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何か書きたい。  作者: 冬の老人
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現代版国譲り

糞長い。最長じゃないか?その前にエッセイなのか?という疑問もあるが。

国譲り神話。

古事記とかにある日本の神話のエピソードでファンタジーとかが好きな人は聞いたことはあるんじゃないかな。

ざっくり説明すると高天原と呼ばれる場所(天界的な所)から天津神がやってきて葦原中国(日本)を治めていた国津神に対して支配権を寄こせ、と交渉してなんやかんやあって天津神に支配権が移った。


そのなんやかんや、についてはいくら高天原に住む位の高い天津神とはいえ国津神からしたら他所の者が支配権を譲れ、と言ってきたら当然よく思わない。

結果としては力比べ、相撲を取る事になった。

国津神は千引石と言われる千人掛かりで動かせる岩を持ち上げた怪力のタケミナカタ。

それに対するは雷と戦の神、タケミカヅチ。

はっけよーい…となるのだがタケミカヅチからしたら付き合ってられない、と自身の手を氷柱、剣へと変えて見せた。

するとタケミナカタは恐怖して、タケミカヅチはそのまま手を掴みひねり上げた。

そのタケミナカタは反逆者として地方へ追いやられたわけだ。

その後タケミナカタは追いやられた地から出ずやな大人しくしていると約束したわけだが追いやられた土地の土着神と争ったり、その地から出ないという約束を破って侵略したりしてるわけだが…ひとまずそれはおいておこう。


