがめない、という問題は大きいはずなのだが、日常生活では気にならない。
何故か、と言えばその対処方を知らず知らず行っているからだ。
作業をして疲れたら伸びをするように、人間は勝手に重心のバランスを整える。
上手くしゃがめない時に人間の身体はどうするのか。
「踵を上げる」
単にそれだけでバランスが取りやすくなり、上半身が安定する。
理由は「骨盤の後傾」である。
日本人の多くがこの骨盤の後傾状態。
勿論、パッと見で分かるほど極端な物ではない。
後傾気味、とでも表現するべきか。
ただ、この傾きのおかげで日本人の下半身は「膝や足首の痛み」と「不細工な四角い尻」と「クビレのない大根足」となり、上半身は「寸胴体型」と「腰痛」や「猫背」に悩まされる。
この骨盤の後傾が最も日常生活で影響するのは「歩行」である。
基本的に外国人も日本人「股関節の稼働域」そのものは変わらない。
しかしながら「歩幅」は足の長さ以上に日本人と外国人で異なる。
何故か、といえば骨盤が後傾しているとなれば腰を境として脚は前に、そして背骨は後ろに向かう。
逆に外国人は骨盤が前傾していて、脚は後ろ、背骨は前に向かう。
それぞれ微々たる差ではあるが、この傾きが日本人的骨格で現代的な日常生活を行う上で厄介な事になっている。
さて、歩行について語るだけで一話分にもなりそうなので止めておくが、骨盤が後傾して背骨が一旦後ろに向かい、腰から胸にかけて前に向かい、頭を支える首が重心の真ん中になるようにまた後ろに戻る。
基本的にはなだらかな角度ではあるが脚は前、骨盤は真ん中、腰は後ろ、胸は前、首が真ん中、とジグザグであるのが日本人である。
一方で外国人はというと骨盤前傾であるため脚は後ろ、骨盤が真ん中。
しかし背骨は腰から胸まで前に向かう。
そして首がやや後ろ。
日本人の骨格と比べると足から胸まで一直線。
どっちが強いか、といえば外国人の方である。
何故日本人と外国人で骨格が違うのか、といえば環境の違いだ。
日本は山、つまりは傾斜が多い。それに適応する骨格が骨盤の後傾であり、平坦な道を歩くのに向いていない。
逆に骨盤が前傾した状態では平坦な道を走るのは良いが傾斜のある山道を歩くのは向いていない。
それぞれの特性があるが技術の発展によってその環境そのものが変化したから日本人の骨格の良い側面が発揮される機会が少ない。
さてここで骨盤から肩に話を戻すが、骨盤が後傾したまま同じ姿勢で作業をしていれば腰が疲れる。
極端に表わせば「く」の字に曲がっている腰にそれより上にある頭などの重さが加わっていき、ドンドン押しつぶされていく。
そうすると背中が丸まっていき、ドンドン胸が下を向くようになる。
胸が下を向いた状態に対して手元などの作業している場所は変わらない。
それを調整するために胸が下を向いた分、肩が前に、そして上がる。
もっと言えば肩が内側に入っていのである。
この肩が前に、そして上に上がった状態を肩甲骨の「上方回旋」と言うらしい。
肩が内側に来ると言うことは背中についている肩甲骨は前に、内側に向かうのに引っ張られて身体の外側に向かう。
筋トレではあんまり使わない、聞かない言葉だ。
何故なら日常の動作、作業は肩を内側に入れる事で楽にこなせるが安定せず、重量を扱えないから。
代わりに筋トレでは「下方回旋」が使われる。
上方回旋とは逆の形となり、肩が外側に向けられる。
肩が外側、という事はつまり、背中についている肩甲骨はその逆に内側に寄せられる。
さらに肩を落とす、下げることにより肩甲骨も下がる。
「伸び」をするとき、腕を広げて真上に伸ばす事で自然と肩甲骨が寄せられるだろう。
それで幾分マシになるがそれではまだ疲れが残る。
単なる「伸び」をすることで身体が無意識的に肩甲骨を整えてはいるが筋トレの経験から知識の肩甲骨の下方回旋を意識することで肩甲骨がさらに寄せられ、下に下がる。
単なる「伸び」の効果が一層高まるわけである。
また、こうした作業の器用さと扱える重量は反比例していく。
実際、肩甲骨の下方回旋したままでは確かに力が入り安定するが窮屈で仕事をする作業には向かない。
だが現代社会の常に身体の前方向で作業する生活により身体の歪みが発生し、その解決法、解消法が背中などの逆向きである事は無意識に行う「伸び」でも察する事ができる。
日常生活で筋力を必要とする機会がなくなったからこそ、筋トレをする必要性が高まっている。
かつては日常生活に和式トイレを始め、様々な身体の改善法が取り入れられていたがそれが不便さやコスパの悪さなどでドンドン消えていく。
そのくせ他人から求められる物は高くなり続ける。
全く持って嫌になる世の中だが、解剖学だとかそうした研究により日常生活に組み込まれていた動作では無駄が多かった物が改善されてより早く、より深く習得できるようにもなった。
まぁ長々と語ったが今回は肩甲骨の下方回旋、「肩甲骨を意識して寄せて下げる」という事を知って貰えれば良いかな。
結論はたった10数文字。
それに対して長々と2500文字も書いてある。
だけど自分の中には語りたい言葉がもっと出てくる。
その言葉の拘りを削って削って2500文字。
結論は最低限。ちょーっと拘りが強過ぎる。
遠いな、80点。