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何か書きたい。  作者: 冬の老人
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筋トレを日本人がするべきである、という「理由」その2

高齢者となっても生きていけるだけの最低限の筋力、筋肉。

そしてその最低限の筋力で充分に生きていける効率的な身体の動かし方。

それは「立ちあがる」「押す」「引く」というシンプルな3つの動作である。

そして特に「立ち上がる」という行為。

ただ黙って「立ち続ける」事すら厳しい高齢者に取ってしゃがんだ状態から立ち上がるというのは難問だ。

介護を必要とする高齢者はまず一人で立ち上がれない、立ち上がれないほど足腰に力が入らないから踏ん張って押す事も引く事も出来ない。


子供も同じだ。ハイハイから立ち上がり、そこから物を押したり引っ張ったり。

そして子供は老人と違い体力があるから動き回るが簡単に転ぶ。

大人と比べて子供の身体は頭が体に対して大きく、重心が高い。

この重心が高い、というのは個人的には背が高く、手足が長く、腰の高い外国人と似たような状態なのではないか、と考えている。

それ故、身体が柔らかく、重心が高い子供の頃に充分走り回ったりする事、重心が高い不安定な肉体を安定させるという効率的に動く術を学ぶ。

かといって子供を野放しに遊ばせておけば危険がある。

勿論子供によっては走り回るより本を見たりお絵描きが好きな子供もいる。

危険だからといって我満させては成長しない。

インドア派な子供に親として楽だからと放置しても同じ事。

興味がないなら関心を向けさせる、動き過ぎるなら節度を持たせる。そのうえで褒めたり叱ったり。

親が子供に期待するならまず親が苦労して愛を向ける、教育する必要がある。


筋トレに話を戻すとこの日常生活の基礎中の基礎、「立ち上がる」だが一番メジャーな筋トレは「スクワット」。

男は体重にもよるとはいえ、ジムで筋トレしてまともに半年から1年ぐらいやれば体重の1.5倍強のバーベルを担いでスクワット出来るようになる。

日本人の平均体重が65キロぐらいでちょうど100キロぐらい。

女の方は体重と同数値から1.2倍ほど。女の平均体重は50キロ強だから60から65キロぐらい。

これが「一定のライン」である中級者である。

この中級者程度まではマニュアル通りにやっていればとりあえずは一気に上がる。

しかし夏場の水着姿を良くすためだけの春から夏にかけて2,3ヶ月程度の短期間の筋トレ素人にはバーベルスクワットなんてさせれば男の体重を下回る40〜50キロ程度でもギリギリ。女だと重りをつけない20キロのシャフトだけでもキツいかもしれない。

それを秋になればジムを辞め、また春になれば殆どリセットされた状態から始め、また秋に辞めを繰り返す。

忙しい現代社会、ものが溢れ返る日本において仕方のない事かもしれないが非効率この上ない。


とはいえ水着姿がモチベーションだから仕方ない。

自分は趣味で筋トレをしているが、身体を動かす感覚は日常生活でも身体を楽にはするが鍛えたの筋力が発揮される機会は日常生活で殆どない。

自分以外の男でも日常的に100キロの物を担いだり、女で自分と同じ重さを担ぐ機会なんて中々ないだろう。

だから重さは重要ではない。重さはただの証である。


ただの証とはいえ、それは明確な目安である。

身体能力の操作レベルが同じレベルならおよそ筋肉量1キロにつき2キロ扱える重量が増えると聞いたことがある。

たった一年で扱える重さが2倍に増えるなんてそこまで爆発的に扱えるようになるには筋肉量や筋力のアップだけでは説明がつかない。1年で25〜30キロ体重が増加したというならそれは病院に一度かかったほうがいいだろう。

