膝枕をしながらのぞき込む、やっぱり私は間違っていなかった
題名に「が……ま……」と付けるか悩みました(笑)
目が覚める頃にはサーシャは寝ていた。外が騒がしくないところを見ると夜中なのだろうか。
「うぅーん」
艶かしい声を出したサーシャを見て少しだけ悪戯心をくすぐられる。
サーシャの膝から頭を離しベッドの端で正座をする。起きないようにゆっくりとサーシャを倒し頭を膝に乗っけた。
「なるほど、女子がこういうのを好きな理由が少しだけわかったぞ。……これはやるのもやってもらうのもいいな」
サーシャは気持ちよさそうな顔をしながら頭を横に向ける。少しだけ悲しく感じたがサーシャの手が俺の手を掴んだ時にそんな感情は吹っ飛んだ。
とは言っても流石にこのままだといけないか。
「起きろー、サーシャ」
「ふぁー?」
上を向いて目をこするサーシャ。こちらを見てサーシャは固まる。
「おはよう」
そう言ってニコリと笑った。しかしサーシャが動き出す気配がない。
「どうした?」
「……膝枕をしてくださっていたんですか」
そうだよ、と言って頭を撫でる。面白いことにサーシャの表情はコロコロと変わっている。
「……ありがとうございます。今度は私が」
「今の今までやってくれてたんだから大丈夫だよ。それにやるのも楽しいものだからね」
語っているうちに世が更けていった。朝日が少し見えだした時にサーシャは部屋を出て行く。
それから二時間程経過した頃に扉を叩く音が室内で響いた。
「ヨーヘイ開けて。昨日、食堂にいなかったんだから今日こそは行こうよ」
「あーわかった。ちょっと待っててくれ」
扉を開けるとやはりと言うべきかそこにいたのはシズだった。シズを室内に入れ、簡単に服を着替える。
「ちょっといきなり脱がないでよ」
漫画でよくある顔を手で覆いながら指の合間から見るという、古風なボケをかますシズを放っとく。
「行くなら早く行くぞ。そんなふざけたことしてないで」
「うん……ヨーヘイ以外に筋肉あったな」
最後にぼそりとなにか呟いていたがよく聞こえなかった。
シズの後ろを陣取りながら食堂の位置を探る。場所は初日に食事をした所のようだ。
「あっシズさん。……と金倉かよ」
やはり俺が来るべきではないようだな。そう思って踵を返そうとするとシズに手を掴まれる。
「あんなやつのいうことなんて気にしない、気にしない」
「気にしてない、気にしてない。ただあいつらはあいつらで俺の顔を見るのが嫌ならそうしたほうがいいだろ」
「私が良くない。昨日あんなことしておいた癖して」
シズの言葉で周りがざわざわと騒めきたつ。仕方ないのでその場に止まってシズに向かう。
「アホか。誤解を招くような言い方すんじゃねえ」
なにか期待していた顔をしていたシズにデコピンして席に座らせる。何故か俺はその隣に座らせられた。
シズの隣はやはりと言うべきか水木が座っていてシズに話しかけているがほとんど無視されている。
何かあったのかな、とそっちを見ながら俺のもう片方を見る。
「で、なんで京香先生が隣に座ってるんですか」
「わっ私はただ不純異性愛行動をとってないか確認するために」
「それならしてないですよ」
「そうですよ。昨日良い雰囲気を見せつけられただけですし。それにどっかの誰かさん見たく会って初日にメイドに手を出す人は好きじゃないので」
明らかに水木がくの字に曲がってテーブルに顔を付いた。
あっこいつがアルの言ってた初日からメイドに手を出した人か、と思っていると他にも十人ほど倒れ込む男子がいた。
「ヨーヘイ君は手を出していないの」
「俺はまだですね。シズとサーシャにプレゼントしたくらいですし。それをあんな誤解を招くような言い方をして」
「だって……嬉しかったし」
不覚にも可愛いと思ってしまったがそれを表には出さないように努力する。
「良かったね。くれぐれも先生みたいな行き遅れにはならないようにね」
「先生は行き遅れじゃないですよ。それだけ綺麗ならすぐに彼氏が出来ますって」
「そうですよ。それとヨーヘイと幸せになります」
また変なことを言い始めたシズの脳に響き渡るくらい思いっきりデコピンをした。バチコーンととてもいい音が響いてまた男子からヘイトを貯める結果となった。
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