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零のアルトリア  作者: 朔夜 百舌
無能者
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第一話 セリア・ロンド

 レイが学院に入って、4年が経った。


 エルミナ魔法学院は全寮制であり、寮は基本一室に二人で6年間を過ごす。しかしレイがいるはずの部屋には、今や一人しか生活していない。もう一人、いるはずの人間がいないのだ。

 レイがいないのである。

 魔力のないレイは魔法が使えない。魔法学院においてそれは致命的であり、レイはいつしかニヒトとあだ名をつけられ、いじめられるようになっていた。同じ部屋の生徒も例外ではなかった。それはそれは、とてもつらい生活だった。

 そしていつからか、レイは誰も来ない屋根裏部屋で一人過ごすようになっていた。


 そんなレイにも、救いがあった。セリア・ロンドである。

 セリアは琥珀色の長い髪と瞳を持つ、明るい少女だ。周りがレイをいじめる中、ただ一人レイの友人でいてくれた。

 ある日、レイは少し気になってセリアに尋ねた。


「なんでセリアはいつも僕と一緒にいてくれるの?他にも友達いるでしょ?」


 セリアはフンッと鼻を鳴らして答えた。


「なんでレイといるのに理由がいるのよ。誰といたって私の勝手でしょ!」


 レイには、少し照れ隠しをしているように見えた。

 ある日のことだった。レイがいつものようにセリアと食堂で昼食をとっていた時のことだ。




「おい、無能者」


 レイの肩がびくりと跳ねた。振り返らなくてもわかる。聞き慣れた声だ。もちろん、良い意味ではない。


「ど、どうかしたの?レオン君…」


 レオン・ギルフォード。レイをいじめる者の中でも、特にたちが悪い部類だった。たいていの生徒は無視するか避けるだけだが、レオンは直接手を出してくる。先日など、レイの教科書を炎の魔法で燃やしてしまったほどだ。

 レオンはレイを一瞥すると、次いでセリアに視線を移し、どこか嘲るように言った。


「成績優秀で由緒あるロンド家の令嬢が、こんな無能者と連んでいては、お前の評判が落ちるだけだぞ」


 レイは胸の奥がちくりと痛むのを感じた。確かに、セリアは男爵令嬢であり、魔法の実技も筆記も成績上位の優秀な生徒だ。一方レイは、筆記の成績こそ悪くないが、実技はもちろん散々である。

 そんなことを考えていると、セリアが怒ったように口を開いた。


「私は好きでレイといるの!レイがどうとか関係ない!それとも何?もしかしてレオン、私と一緒にいたいの?」

「黙れ!思い上がりも大概にしろ!」


 顔をわずかに赤らめながらそう吐き捨てると、レオンは取り巻きを引き連れて去っていった。

 レイは申し訳なさそうにセリアに言った。


「ごめんねセリア、僕のせいで」

「謝らないでよ。あんな奴ほっとけばいいの!」


 セリアはそう言って、勢いよくサラダをほおばった。その横顔を見て、レイは自然と笑みがこぼれた。


最後の表現は私の好み

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