筋トレ以外はプロテインなどのサプリメントを飲む程度の食生活の変化なら1年を通して増えたとしても些細な変化だろう。

仮に60キロの人間の体脂肪率が10%減った所で6キロ。

6キロ筋肉が増えたとしてもその2倍なら12キロしか扱える重量は違わない。

そこに50キロ程度しか担げなかった100キロ担げてスクワットできるようになるには身体の使い方が重要となる。


先程、子供の頭が大きい故の重心の高さと外国人の手足の長さや腰の高さくる重心の高さの類似性を指摘したがバーベルを肩の高さで担ぐ事で重心は高くなる。

重心が高いまま、しゃがんで立ち上がるという不安定な動作を安定させる、ソレがスクワットを通して学ぶ身体の操作である。

現代の日本人は床にある物を取ろうとしたり低い場所での作業を「腰」を曲げて取ったり作業したりして腰を痛める。

腰を傷めない方法は「腰」を曲げない事。

腰を曲げずに低い場所に手を伸ばすには「しゃがむ」必要がある。

至極当然な答えだが、日本人はこれができない。

出来ないから脚を殆ど曲げす腰を曲げる。

つまり本来日本人は教えられなければ上手く「しゃがむ」事すらままならないのである。

それは日本人の骨格の特質であり、運動神経が悪い人自身のせいではない。単に知らなかったし、誰も教えてくれなかっただけ。

その場で動かずただ上下にしゃがんで立つ、そんな事もまともに出来ないままではその先にある物を「押す」「引く」は困難だ。

そして立った状態から片足を前に出し、残した後ろ足で地面を蹴り推進力を得る「歩く」や「走る」などの日常生活に支障が出ないわけがない。


目安の動作として和式トイレを使えるか。

洋服のズボンなどしゃがむ事への抵抗がある以上、日常的に和式トイレで用を足せ、とは言わないがスクワットのしゃがみ切った姿勢、それが和式トイレの用をたす姿勢とほぼ同じ。

「Asian squat toilet(アジアンスクワットトイレ)」と言われる所以である。

過去の日本人は和式トイレが日常に組み込まれていてしゃがむ事を苦手とはしていなかった。

逆に外国人はその大きな骨格と和式トイレを使用して居なかった事からしゃがむ事が苦手としていたがフィットネス界隈を見ているとすっかりそれは逆転しているように感じる。


・和式トイレを跨ぐように両足を離して立つ

・そのままつま先から踵までしっかり床につけた状態でしゃがむ。

・しゃがみ込む深さは脚のもも裏とふくらはぎがついてそれ以上しゃがむのが物理的に無理な状態。

・そして何秒かその状態を何にも掴まないまま保ち、そのまま何も支えにしないで自力で立ち上がる。


爪先立ちなどにならずに足裏全体を床につけたまましゃがみ込めたか?

しゃがんでいる間、グラグラ前後に揺れたり、後ろに倒れそうになるのを上半身を前傾させて強引にバランスを取ったりしていないか?

そもそも中腰ではなくちゃんと深くしゃがみ込む事が出来たか?

そして壁などに掴まる事なくキレイに立ち上がる事は出来たか。


出来たなら問題ないだろう。日常生活における最低限の不安定を安定させる身体の使い方は理解している。

恐らくは運動神経が良い人、もしくは運動経験で身体が学習したのだろう。

自分は今は普通に出来る。

しかし前は体重の増減に関わらず和式トイレは嫌だった。先述のチェックポイントは全部自分はアウトで足首も腰も首も、そして何処かを掴むせいで腕も疲れる。


この和式トイレの例では数秒静止したが、バーベルスクワットでもストップスクワットなどと言われるようにしゃがみきった位置で数秒止まる種目があるがあくまで通常のスクワットより遥かに軽い重量で自分がコントロールできるようになるための動作だ。

日常生活に一か八かの身体操作なんて無意味だ。

ただ、その一か八かのギャンブルもできない勝算のない肉体を日本人の多くが抱えていて若さのバフ、あるいは肉体の力を必要としない環境に身をおいてその問題を放置し、その何れもがカバー出来なくなった時に介護を必要としている。


介護が必要な身体になれば和式トイレどころか洋式トイレですら立ち上がる事が困難になる。

自分は死ぬときまで風呂とトイレくらい、自分のケツくらい自分で拭きたいもんだと思うよ。


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― 新着の感想 ―
[一言] いろいろな考え方を知れて面白いです これからも頑張って下さい
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