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悪魔に捧げる鎮魂歌  作者: 西季幽司
第四章
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誰が悪魔を殺したのか?⑤

 DNA鑑定の結果、白骨遺体は青木涼香のものであることが確認された。

 あの日、弓月の実家の前にいた野次馬の中に、青木の姿を見た。あれは絶対に青木だった。変わり果てた姿とは言え、娘が戻って来て喜んでくれているだろうか。

 弓月殺害の犯人として、容疑者が捕まったという報道があった。詳細について報道がなく、警察から探偵事務所への連絡もなかった。

 事件は大詰めを迎えているようだ。

 だが、鬼政からの連絡がなかった。辻花大悟が捕まったのか?それとも蛭間朱里が見つかったのか?大政さん、連絡してくれよ~と、ジリジリしながら鬼政からの連絡を待っていた。

「兄ちゃん、ビデオ通話のやり方を忘れた。悪いけど、もういっぺん、教えてくれへんか」と鬼政から連絡があったのは、二日後だった。電話だ。

「教えるのは構いませんが、事件の話を聞かせて下さい」と念を押してから、もう一度、初めからビデオ通話のやり方を教えた。

 電話だと、なかなか分かってもらえない。

 何とか開通すると、初めてのビデオ通話でもないのに、「おおっ!兄ちゃん、あんたの顔がはっきり見えるで!」と鬼政は歓声を上げた。

「大政さん。事件に進展があったみたいですね。容疑者が捕まったという報道がありました。誰が捕まったのですか?」

「おいおい、兄ちゃん、急いては事を仕損じるって言うやろう。そう急ぎなさんな」

「ああ、そう言えば」と俺は事務所の調査員、杉山が辻花家のスパイだったことを鬼政に説明した。

「まあ、そやろな。赤壁の戦いの黄蓋みたいなもんや。投降を偽って、敵陣営に乗り込んだ。そんなええもんちゃうか。金で動いただけやろ」

 また三国志だ。余程、好きなのだ。

「僕が見つけた白骨遺体、青木涼香ちゃんのものであることが確認されたみたいですけど、遺体を発見した日、野次馬の中に涼香ちゃんのお父さんを見たような気がします。間違いありません。あれは青木さんでした」

「さよか。弓月の告白を聞いて、飛んで行ったんやろう。はよ、娘さんに会いたかったんやろうな。兄ちゃん、よぉやった。青木さんも喜んでくれとるで」

 鬼政にそう言われると、嬉しくなった。

 いきなり本題に入った。「捕まったのは辻花大悟や」

「やはり捕まったのは辻花大悟だったのですね」

「蛭間朱里の居場所も突き止めたようや。身柄を確保している」

「二人で弓月を呼び出し、殺害したと言うことですか?」

「それがちょっとちゃうようや」

「どう違うんですか?」

「弓月が解放されたことを知った辻花大悟は蛭間朱里と連絡を取った。蛭間朱里が弓月と連絡を取ると、弓月の方から会いたいと言うてきたみたいやで」

「弓月の連絡先を知っていたのですか?」

「こういうことや」と鬼政が経緯を説明してくれた。

 事件の三日前、蛭間朱里は大阪にやって来た。俺たちが泊ったホテルに宿泊していたのだ。予約を入れたのは辻花大悟だった。辻花大悟の手配で大阪へやって来た。

「辻花大悟によれば、蛭間朱里は弓月を誘き出す為の餌に過ぎひんかったそうや。弓月を誘き出しさえすれば、後の始末は自分でつける。そのつもりやった。辻花大悟はそう証言しとる」

 高寛たちが弓月を開放してしまったことを知った辻花大悟は、いざという時の為に残しておいたバックアップ・プランを発動させた。

 辻花家は当然、連絡先として弓月の携帯電話番号を知っていた。蛭間朱里に電話を掛けさせ、弓月を呼び出すことにした。ひょっとしたら、相手が女性なら、弓月も油断するかもしれない。そう考えた。

 ただ、バックアップ・プランと言っても、綿密に練り上げた計画ではなかった。弓月を呼び出すことさえ出来れば、後は何とかする。その程度の行き当たりばったりの計画だった。

「蛭間朱里さんは何と言って、弓月を呼び出したのですか?」

「それがな。特にへんなことは言っとれへんそうや。ウチは蛭間昭雄の母親や。昭雄の事件について話をしたい。ウチは真相を知っとる。なんで、昭雄が死んだのか、その訳を知っとる。昭雄は自殺なんかやない。殺されたんや。そのことは、誰よりも自分が一番、よぉ知っとる――とまあ、そないなことを言うただけやそうや」

「それで、どうなったのですか?」

「会いたいので迎えに来てくれ。弓月はそう言ったそうや。弓月を何処に連れ出すかと言うことだけは、打ち合わせておいたらしい。ため池の近くに小さな神社があったことを覚えとるか?坂上(さかのうえ)神社言うてな、坂上田村麻呂を祭ってある。静かな場所で話がしたいと言うて、弓月を連れて行ってん」

「車を停めた場所ですね。辻花家の祖先、坂上田村麻呂所縁の神社だったのですね」

「そうや。ほんで弓月に襲われたと蛭間朱里は証言しとる」

「えっ⁉」弓月に襲われた。どういうことだ?殺されたのは弓月の方だ。

「ウチは知っとる。昭雄は自殺やない。昭雄を殺したのは、あんたや。証拠だってあると言うような話をしたら、突然、弓月が襲い掛かって来よった。いきなり襲い掛かって来て、首を絞められた。蛭間朱里はそう証言しとる」

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