悔いなき選択(笑)
「サイズ合わない人とかいないか?」
俺のその声に反応する人はいない。四人全員が自分の指についたそれを見てうっとりとしている。
多少時間がかかってからアルが一番に復帰した。今更、ごほんと咳払いして何事もなかったかのように取り繕ってももう遅い。
「はっ早く立ち直るのだ。ここを出ないと結婚も出来ないのだぞ」
「いや、結婚の話なんてしてないからね!」
変なことを言い始めたアルに瞬間的にツッコミを入れる。アルの言葉のせいでほかの三人は子供がとかペットがとかそういう話をし始める。元の世界と同じで異世界にもペットの文化はあるらしい。
まあサーシャの言葉を聞く限りただの犬猫ではないようだけど。
とりあえずアルの言葉で立ち直った三人は思い思いに武器を持つ。シズは実験だが拳で戦ってみるみたいだ。後でグローブでも作るかと決意した瞬間だった。
四つに分けたとはいえその四つともに最大貯蓄まで入れているため、魔力の使用無しで魔法が使えるようになった。
それはとても大きなことで特にアルの攻撃に磨きがかかる。斬撃とともに風の刃を作り出す。多発は出来ない代わりにここぞという時に決定打を欠くことが少なくなった。
サーシャは相手からの魔法攻撃の吸収、つまりは斥候の役割を担っていたため多少のダメージが後に影響してきていた。いちいち回復をせずに済んだため他の人への魔力消費が抑えられる。ある程度貯めれば自分の魔法で使い切る。そのようなサイクルが出来上がっていた。
シズは拳で殴り殺す方が効率がいいとわかって格段に行動が良くなった。攻撃をしながら回復も行う。いわばヘイト稼ぎのタンクだ。それも自動回復付きの。敵からすればウザったいだろう。
京香先生は結界の強度が強まった。そして結界に当たった魔法も吸収される。余った魔力を魔法を撃つことで溜まりすぎを回避している。
皆、物理は避け魔法は受けを繰り返していた。それの甲斐あってかほぼノーダメージのまま魔力の貯蓄も最大。
そのまま落ちた場所から五階層降りた場所まで向かう。その間、三時間とかからなかっただろうか。少し前に見た重厚そうなフロアボスの扉。
「三つの試練の一つ、スキル……か」
フロアボスの扉に貼られた紙に書かれた言葉。となればここでの戦いはどれだけ良いスキルを持つかというところだろうか。
考えていても始まらないためゴーっと音を立てながら開く扉を通過する。おかしな点はない。上階との差はあまりないようだ。
中に入ったことによって現れたのは熊だ。大きな熊。爪に風を纏い足にまでそれは及んでいる。
シュッという音とともに目の前まで迫ってきた熊、ウィンドベアーの対処をする。
「守りなら任せてください!」
何度か攻撃を受けた後、京香先生の結界に守りを託す。俺の足りない部分はアルやサーシャのカバーが入り一人でヘイトを貯める必要が無い。少し大きめのダメージを受ければ後方からの回復魔法がかけられる。今回、シズは後方支援特化に変えた。それのおかげという部分もあるだろう。
ザシュッという音が五回ほど連続で響く。初撃の俺の斬撃から次いでアルの、サーシャのと繋がっていく。そのためウィンドベアーから反撃をされる心配もない。
前を俺が攻撃したかと思えば後からサーシャの、そして気を取られているうちにアルから重い一撃が入る。
それに気付いたウィンドベアーは一人に集中攻撃を始めるがもう遅い。
「狙う相手を間違えたな」
俺に向かってきたウィンドベアーの爪を手ごと切り裂く。何度も切って血を吸っているためダーインスレイヴの切れ味は元のものとは比べ物にならない。
「じゃあな」
後ろから二人によって切り裂かれるウィンドベアーを横目にダーインスレイヴを鞘の中に戻した。
そのままウィンドベアーを倉庫の中に仕舞い開かれた階段を降りていく。
魔力の扱いが上手くなったからか、その後の移動の際にも京香先生の結界が切れることは無かった。
そのため奇襲というものが効かない。
「グギャギャギャ」
嘲笑の意味を込めてそう声を上げて攻撃してきた緑色の小鬼、通称ゴブリンがガギンと宙で止められた棍棒を訝しげに見る。
結界が常時展開されるってことはこういうことだ。結界に守れないものがあるとすれば俺の持つような精神魔法くらいだ。こちらと変わらないステータスを持つ魔物では破壊するのに時間がかかる。
それをやっている時間があるわけがない。バレた瞬間に首を切られ魔物は死んでしまうのだから。
それを繰り返しているうちに七階層目までクリアしていた。次のフロアボスまで三階、それまでに練度を高めなければいけないと意気込んでいた。
もうそろそろでこのダンジョンのボスが姿を現します。その際に少し主人公の過去が描かれます。お楽しみに。
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ガチャ爆死中…1パーセントの壁はでかいですね




