スカッシウム
「ガシャーン!」
少佐はビルの大きな窓ガラスを小さなハンマーで叩き割った。
ここは地下の都市の、天井まで伸びる白い大きなビルの最上階の窓だ。
2人はここまで上昇した。
遥か下に見える街並みの一角、細い道で逃げ場を失ったジープが見える。
前後を清掃車が塞いで、その外に警察車両が何十台も集まってきている。ライトをピカピカさせた警察車両は街の至る所から集結しつつあるように見えた。
割れた窓ガラスから2人はビルの中に入った。街を支える柱の役目も果たしている天井まで伸びる高いビルの最上階は、食堂と決まっている。
「スカッシウムを!」
プロメが珍しく大きな声でストルンに指示を出す。
ストルンは食堂に備え付けの大きなゴミ箱を探し、走って行ってその横のパネルを軍用の頑丈そうな靴で思いっきり蹴飛ばした。
「ガツン!」パネルがひしゃげて中の機械が見えた。ストルンはひしゃげたフタを手でつかんで勢いよく剥がした。
プロメは食堂に備え付けの大きなボロンに走り、モコソで何か複雑な操作をした。
「ピピピピッ!ピピピピッ!」
ボロンが大きな警告音を発し、ロケットランチャーのような大きな筒が吐き出された。
プロメはそのグリップとスコープが付いた筒の後ろのほうにあるフタをパカッと開いた。中には大きめなロケットが見える。そのロケットの横にもフタがあり、それもパカッと開いた。
「ストルン、スカッシウム!」
少佐がゴミ箱の機械から取り出した小さな黒いボックスを、プロメに投げた。プロメはそれをキャッチしてロケットの中にセットし、ロケットの中から出ているコードを黒い小さなボックスのコネクタに刺した。そして素早くパタンパタンと2枚のフタを閉めた。
プロメはそのロケットランチャーを窓際に立つストルンに素早く投げた。
ストルンはロケットランチャーをキャッチすると窓の外に身を投げた。
「みんな、ゴメン!」
帽子から出るドローンのようなプロペラで空中に浮いたストルンは、下を見てロケットランチャーを構えた。
下にはジープから這い出した軍曹とマリーが、疲れ切ったテルルを引きずり出そうとしてるのが見える。
ストルンはそのジープめがけてロケットランチャーの引き金を引いた。
「バシュッ!」小さめの音とともにロケットは煙を吐き出しながら一直線に地上に向かって飛んだ。
次の瞬間「ジュボッ!」という聞きなれない音と共にジープと、ジープを取り囲む警察車両たち全てが消えた。直径80メートルほどの空間が、丸く消えた。
地面には中華鍋のような丸い穴が開いていた。その空間には原子まで細かく分解された霧が舞っていた。
そしてバチッバチッと青い稲妻が霧の中で光っていた。




