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第一章 神々の黒歴史。不条理神様異聞録フラッシュニュース!

聖遺物(せいいつぶつ)と呼ばれるものは、神々が神へと昇華する前に使用していた生活用品の類である。神に至るその瞬間に神力の洗礼を受け、わずかながらに神性を宿した神秘の品々だ。

「親愛なる我が同胞よ。教会のためにこの聖遺物を送り届けてくださったこと、心より感謝いたします。お礼として、教会の力の及ぶ限り、かつ道徳の規範に反しない願いであれば、何でも一つ叶えて差し上げましょう」

光の教廷(こうてい)の教皇は、両手が泥まみれになった一人の老農夫の手を優しく握り締め、慈愛に満ちた笑みを浮かべて言った。

「ええと……? でも、あれってただの糞桶(肥桶)だべ……?」

「……『聖遺物』、ですな」

教皇の笑みが、ほんのわずかにピクリと引きつった。

「いや、開いた口が塞がらないな。でもよ、オラ今朝もあれ使って糞尿(大糞)を担いできたばっかりだぞ?」

「……。……剣を抜けッ! 異端者がァッ!!」

* * *

【フラッシュニュース! フラッシュニュースです!】

こちらは『死神がクソムーブしても死なない、不条理神様異聞録ニュースチャンネル』です。

我が社の記者はこの度、光の神の聖遺物について、とある「名前は明かせないが、顔に目隠し代わりの海苔を一枚横に貼り付けた神界の関係者」への独占インタビューを敢行いたしました。(※具体的なイメージは『慎重勇者』の剣神をご参照ください)

「――あの、お訊ねしますが、なぜ貴方の聖遺物が『糞桶』などというシロモノになってしまったのでしょうか?」

「あ? それな。当時、俺に課せられた昇神(成神)の条件がな、『心から誠心誠意、光を讃えること』だったんだよ。いやマジな話、神になる前の俺はさ、口を開けば『聖なる光の導きがあらんことを……おっと違った、護りがあらんことを』とか言ってたけど、心の中じゃ一度だってお光様を讃えたことなんてなかったわけ。

そこで俺は来る日も来る日も考え込んじまってさ。そのストレスのせいで、ものすげえ便秘になっちまったんだよ。だがある日、糞桶の上にしゃがんで、ずーーっと詰まってたクソをな、ついに一気にドカンとひり出したんだ!

あの瞬間の、脳を突き抜けるような爽快感! 俺は人生で初めて、心の底から『ああ、光よ感謝します!!』って讃えちまったんだよね。そしたらそのまま神になっちゃった。へへっ」

「な、なるほど……。そ、そういう事情(わけ)だったのですね……」

ゴホン、失礼。……続きまして、こちらも「名前は明かせないが、顔に海苔を横に貼り付けた神界の女神様」へのインタビューに成功いたしました。(※具体的なイメージは『慎重勇者』の弓の女神をご参照ください)

「――あの、お訊ねしますが、貴女の聖遺物が、その、いわゆる……『大人のオモチャ』なのは一体なぜでしょうか?」

「それかしら? 当時、私が課せられた昇神の条件は『生命の最大の奥義を見つけること』だったの。だから私は世界中を巡って、勇者の称号を持つ男たちを見つけては、三日三晩の大決戦を繰り広げたわ。彼らを骨の髄までしゃぶり尽くしたその時、私は唐突に悟ったのよ。――『男なんて、どいつもこいつも役に立たないゴミクズだわ!』ってね。

だから私は、一本のローターを改造して、永久機関を搭載してやったの。そしたら見事に生命の女神になれちゃったわけ! おーほっほっほっほ!!!(狂笑)」

「あ、あの……女神お姉様、ここから先の下ネタの爆走が急激に上がりすぎて、本日のインタビューはここまでとさせていただきます! ご視聴ありがとうございました、また次回お会いしましょう!」


【以下、次期のニュースの焦点】

☆【衝撃】光の教皇、市場のど真ん中で農夫のジジイにボコボコにされる!? その驚愕の真相とは!?

☆光の騎士團、農夫のジジイが肥料を運ぶための『ただの木桶』を力ずくで強奪! これは人間性の歪みか? それともモラルの崩壊か!?

☆生命の女神教団、なぜか『女性の主祭』を絶対に選出できない驚きの理由! 現代の主祭(※男性)が自らその闇を語る!

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