さてこの国譲りは神話、つまり創作だ。

千人掛かりでやっと動かせる大岩をいくら怪力とはいえ一人で持ち上げる化け物地味た人間はいない。

そして手を氷柱や剣に変えることができる人間もいない。

そもそも神、といった存在もいない。少なくとも自分は知覚した事がない。

創作である。とはいえ「だから全て嘘」という事ではない。

このエピソードは天津神を皇族、国津神を当時の地方の豪族などに置き換える事で侵略、紛争と言う風にも見る事ができる。

歌の歌詞などでも社会の風刺だとかがあるようにそこにはメッセージがある。


さて、この国譲りだが現代日本で近い内に起こるんじゃないかな、と思っている。

無論、怪力無双の男たちが相撲を取り合うようなものでもないし、国家権力による暴力的な制圧でもない。

非常に分かりやすい言葉で片付けるなら「世代交代」だ。

ただもっと正確に言えば価値観の世代交代だ。

日本は女の性質を土台にした社会である。

それ故に男の性質である「多様性」「発展」という大きなエネルギー、あるいは成長は女の性質の「必要最小限」に切り捨てられる。

だからこそ切り捨てられたエネルギーは女の性質が介入しないため様々な文化や性癖となり、独自の進化を遂げる。

一方で女の性質故に発展スピードは緩やか、あるいは停止するが社会そのものは非常に安定、盤石な物となる。


4元素で考える。

男は火と風。女は水と地。

男は情熱の火、そして風来の風。

女は冷静の水、そして不動の地。

日本は土台に水と地が、つまり泥がある。

その上に火と風、熱風が巻き起こっている。

そうするとどうなるか。答えは「渇く」。

泥から水分が消えて残ったのは不毛な土塊。さらにその土塊さえ長年の風で削られて砂と化す。

日本、特に田舎とはまさに砂、砂漠である。

一度水分の抜けた砂漠で熱風が巻き起こる。

女の性質が強い力を持っていたが故にそこに捕らわれ続けた男の性質がそれに見合うだけの力となって渦巻いて暴走。

残ったのは「乾いた砂」。


そこには女の性質の土だった物なのか、あるいは男の性質である火が作り出した灰なのか、最早元がなんなのか分からないものが散らばっている。

元が分からないエネルギーを失ったもの、つまりは活力のない男女の差がない老人。

それでもまだ熱風が吹いている。

活力はない。しかしそこに吹く熱風の熱に当てられて自身がまだ若いと勘違いし、その風で動かされる。

熱風、男の性質は自ら動く。

確かに地方には独自の文化や特産品、それに携わる産業があり、それは活発だ。

しかし「地方の力」とは受動的だ。

砂はその場から動けない。動かない。いくら火で炙っても、風でかき混ぜても意味がない。素直には熱風で飛ばされるのみ。

生み出せない、という事は常に評価される立場側の立場である。


一方、日本の一定以上の人工があつまる都会と言われる場所はどうか。

そこの土台には男の性質があり、その上に女の性質がある。

コンロの上にある火にかけられた鍋、と思えばイメージしやすい。

最初は闇鍋に等しく、鍋の中には混沌としていた。

しかし長い間煮込まれ、掻き混ぜられ、中の物が混ざり合いながら変化を重ねる。

物がたくさんあるが鍋の中に煮込まれていってドンドン片付けられていく。

それは取捨選択であり、女の性質。

煮込まれていって無駄が削がれ、価値あるものが残る。


バブル期など、ある程度前は田舎と都会の力が拮抗していた。

田舎の土塊はまだ潤いと形を保って情熱と行動力があった。

怪力無双の土着神だった。

一方で当時の都会は色んな物がごった返し、それぞれが主張していたまさに闇鍋だった。

都会に住みながら田舎に憬れや望郷の念があり、神を崇める側でもあった。

さて今はどうか。

かつての怪力無双の神は今やハリボテ。

「頑張る」、頑なに張るのがやっとだ。

そしてかつての闇鍋は今では周りを吸収し、技術も文化も多種多様。

かつて混沌だった闇鍋は都会の神となった。

今、国譲り神話が起きればまさにタケミナカタのように地方のそれは追いやられる。

だけどそれはしない。

追いやられる、とはつまり逃げられるという事。

現代の都会の神は男の性質が土台。

火の力で燃やし尽くすため、風の力で策謀を巡らせる。

結果として力比べなどせずとも放置すれば自壊すると理解したのだ。


女の性質が土台にあるからこそ、滅多なことでは動きはない。

動くのは必要最低限。

現代版国譲りの勝敗は相撲すら取ってもらえない。

土俵で廻し姿で構えていても拳銃を突きつけられておしまい。

相撲が取れる内、取ってもらえる内に喧嘩を吹っかけた方が同じ負けるにしても納得は付きそうである。しかしやらない。

多数の人間はお上に噛みつかない。それが日本である。

そしてそれはまた新たな「我慢」、女の性質を生む。


「古きよき日本」とやらは恐らく既に存在しないが残り香は田舎にある。

それはロマンであるが古い日本を良いと思うのは古い人間だけ。

国譲りで地方は一気に価値観が変わる。そこにはロマンは無くなる。

それはつまりかつての日本が完全に消えると言う事だ。

新生日本、というわけでもない。

ただ水脈が行き渡るだけだ。

日本の改革、革命は静かに始まり静かに終わる。


具体的に言えば田舎は自分みたいな敗者とそれにマウントを取るしか能のない勝者は淘汰され、地方の賢者が生き残る。

否が応でも女の性質を土台とした「必要最低限」は見直される。

日本を殺すのは日本そのもの。

そして古来の日本が残るのは田舎のみ。

田舎を殺すのは田舎そのもの。

日本に歯向かう祀ろわぬ神は田舎に追いやられ、そしてその神は田舎ごと消される。


自分もそうした意味では祀ろわぬ神側だが、一矢報いるためにこうしてエッセイを書いて相撲を取る。一人相撲だが。



本当はもっと具体的な事を書きたかったけど、なんかまとまらなかった。

だから先に今回の話で頭の中の火と風のエレメントをばら撒いてフワっとした抽象的な兆しを置く。

何となく理解できる人は自分で掘り下げてみればいいし、理解できんならそれはそれでいい。

とにかく書かなきゃ次に踏み出せなかっただけだから。



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