表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/5

終幕


 魔力が枯渇した。無理もない。サディに襲われてから連戦続きで、魔法を使い続けて来た。元々魔力総量の少ない俺にしては粘った方だ。


「......殺す」


 仮面の男のナイフが首元に迫る。


「マリユス!!」


「"土よ、人となれ"」


 その凶刃を防いだのは、カールが即座に生み出したゴーレムだった。


「......ちっ」


「殺すなって言ってるよね? さすがに僕も堪忍袋の尾が切れるよ?」


「"土よ、仮面の男を縛る鎖となれ"!!」


「......つまらん」


 仮面の男は再び姿を消す。床から生えた土の鎖は誰もいなくなった空気を縛りつけた。


「......まずは、お前か」

「っ!? またあんたは後ろに......!?」


 仮面の男はミリエラの背後に姿を現し、手に持つナイフをミリエラの首元に当てる。


「......レグウスの弟子よ。目を逸らさずに見ろ、お前の無力さが仲間を殺すところをな」


「っ、やめろぉ!!!!」


 刃の先がミリエラの首に沈む。その時、ミリエラを狙った暗殺者の女、サディの言葉を思い出した。


『体内の魔力ぜ〜んぶ使って放つ魔法、それってどれほどの威力になるのかしらね?』


 自然と唇は動いていた。


『"仮面の男を吹き飛ばせ"」


 体の奥底で眠る、体外に出すほどもない魔力。その少しの水たまりのような魔力が、俺の詠唱に応えた。


 仮面の男が反応するよりも速く、一陣の風が仮面の男を後方へ吹き飛ばす。


「......っ!?」

「わーお」


 仮面の男は背中を壁に激突させ、その衝撃で仮面は男の顔から離れた。

 仮面の向こうから現れたのは。


「なんで、あんたが......」


 俺たちの担任教師、カラスリ先生だった。


「......君に近づくために、最も忌み嫌う魔法とやらの学舎で働くなど。反吐が出るほど不愉快だった」


「あーあ、バレちゃった。息も絶え絶えなマグさんの代わりに説明すると、マグさん改めマグ・カラスリは生粋のアンチ魔法使い。そして、最も嫌いなのが最強の魔法使いであるレグウス・ゴーシェン」


「だから俺を人質にして、師匠を殺そうってか? その程度で師匠が殺せるとでも?」


「ああ、殺せるさ。なんたって僕たちは世界最強の暗殺ギルド。あ、ちなみに既に君の師匠の方にも刺客は送られてるよ。僕たちはそっちが失敗した時用の保険。もしかしたら、もう師匠は殺されてるかもね?」


「......そんな訳ねえだろ。それに、お前らは俺がぶっ倒す」


「あはは!! やっぱり面白いな、マリユスは。ねえ、聞かせてよ?」


 カールは初めてゴーレムの肩から降りて、俺へと近づく。そして、楽しそうに笑って言った。


「どうやって両腕が吹き飛んだ状態で僕を倒すつもりだい?」


「......」


 サディが自分の命を犠牲にしたように、属性詠唱なしの魔法にはそれなりの犠牲が伴うようだ。そしてそれは、魔力がごく僅かでも同じ事だった。腕だけで済んでマシだったとも言える。


「"土よ、無数の人となれ"。残念だけど、マリユス。この勝負、僕の勝ちだ」


 無限に生まれ続けるゴーレムに俺たちはなすすべもなく、蹂躙される。


「"炎よ、歪な土の人形を一つ残らず破壊してあげなさい"」


 俺たちが絶望したその時、青い炎が全てのゴーレムを包み込んだ。


「何だい!?」


「......待たせてすまない、マリユス。あとは私に任せなさい」


 その声を聞いて安心してしまった俺の意識は、そこでぷつりと途絶えた。


 その後、意識が覚醒した俺が師匠から聞かされたのは以下の通り。


 師匠を直接襲って来た暗殺者は時間はかかったが、全員返り討ちにした。


 学園を占拠していたゴーレムの集団は師匠が一通り片付けた。


 学園占拠の犯人の一人、仮面の男、マグ・カラスリは捕えられた。


 もう一人、カールは師匠がゴーレムを片付ける間に姿を消していた。


「あなたが気に病む必要はありません。あなたは、しばらくは自分の体の事だけを考えなさい」


 俺とミリエラは、俺の両腕を除いて無事に生き残った。

 俺は両腕を失ったが、魔法を失ったわけではない。必ず俺は最強の魔法使いになり、全ての敗北を勝利に変えるつもりだ。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