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何か書きたい。  作者: 冬の老人
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80点。その3。

最低限の60点でもなく、100点満点を目指すわけでもなく、80点を目指す。

生きるためにはただ仕事をして食べて寝る、それだけでいい。

その最低限に趣味という無駄を重ねる事で80点になる理由。

まず探究心が芽生える。

より趣味を深く追及しようとすれば自ずと自身の能力を高める事になる。

趣味を愛せば金と時間と労力、自分の中の愛が趣味に消える。

しかし生きるために必要な行為も勿論必要。

だから自分の能力も高くしなければならない。


趣味を始め、そして自分の中で趣味の存在が高まっていけば趣味そのもののクオリティーが上がっていく。そして次第にアレもやりたい、コレもやりたい、と更なる道を開拓する。

自分の趣味、筋トレも最初は腕立て伏せとか腹筋から始めた。

ある程度力がつき、バーベルなどのフリーウェイトを取り入れた。

だが並行した行う内に今まで拘ってきた自重トレーニングではもはや筋トレの負荷としては弱過ぎる事に気づく。


自重トレーニングは負荷が弱い、とはいえやれば疲労は蓄積するし、時間は取られる。

そこで自分が出した答えは

「器具を使ったフリーウェイト一本にしよう。」

他人からすればどうでも良い事だろうし、極めて単純な事。

しかし当人からすれば長い期間やってきた、そしてそこに至るまでの身体やパワーを作った拘りだった。

そして新しい拘りを得るために古い拘りを捨て、決断した。自分の中で小さいが、それで確実に自分の手で拘りの一つを解消した瞬間である。

男の成長とは拘りを解消する事。

他人に切り捨てられた拘りは延々と心残りとなるが自分で解消すれば悔いはない。


その後も基礎的なフリーウェイトも次第に慣れ始めると更に色々な種目をやりたいと思うようになる。

そのためにはコスパをさらに高める必要がある。

可能な限り時間と体力の消費を抑え、効果を最大限に。

重量を増していくのだがそうすれば怪我のリスクは高くなる。

そうなると何となく、でバーベルを挙げてきたフォームの改善をするようになる。


趣味を通して意識が変わっていく。

「失敗しても構わない」と始めた筈の趣味が「失敗しないように」となり、それを超えると「失敗できない」となる。

趣味の筈が義務感を覚え、そして仕事と変わらないようになる。

また仕事と同じなら仕事同様に趣味で報酬が欲しくなる。


最初は趣味が面白くて趣味自体が報酬だった。

その後は趣味を通して得られるもの、筋トレなら筋力や筋肉量といった身体の強さ。

やがてそれが他人からの評価となり、コンテストなどの競技に参加し、認めて貰いたいと思うようになる。


筋トレだけではない。絵を描いたり、旅行をしたりする自分から何かするタイプの趣味も勿論そうだ。自己満足で終わらる事なく、現代ではSNSなどに載せたりできる。

読書や音楽鑑賞などの他人の創作物を見る受動的なタイプの趣味にしても受け入れて感じた事、考えた事を発散するために自分のようにエッセイなどに書き連ねたりする。

次第に報酬が欲しいと考える。

配信者なども元は素人の遊び、趣味の範疇だった。それがプロになり稼ぐための職業となった。

この小説家になろうについても書籍化、アニメ化、ゲーム化となったり人もいて趣味の意識が高くなるにつれて仕事のように報酬を欲しがる。


仕事になればその時点で生きる為の活動となり最低限の60点に組み込まれる。

そこからさらに80点を目指す。

だが趣味のまま上を目指せば100点を目指す事になる。

生命活動と趣味の拘り、どう折り合いを付けるか。


それを本来なら「教育」として親が行うべき筈なのだが最低限の衣食住を提供するだけを親の仕事として捉えている親がいる。

あとは躾と称して我慢させるだけ、放任主義と称して育児放棄。

だから子供には趣味が必要となる。

安価で、安全で、親の手間がかからないもの、それがゲーム。

勿論、自分もかつてはゲームっ子だった。今やプロゲーマー、プロ配信者のゲーム実況などゲームで稼ぐ人が多くいる。


だからこそゲームをプレイする事に共感できる視聴者がいるということはそれだけゲームに育てられた世代がいるということ。

親の教育ではなくゲームによって拘りを解消する術を得た、あるいはゲームを通じて様々な分野に興味を持つに至った世代、人間が多いという事の現れでもある。

そしてそうしたプロや配信者を応援する。

ネットを介して繋がっても基本的には赤の他人だ。

趣味を持つ事で他人の夢を応援できるようになるのである。


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