1ー1ー4真のダンジョン一階層目
キメラの素材は落ちていないのだから回収は不可だ。
やらなければいけないことがある。ベルフェゴールとの対決。
なぜ俺を殺す際に涙を流したのか。
そこに興味を持ってしまった。だからこそアルに三人を任せた訳だが。
穴を降りる方法は確立しておいた。机上の空論でしかないが、想像力次第では成功するだろう。
現に何も無い空を蹴りあげることには成功した。
冷や汗が数滴流れる。
俺の今回の目的は二つ。
一つ目にベルフェゴールを倒せるだけの力があるかどうか。
これは朱雀の加護を使えば簡単だろう。その後に撤退すればいいだろう。食料も焼くための火も準備できる。
二つ目に技術の向上だ。
多分、青龍の力があればステータス面はなんとかなるだろう。それならダーインスレイヴの能力上昇も含めて、ステータス固定でやるべきだ。
そしてその間に俺は穴の真上に来ていた。
目の前に結界を張り蹴りあげ半回転する。穴の真上に小さく結界を張り、そのまま穴の下に飛ぶように蹴った。
結界を張るために使用する魔力は少ない。俺からしたら、と付くだろうが。
張っている結界の大きさは三十センチほど。守るために大きくしているわけではないので、頑丈さを誇ればそれで上々。
穴を落ちる速度は百キロは超えているだろうか。風が俺の頬を切るようにぶち当たる。
まだだ、まだ地は見えていない。
俺はもう一度、足に結界を張り蹴る。体感で速度は二倍になった。
反対に蹴れば足のダメージは大きいだろう。普通なら、な。
生憎とこの世界には魔法がある。
ベクトル操作、なんて大それた力はないが、ダメージを軽減する方法はある。
地が見えた。
ここぞとばかりに自身の先、三百メートル先に結界を張る。その結界の周りに回復魔法をかける。
これで足をぶつけた際にある程度の怪我なら治るだろう。死ぬよりも痛い方がまだマシだ。
穴の上で行った半回転をもう一度行い、その結界に足を叩きつけた。
「グッァ」
痛いのレベルじゃない。
骨折をしてそのまま体が潰れてしまう感覚。
予想通り回復魔法のおかげで死ぬことはない。
それを数度行う。
足に手を当て直で回復魔法をかけながら、何度も何度も。
そして地に降り立った。
体に怪我はない。
それと同時に回復魔法をいくらかは理解できた。
回復魔法に完璧な治癒能力はない。これは人の自己免疫力を増大させるだけの力、いやそれを無理やり起こさせるトリガーでしかない。
例えば骨折を治すなら数ヶ月かけるだろう。その間に変に治癒しないように添え木をする。
だがそれも薬の力などない、人の個人の力である。それを増大させる。
そしてそれがとても強くなるからこそ、添え木などは不必要となる。短時間で治してしまうのだから。
それに気付けたのは怪我の治り方である。
確かに痛みは徐々に小さくなり、足のダメージも少なくなっていく。
だが治って骨折という感覚ではない。治りかけの足がもう一度バキバキに壊れる、そんな感覚だ。
一度見た穴の底。
ダーインスレイヴを構え、前と同じように、最短距離で下層を目指す。ダメージに関しても未詳の黒衣のおかげで少なくて済むだろう。
「……あれ?」
出てくる敵がおかしい、そう感じたのだ。
例えば前回出てきた敵は虎や狼だ。
だが目の前にいるのはゾンビのような存在。
ダーインスレイヴを構えながら、視界外に隠れる。
「……入ってからダンジョンが切り替わるとかか。それなら魔物も変わるか普通?」
一応、そんなもんだと思い、ゾンビが背を向けた時に切りかかる。
武器の強さと回復魔法がかかっているからか、一撃死だ。
ちなみにだが、内装も変わっているからこその考えだった。
周りは森林であり、それでいて夜である。
暗闇の中からゾンビのような存在、いやゾンビが現れる感覚だ。
無論、これでは最短距離もわからない。技術能力の向上も微妙だ。
一つ良かったことがあるとすれば、経験値が入ることだろうか。
レベル一からやり直しで前回以上にステータスは上昇する。そんな中での経験値はとてもありがたい。
そのまま俺は森の中を駆け回った。
思いの外、ゾンビとの遭遇は少ない。出会っても最高で三体ほど。
結界と回復を付与したダーインスレイヴで、一撃で倒せるのであまり苦はない。
だがこれで少し予定が狂ったな。
ゾンビの肉は流石に腐敗して食えない。ゴブリン程度ならまだ食えたが。
道もわからないなら、野営も視野に入れなければいけない。
「はあっ……」
俺はため息を一つ吐き、ダーインスレイヴを握る力を強めた。
そこから数時間、森の中をさまようとは知らずに。
ゾンビは約五十体は倒した頃に、森の終わりを見つけた。
門などはない、ただの終わり。
色々な解釈のできる終焉だろう。
いくつもの墓がそこには立ち、真ん中に一人の女性が立ち尽くす。
俺の方を向いているのに何もしない。
まるでラスボスのように、俺が森から出るのを待っているようだ。
仕方ないと思い、俺はダーインスレイヴを構えながら体全体に結界を張る。未詳の黒衣は風もないのに不気味にはためいている。
そのまま片足を森から出し、
そして、
俺の足は吹き飛んだ。
というわけでプロットをいくらか作って書き直ししました。再度よろしくお願いします。
これからもよろしくお願いします。出来ればブックマークや評価等もよろしくお願いします。




