剣道戦争
大学では珍しい体育の授業。剣道の授業で、山田と小此木、浅尾の3人は道場に居た。
お題:
木刀 道場 ガチャポン
小高大学では少ないとは言え、運動を行っている。その目的は生徒の運動不足による肥満解消である。
肥満と判定された生徒は全員参加で、それ以外は自主参加可能な物。1ヶ月に1回行われる活動。
それが小高大学毎月恒例運動の会。
とは言え、休日に行われるこの行事の参加率は非常に低く、自主参加の生徒は10人を切る事が常と言うすたれっぷりだ。
そして、6月。梅雨真っ只中の雨降る休日。
今月の運動の会、テーマは『道場による剣道』。
「ふぅ……」
スポーツ狩りの男性、山田はいつもと違う剣道着を着ながら、木刀を振るう。
そして、木刀を振るうと共に息を吐く。
「……やはり疲れているなぁ」
山田は1人自身の体力低下を思っていると、
「……ふふふ。山田よ、貴様は我と違って体力が無いな」
オペラ座の怪人のような派手な装飾の仮面を顔に付けて、剣道着を着た小此木は、登場とすると共に罵声を放つ。
手に……西洋製の刺突剣を持って。
「お前はいつも通りだな、小此木」
「いやはや!褒められても何も出んぞ!かははははは!」
「小此木、褒めてはない」
そう言いながら、山田は刺突剣を小此木の手から取り上げる。そして、刀身を触る。
ふにゅふにゅとした柔らかな感触が伝わってくる。
「模造刀か……。良く出来てるな。どこで手に入れたんだ、こんなの?」
「ガチャポンの応募券3枚で!」
「宣伝か!?」
「いや!どちらかと言うと、CMだ!」
「これは多分、CMとは違うと思われるけどな!」
まぁ……どんな手段とは聞かないが、本当にどこで手に入れたんだろうか?
「ふふふ。血吐鬼、それに仮面。こんな所で会うとは奇遇だな!」
相変わらず、人の名前をちゃんと呼ばない人物に、2人は顔を向ける。
「浅尾か……」
「呼ばれなくても即参上。勝利の剣、『闇照勝利』をこの手に、今我は降臨す!
浅尾、またの名を飛行機、即参上す!」
日本人にあるまじき金色の髪。右目が赤と左目が青のオッドアイ、そして黒の剣道着を着た美少女、浅尾は木刀を片手に立っていた。
「珍しいな、浅尾。浅尾はこう言った行事は嫌いだと思っていたぞ」
「そうだな、我も激しく同感だ」
浅尾に対して、2人はそう言っている。
「ふふふ……。これには激しい聖戦に近い、戦争があったんですよ」
「本当は……?」
「……冷蔵庫と神官、2人と共にくじ引きで決めて罰ゲームで決まってしまいましてね」
「罰ゲーム感覚かよ!?」
なんで罰ゲームで体育の会に参加してるんだ、こいつは……。
「時に山田よ、少し質問があるのだが」
「時に血吐鬼、少し疑問があるのだが」
おい、浅尾。山田の質問は分かるが、お前の疑惑はなんだ、疑惑は。
「なんだ、なんでも質問しろ。
俺は体育が好きだからな、この体育の会は毎回出ている。だからなんなりと質問したければ、俺に質問するが良い!」
俺はそう言って、2人の質問を待つ。
そして、2人は2人同時に質問をする。
「「もう帰って良いか?」」
「早すぎる!」
どんだけ身体を動かしたくないんだよ、お前らは。




