嫉妬戦争 前編
とある休日、阿久津は日高に呼び出された店に向かっていた。
お題:
辞典 椅子 定規
ある日の休日
黒髪ショートの男性、阿久津は青のTシャツを着て1件のお店に向かっていた。
喫茶店、『日高堂』へと。
「……はぁ」
阿久津は非常に微妙な気持ちであった。
今日、今から行く予定の『日高堂』は名前から分かるように、日高の実家。
そして、呼び出したのは日高本人。
阿久津に心当たりは1件しかなかった。
「久世の事だろうな」
久世は、阿久津の中学からの知り合いの後輩である。そしてこの前、阿久津が生徒会の手伝いに呼んだ時、日高と久世が非常に微妙な空気になったのを覚えている。
そして、あれ以来日高の視線が冷たくなったのを感じていた。
「こんな事ならば、別の人間を呼べば良かったな。男性の友達もいるし。
それにしても……」
と、阿久津は感慨深く思って、こう言った。
「まさか日高が女性嫌いとは、な。同性なら良いと思って選んだんだがな」
何か目の付け所を間違っている阿久津である。
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阿久津は『日高堂』に入る。
「うぃーす、邪魔するぜ」
「帰って、邪魔しないなら」
「どう言う事!?」
邪魔しないなら帰ってと言われて、阿久津は驚いた。
そこには、冷ややかな目をした日高が居た。
いつもとは違い、日高はこの『日高堂』の制服であろうメイド服で身を包んでいる。
スタイル抜群の日高が着ると、とても似合っているので阿久津は目のやり場に困っていた。
「ところで、日高。俺達が座る椅子はどこだ?」
「……積み上がってる、そこに」
と、日高の視線の先には確かに椅子があった。あったのだが……
「日高、どう見てもそれは銭湯の椅子にしか見えんのだが」
「……つーん。これ、じゃあ」
「日高、これは幼稚園児などが座る座高の高い奴だ。こんなの、座れるか!」
「……つーん。これ、じゃあ」
「トランプタワーは椅子ですらねぇよ!」
「……つーん。これ、じゃあ」
「定規でトランプタワーを作っても、座れねぇよ!」
どうやら日高は相当に怒ってるらしく、明らかに阿久津が座れなさそうな椅子を指差す。
「あぁ……もう良いや。日高、お前がいつも座ってる椅子を貸せ」
「えっ……///」
いきなり何故か、顔を赤らめる日高。
「そ、それって……。使う、阿久津模様の椅子を、私の?」
「どんなん持ってんだよ!」
人の顔をいつも踏みつけてる事を知った阿久津は、日高の頭にチョップを入れるのであった。




