おはよう
「起きたねテルル、おはよう」
マリーが心電図みたいなのが表示されてる機械を操作しながら言った。
「おはよう」俺も挨拶した。
テルルはマリーを見て、俺を見て、部屋を見渡した。
「ごほっ、ごほっ、おがおう」
寝起きは声がガラガラのようだ。
マリーが小さな冷蔵庫を開け、テルルにペットボトルの水を渡した。テルルはそれをゆっくり飲んだ。
「おはよう、うは、裸!」
テルルは胸を隠して俺を睨んだ。あっちを向けということらしい。俺は素直に従った。
「私の服、どれでも着ていいよ。予定より少し早いが、ここまでくれば安静にしてなくてもいい」マリーがクローゼットを開けるボタンを押した。
「うわー、いっぱいあるわねー」
「まだ油断はできないが、初潮が来れば完成だ」
「初潮?!」
「2回目だがな」
「何だか恥ずかしいわね」
「もういいわよ」
振り向くとテルルが着替え終わっていた。白のブラウスに真っ赤な短めのタイトスカート、その上にマリーと同じ女医の白衣だった。そしてメガネをしていた。
「強そうでしょ?」
「メガネがな」
マリーと同じ格好をしていたが、体が細い分弱そうだった。
「ちょっと大きいわねこの服」テルルがマリーに言った。
「胸と尻がな。でも太るから大丈夫だ」
「太る?!」
「女性ホルモンの分泌が多くなるからな、脂肪が付きやすくなる」
「エー、いやだぁ、最初に教えといてよぉ」
「別にいいだろうが、私みたいな筋肉質にすることもできるぞ?」
「それは、迷うわね・・・」
テルルは真剣に悩んでいた。
「子供出来た?!」テルルが思い出したように大きな声で聞いた。
「いや、まだだ」
「あら、ダメなの?」
「細胞分裂がな、なかなか順調にいかないんだ。それで、トミーの精巣を少しだけいじるかどうか悩んでる」
「俺の玉をどうするって?」
「まあまあ、気にするな」
「気にするぜ」
「おなかすいたー」
テルルと3人で久しぶりの食事をした。ファミレスだ。
注文するとき、メガネをかけたテルルはいつもより少しやりずらそうだった。
「体内に同化させていたモコソを取り出したの。だから今までと少し勝手が違うのよ」
「同化って埋め込むのと違うのか?」
「少し違うわね」
テルルの料理はマリーが選んでしまった。
「ゆっくり食べろよ、胃がびっくりするからな」
マリーの命令でテルルは消化のよさそうなものをゆっくりと食べた。
テルルは自分の眠っている間のことをマリーに色々と質問した。それにマリーは丁寧に答えた。俺との夜の営みもマリーは豪快に笑いながら話し、俺は隣で顔が赤くなった。
「来たわ、ジェラシー!」
「お、成功だな」
「取り戻したのって、ジェラシーなのか?」
「そうよ、そのうち燃える嫉妬心でどっちかを殺しちゃうかもしれないわよ」
「やめてくれよ」
「でもまあ、嫉妬心の強さもDNAに書かれてるってことなんだ。テルルが取り戻したのは繁殖行動に付随する強い感情ってやつだ」
「その辺の話もしたのね」
「そうだな、先天性の治療、小児病と障害者、知的障害、一般のありふれた病気の治療、知能障害の治療をどこまでやるかの問題を話してる時に、テルルが起きた」
「なるほどね、そこからは大衆心理が大きく絡んでくるから私にも話をさせてね」
「そっちの問題はテルルに頼む」
「頭は良くないんだが・・・」
「DHAを飲んだだろうが」
「効いてるか?」
「どうだかな」




