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何か書きたい。  作者: 冬の老人
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60点

80点の話として書くつもりだった。

80点というのは単にコスパだけの話ではなく、時代の流れに乗る事も関係する。


仕事して食べて寝て、そんな最低限の人生について悪いとは言わない。

拘りを追い求めて自分の全てを捧げる人生も別に悪いじゃない。

ただ、それは自分一人で完結する人生で、という前提の話。

他人、つまりは結婚したパートナー、そして自分の子を巻き込んだらそれはもう自分の生き方じゃ済まされない。


ミニマリスト、なんてのも最近では聞くようになったけど単に「物を持たない」というだけなら最近なら日常生活はスマホだとかで殆ど完結する。

現状、物理的な物を最低限に抑えるミニマリストほど時代の流れにのる最低限と自分の拘りを兼ねた80点の存在であると思う。


ならば最低限の生き方とは何か、といえば先述した通り「自分の中」 で完結している人間だ。

自分の中で完結している、つまりは自分の経験だけが絶対である、という価値観だ。

自分の母親がこの手の人間で母親の語る「普通」とか「常識」は母親の子供の頃から農家の嫁に嫁いできてそこで完結している。

テレビもラジオもあってもそこはあくまで別世界。


母親の世代では男尊女卑が今より強いのは明白だが、だからこそ女は家の仕事と農家の手伝いしかしない。

母親は何十年も自分より農作業をしているが雑用や片付け、簡単な事しかできないし、しようとしない。

殆どが父親任せ。そして家事と農作業以外の事は長男である自分任せ。

車も運転できるが最寄りのガソリンスタンドがセルフスタンドだがガソリンの入れ方も分からない。だから息子である自分、あるいは父親がやらなければならない。

そのくせ、家事に忙しい、トイレに行く暇もない、と動くが誰もそこまで急かしていない。

自分で自分を急かして忙しく動いて働き者のように見せている。


男尊女卑の農村の中で育ち、嫁ぎ、姑、小姑からのイビりやその中で苦労もしただろうがそれで生きてこれた。

だから時代の流れではなく、自分の生きた人生の経験からでしか判断できない。

家事をして、農作業を手伝い、それさえしていれば生きていける。

10年前、20年前の物でも新しい物。

電化製品などのメーカーに拘りはあるがそれについてもファンだから、というより単に脳死で「昔から信用のあるメーカーだから」と選択肢を無くしているだけ。

テレビの向こう側に映る女でありながら組織で「長」となるような人間を恨めしく思いながら女が上に立つ事に苦言を呈す。

女は我慢して忙しく働き、家事をしていれば良い。

それで報われる、報われなければならない。


そしてその我慢の先が長男である自分だ。

自分が我慢してかたから長男も我慢させる。

自分が報われるために長男を支配する。

全て母親自身のため。


だから「80点を目指す人間」なら出来る他者を応援なんてするのをされた試しがないし、スポーツ中継などですら見たことがない。

当たり前だ、実の息子すら簡単に子供の頃から拾ってきた子供で言う事を聞かなければ奉公に出す、と恩を着せながら脅す事に何の躊躇もない人間だ。

赤の他人のスポーツの勝ち負けなど興味を持ちようがない。


それでも自分はそんな母親に愛してほしかった。

当たり前だ、親だから。

我慢をして報われず、今となっては…。

どうでもいい、と文章にするのは楽だ。

指でスマホの画面をタッチするだけの作業だ。

実際はどうなのか、といえば分からない。 

だが「男尊女卑の農村の中での生活」の苦労を考えるくらいにはどうでもよくはないのだ。

それが自分が優しいからなのか。

自分の事しか考えられない人間と思われたくなくて書いただけなのか。

それともまだ母親を思っているからか。


まぁ個人的な思いはどうでもいい。

ただこうした「我慢していれば報われる」という考えは伝染する。

というより、自分の我慢を共有させて足を引っ張り、仲間にしようとする。

自分もすっかりその毒沼に入って努力が出来ない。

だから自分が伝えたいメッセージは我慢をさせてくる人には従わないで欲しい、という事。

結局、ありきたりな結論になるのが悔しいが。


我慢させる人は自分が報われるために他人を我慢させるだけ。

我慢させた相手の行く末など責任を取るはずがない。

60点しか力がないのだから他人の責任を取れる力がある筈がない。

だから他人の幸せが許せない。


力を蓄えるために耐える、辛抱する、茨の道を進む。

必要な事ではあるが自分でそれを選んで欲しい。

自分で選んで力を蓄えたなら、解放すべき場所、時間も自分で選べる。

あるいは解放すべき場所や時間が自分で選べるから自分で蓄える事を選べるのかもしれない。


そしていつか我満してる人、させられている人がいれば応援してやればいい。

甘えさせ、問題を指摘し、最低限の報酬を得る。

誰かを助けるのはヒーローにでも任せれば良い。

だから他人を応援できる人に。




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