油断+怠慢=?
「アルとサーシャ、これに似た石って見つかるか?」
やはり二人は知っているのか少し驚いた様子を見せる。すぐにこくりと頷くとものの数分で価値の高い錬金素材の石を数十個持ってきた。
「アル、サーシャありがとう」
「嬉しいですけど……離してください。皆様見てますよ」
サーシャの言葉を聞いて俺は二人に抱きついていたことに気付く。アルはもう兜を外しているため顔が丸見えだ。もちろん、真っ赤な顔がみんなに露見する。
そして俺には錬金術師としての素質があったんだと思う。こんなに錬金素材で喜べるなんて。周りが見えなくなるなんて。
「私でも見つけられる?」
握りこぶしを作りふんすと鼻息を荒くするシズと生徒のために身を粉にしなくては、とやる気を出す京香先生にも探すお手伝いをしてもらう。
その間に見つけてきてくれた錬金素材でいくらかの道具を作り始める。まず錬金術は道具がなくても出来るらしい。それは前回のことで学んだ。
魔力を主軸としている。それはここの錬金素材には通用しない。線の問題ではなく今回は許容量の関係だ。
例えば携帯のバッテリーには各社や大きさによって電気の入れられる量が違うだろう。それをこの石にも言えるだけだ。魔力を主とすれば魔力を通すだけだが、貯蓄となれば少し変わってくる。
「ここでの魔力の変化はなし。全ステータスと書いていたけど魔法の回数は今まで通りってところか」
魔法の威力は普通であればその人の技術によって変わる。魔力値で変わるということはないためここのダンジョンを作った人も下手な制限をしなかったのだろう。制限してしまえばセイクリッドソードなんて大技は使えなくなるかもしれないからな。
戦闘で死ぬことは前提としてあるが力を発揮出来ないままで死ぬのは不本意。作者の意図っていえばこの程度なのだろう。
うん、上手くいった。魔力を貯蓄出来る石には大体百八十まで入れられる。
これと魔物の中心と言える魔力のコア、つまりは魔石を混ぜ込む。後で知った話なのだが七属性の魔石のように自生的に産まれるものや、魔物の中にある魔力のコアとで分かれているらしい。
今回はホワイトウルフの魔石を使おうと思う。というのも効果もある程度使えるものでありながら簡単に使用出来るためだ。まさかこんな簡単な錬金で失敗するわけがないだろう。
「魔力回路に変化は無し。以上もきたしていない。さっすが俺」
調子に乗って魔力限界値ぶんまで魔力をホワイトウルフの魔石に流す。それに気付けるほどの理性はもう俺には残っていなかった。
不意に光を放ち始める魔石に気付き魔力供給を止める。少し怖く感じてきたため逆に吸い出してみた。これはダンジョンで手に入れた魔力を貯める石で練習済みだ。
規定値を超えたがすぐに魔力を吸い出されたため、元のホワイトウルフの名前に恥じぬ真っ白い魔石は透明へと変わる。
鑑定眼で見るとどうやら進化したようだ。
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真・ホワイトウルフの魔石
魔石の大きさにそぐわぬ魔力を多大に溜め込んだため一度魔力回路が破壊。その後に魔力を吸収されたことによって新たな魔力回路が作成された。
ウルフ系統の現祖の魔石に類似している部分が多いが完全なオリジナルなため、真という名前が付けられた。
この大きさであれば四つの道具の作成が可能。
錬金術で作れる能力は魔法効果増大、魔法吸収
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良い意味での失敗があったがその魔石を四つに割り魔力貯蓄の効果を持つ錬金素材と合成させる。金具の部分は鉄で表面上にホワイトウルフの毛皮を巻き金属に負けることを防ぐ。
こうして俺は四人分の指輪を作成した。もちろん、他意はない。目の前で目をキラキラさせる四人なんて映っていない。
「……ただのお礼だから。死なれても困るだけだから。変な意味で解釈はしないでね」
きちんとその人に合った色にしている、手の込んだものなんて言えない。
シズは赤でサーシャは白、アルは青、京香先生は黒だ。
前と同じく使用者は限定している。少し意外だったのが指輪を渡して一番喜んだのがアルってことだ。意外に乙女だったみたいで、もしかしたら聖騎士になったのも王子様を見つけるためだったりして。
今回の件が後にスローライフを充実させることになります。それの伏線?みたいな話です。
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後、余談ですがもう少しで序章が終わる予定です。大体30~35話までの間で終わらせる予定なのでお楽しみに。




