キリア系
「私たちの言葉で、太陽はキリアというの。あなたたちが太陽の星系を太陽系と呼ぶのなら、私たちはキリア系ね。そして、太陽系第三惑星が地球。キリア系第六惑星がトラン」
食べ物をトレイに乗せて戻ってきた彼女は話しだした。トレイの上には食べ物が5品乗っていて、「あなたも食べたかったら食べていいわよ」と言った。
「ねえ、あなたの名前を聞いてなかったわ。私はテルル・タンタル。テルルって呼んで」
「俺は富沢文春。トミサワでもフミハルでも、好きに呼んでくれていい」
「なんか発音しにくい名前ね、トミでいい?」
「トミか、かまわないよ」
「ミ、サ、とか、ミ、ハ、とか、ちょっと日本語には発音しにくい繋がりがあるのよ、私たちには」
「気にしなくていい」
大学時代は友達にトミーと呼ばれていたことを思い出した。大学時代の友達にこんな美人はいなかったけどな。
「どこまで話したかしら、太陽系第三惑星が地球で、キリア系第六惑星がトランってところまで言ったわね」
「水金地火木土天海」俺は言ってみた。
「スイキンチカモクドッテンカイメイじゃないの?」テルルは不思議そうな顔をした。
「冥王星は、なんか外れたらしい」
「無くなったわけではないのね」
「ちゃんとあるよ。たぶん・・・」
さっき地下で見たテレビ。あれはすごい昔の番組だった。いつ頃のだろうか、そこからテルルは地球の知識を得ているらしい。冥王星が惑星から外れたのは何年だろうか。
「ここが、別の惑星だとして」俺は疑問を口にした。「さっきのテレビはなぜ見ることができるんだ?」
「私が地球の電波を初めて受信したのは、地球の暦で45年ぐらい前になる。テレビは40年前」
「40年前のテレビ?」俺が見たのは再放送か何かだと思ったんだが。
「この星と、あなたの住む地球との距離はすごく離れていて、8カドリニぐらいだけど、すごく遠い」
「8カドリニ?」聞いたことのない単位だ。
「地球の単位に直すと、40光年ぐらいになる」
「40光年ってことは、光の速さで40年かかる距離ってことか?」
「そう。だから、40年前に地球で放たれたテレビ電波を受信している」
「40年前のテレビか、そりゃずいぶん昔だな」
「でも大丈夫、プラセオが地球についたから。これからは40年のズレは無くなる」
「プラセオって?」
「あなたをここに呼んだ装置。その装置はそのまま情報収集装置として機能するの」
俺に雷みたいなのを浴びせた装置か。
「この星から地球に装置を飛ばしたのか?」
「そうよ」
「なんで?」
「救ってほしかったから」
「何を?」
テルルはまっすぐオレの目を見て少し考えた。
「たぶん・・・私を。」テルルは言った。「そして、間に合うのなら・・・地球人を救いたかった」




