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夫婦の神生活  作者: 皐月猫
学習と経験
40/40

実行者は誰?前編

1日目

いつもよりも光が眩しく感じられる。

オオトノ男神は朝に水浴びをするらしく、外に出て行っていた。


「で、どうやって探すんだ?」

「まずは痕跡を見つけようかと」

「……は?今更?」


おもだるは口を大きく開けて小屋に目をやる。

汚れを落としてから血の気配は無くなっている。

当たり前でもある、あれから長い年月が過ぎた。

イザナミは僕の横に立ち、中を見つめている。


「もう因子なんて残って無いだろ。見つけるってどうするつもりだ」

「イザナギの力を使います」

「いざなみの?……ああ、そういうことか」


おもだるの視線が僕からイザナミに移る。

理解が早いと考えたが、おもだるは実際に見たことがあることを思い出す。

修業の初め、おもだるを探す時にイザナミは魂の導きを利用していた。

あれを小屋にまかれた血肉の魂にも効くんじゃないかと考えたのだ。

何の死体かは分からないが、今までに魂の無い生物は聞いたことが無い。

おそらく見つけられる。


そう時間も経たないうちにイザナミから声がかかる。

「いた。下の方にいるみたい。えっとね……あの辺り」


イザナミの示すほうに視線を落とすと大きな洞窟があった。

おもだるにも声をかけて下に降りる。


「本当にオオトノ男神を待たなくていいのですか」

「この距離なら問題ないだろ。流石に目が届かないからっつって修行を再開はしない」

「それもありますが、相手が何者か分かっていないまま動くことはどうなんでしょう」

「危険ではあるが……神が殺された話は知らない。そもそも修行場所に危険な奴を放置するとは考えられないしな」

「修行の動物は危険では無いのですか?」

「森の修行か。あれは仕組んでいるからな。それに軽い怪我だけで致命傷にはなっていないだろ?」

「あれは意図的な危害。そしておもだるは常に見える位置に座っている」

「まあな。死なれた方が困る」


話している間に地面に足がつく。

洞窟は屈めば入れるほどの大きさ、中は暗く湿っている。


「こんな場所があったんですね」

「来る必要が無かったからな。最初はここを住処にしようとも思っていたが、天之常立が小屋を建てたから説明する理由もなかった。」

「……この奥です。他は、いないかな?」

「今の時間で一匹か。珍しい」

「珍しいですか」

「ああ。こういった場所に住むのは夜行性、夜に活動する動物が多い。魂がいるとはいえ他がいないのは珍しいんだ」

「……行きましょうか」


少しずつ先に進んでいく。

音は足音と上から落ちてくる水のみ。

静かだ、とても静か。ゆえに、奥の気配が強く感じられる。

一匹、ではないだろう。

十匹、二十匹……いや、もっといる。

でも、どれも……生きた気配はしていない。


「なるほど。他というのは、魂以外の存在と言う意味か」

「はい。そして、その」

「何か問題があったのか」

「問題と言う程では無いんですが。今、私たちが探している魂のことなんですけど」

「まだいるはずだ。小屋が荒らされていた日に殺されているとしても、まだ次には移っていないはずだ」

「……はい。全員います」

「では、何が」

「全員なんです」


おもだるが足を止める。

正面を見つめ何も話さなくなった。

少し横にずれて前を見ると、広い空間があった。


多くの生き物がいた。

地に足をつけたもの、天井にぶら下がるもの、壁に寄りかかるもの。

多種多様。夜行性の生き物もいるんだろうが、僕が見たことのある生き物もいる。

どれも魂、死んだもの。ゆえに一切の生命活動を行っていない。

ここは洞窟、狭くて限りのある場所。しかし一切の匂いや音がしない。


一つ、肉のひきつる音がした。

おもだるが拳を握りしめている。


一つ、水の跳ねる音がした。

後ろからオオトノ男神が近づく気配がする。


此処にいる魂は全て……

被害者であり、証拠であり、巻き込まれたものであった。


今日は終わる。

イザナミと僕は魂から話を聞いた。

おもだるは外に出て行ったため分からないが、オオトノ男神から話を聞くと「まいっている」そうだ。

オオトノ男神は僕たちの様子を見ていた。あの男神は動物の声は上手く聞き取れないらしい。

そこも個体差というものがあるのか。

ー多かった。丸一日使ったよ。

 仕方ない。だが有力な情報が手に入った。

 どんなのかって?色々さ。

 一撃、即死、記憶にない、一瞬……そもそも自分は死んでいてのかって。

 つまり相手は苦しませずに大量に殺していった。

 わざわざ洞窟までの道も教えて。

 あの時の俺には、理解できない事だった。


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