ホットドッグ
俺たちはトラック入りのクルーザーが入った潜水艦が挟まれた黒い大きいのを見上げた。
トラックが入ったクルーザー、そのクルーザーが潜水艦に入っている。さらにその潜水艦を黒い半円の物体が両側から挟んで持ち上げている・・・
「これは、ホットドッグだな」
パンを半分に切ったような丸い物体に挟まれた潜水艦を見上げて俺は言った。
「そう見えるな」
となりでマリーが同じように見上げながら言った。
「おい、パンが黒焦げだぞ」
「ソーセージも真っ黒だな」
「焼きすぎだぞ」
「これは、地球降下用宇宙船です。黒いのはステルスです」
俺たちの突込みにを意に介さずにプロメは説明した。俺たちはもう一度真っ黒なホットドッグを見上げた。
「各部の動作チェックを軽くします」
ガチャガチャとホットドッグから音が響いた。よく見ると黒いパンの数か所がパカパカと開いた。そしてシュパシュパとその開いた扉から何かが出た。
「問題なさそうなので、フラッシウムで保存します」
パシュ!天井が光って体にビリっと電気が走った。
「宇宙船を保存して、イジェクト機能をチェックします」
両側から潜水艦を挟んでいた黒いパンが、ゴゴゴゴっと音を立てて左右に分かれ、ガツーンという音と共に潜水艦が床に落ちた。
「次に潜水艦です」
潜水艦からパキパキと音がして、潜水艦はバラバラになった。そしてクルーザー船が潜水艦の瓦礫の中に現れた。
「次に船です」
船からもパキパキと音がして、船がバラバラになった。その瓦礫の中に大型トラックが斜めに埋もれていた。
「完璧です」プロメが大きく頷いた。
「また組み立てるのか?」俺は瓦礫を見ながら言った。
「いいえ、完璧でしたのでこれはゴミ箱です」
ゴロゴロゴロゴロと広い空間に音が響いた。
暗い製造空間の向こう側の壁がズルズルと横に開き、壁の向こうに黒いヌルっとした壁が現れた。
壁は開き続け、この空間を囲む丸い壁の半分ぐらいが黒いヌルっとした壁になった。
「スカッシウムね」テルルが言った。
「そうです。これはゴミ箱行きです」
プロメが空中で瓦礫に風を送るような動作をした。瓦礫は床を滑って壁に飲み込まれてしまった。
「今のを外側で作ります」
「宇宙空間でか?」
「そうです。生命維持機能は付いていますが、ここで作るほうが空気入りで作れるので便利です」
「はあ・・・」
「これを飛ばすのは、まだかなり先です。これを飛ばす時に私たちはトラックの中に入ります」
「なるほどな」
俺はほとんど何も考えてなかった。よく分からなすぎた。
「あ、プラセオを忘れるところでした。プラセオを作ります」
「この前作ったろ?」
「また別のです。これは地球行きの宇宙船用です」
足元の床が光って赤いプラセオが2つ、台車付きで出てきた。地球行きの宇宙船用ということは、ホットドッグの中のトラックに乗せるという事だろう。
「ではこの赤いプラセオを持って倉庫に行きましょう」
俺たちはプラセオと一緒にエレベーターに乗って倉庫まで移動した。
倉庫の中には、この前ここに置いた深緑と、紫と黒があった。その隣に赤いプラセオを置いた。
「黒と赤は地球に持って行くので、出発の時にさきほどの船に乗せます」
「あれの中に入れといて、一緒に作っちゃダメなのか?」
「プラセオは2つセットで作ります。それと、プラセオはフラッシウムでスキャン出来ません」
「そうなのか」
「中の不確定な素粒子が確定されてしまいます」
「うん・・・」
「そうなのね、知らなかったわ」テルルが言った。
「俺にはプラセオは難しすぎる・・・」
「紫のは、私たちを作成したボロンに搭載されていたものです。この紫はトランの私の研究室にありますので、こことトランの研究室で通信が出来ます」
「俺たちを作成したボロンって言うと・・・」
「45年前に飛ばしたやつよ」
「なるほど・・・」
紫のはこの船とトランの通信用、赤いのはこの船と地球の通信用、黒いのはトランと地球の通信用ってことらしい。
「深緑は?」
「それは地球に投げたやつです。それはすぐに使い切りますので、もうすぐ終わりです」
「中身を使い切るってことか」
「その通りです」
地球行きの船に乗るまでゆっくりしてていいという事だったので、俺たちは少佐の映画やアニメのコレクションを見て時間を潰した。
少佐のおすすめアニメの中では、「鉄の種族」と「銀の種族」のために、「英雄の種族」が激しく闘っていた。とても壮大なアニメだった。ラストで泣いてしまった。
まったりした時間は続き、その間はみんなで食事を取り、みんなで映画を見て、みんなで運動施設で体を動かし、みんな同じ時間に眠った。




