上書き
テルルは俺がコピーだと気が付いたってことを、マリーに言わなければならないんだと言って、2人でマリーに報告に行った。
「私はさ、プロメがボロン3点セットを作り上げた時に気が付いてたんだ」
「人を複製できるってことにか?」
「なんでも複製できるってことは、人間も複製できるなって一瞬で思ったさ。あの事件が起きる前にな」
「さすがだな」
「だから事件が起きる前にもう、実験で自分の体をスキャンしてデータを保存したのさ」
「作ったのか?」
「試しに1回作ってみたよ。そうしたら、もう一人の私が出来た」
「作ったもう一人のマリーはどうした?」
「ゴミ箱に入ったよ。最初からそう決めてたからね」
「そんな・・・」
「どうってことないさ、私も科学者のはしくれだからね」
「一般大衆のような考え方は持っていないということね」
「そうだな、私は一般大衆のようなバカじゃないつもりだが、世界にバカは必要だと思ってる。バカは世界を面白くすると思ってる」
「確かにそうかもしれないわね」
「私はな、みんなのDNAが徐々に改変されていって、心を無くしてしまいそうで怖かった。だから子宮を捨てる法律ができた時、次に会ったらみんなの体をコピーしてデータを保存しようって思ったんだ。恋愛感情まで無くなったら楽しいバカ話もできなそうだったからね」
「法律ができた時なら、まだ子宮は間に合ったんじゃないのか?」
「いや、次に会った時にはもうDNAは改変されてた。3人ともな。テルルは既にかなり変わっちゃってるのを感じた。まだ笑えたけど、いつ笑えなくなるか怖かったね。コピーガードが体を流れる前にスキャン出来てよかった」
「違法じゃなかったのか?」
「違法だったが、この研究施設なら問題ない。研究のための保存だ」
「DNAを研究してたんだったな」
「そういうことだ」
「再生のために長く眠ったけど、DNAをいじる前には戻れないのか?」
「この施設には多くの人のDNAが保存されてる。その中にはもちろん3人のもある。だから元に近い形に戻すのは不可能ではない」
「なんでやらない?」
「みんな元々の体は問題があって入院してたんだ。慎重にやらないと病気になってしまうってのもある」
「病気だったんだっけな」
「それに、健康な肉体のDNAに書き換えるのは少し乱暴でもいいが、そうじゃないやつに新しく書き換えるのはリスクがものすごく大きいのさ」
「なるほどな」
「書き換えるってことはさ、前のを消すって事なんだ。そして簡単に戻すことは出来ないのさ」
「上書き保存ってことか・・・」
「子宮だって一から作っただろうが」




