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そうだ、寝取っち魔王!〜ダンジョンマスターの魔王に転生した俺、死ぬのは嫌なので勇者パーティのヒロイン全員を寝取ります〜  作者: 駄作ハル
第三章 孤高なる『智』・魔法使いロシエル

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第14話 智への誘い

 パチ、パチ、パチ……。


 学長の非情な追放宣言によって静まり返った大講堂の後方から場違いな、しかしやけによく響く拍手が鳴り響いた。


 講堂内のすべての視線が音の発生源――ゆっくりと席を立ち、通路を歩き始めた俺に集中する。

 

 嘲笑を浮かべていた教授陣も、勝ち誇っていた学長も、そして壇上で絶望に打ちひしがれていたロシエルも。

 誰もが「何事だ」と言わんばかりの驚愕の表情でこの闖入者である俺を見ていた。


「な、何者だ貴様は!? 学会の神聖な進行を妨げる気か!」


 学長が狼狽しながら叫ぶ。


 俺は構わず拍手を続けながら学者然とした穏やかな笑みを浮かべ、壇上のロシエルに向かって語りかけた。


「いやはや、素晴らしい。実に素晴らしい理論だった」


 俺の声は魔力を乗せたわけでもないのに不思議と講堂の隅々まで明瞭に届いた。


「魔力そのものを物理法則を書き換えるエネルギーとして直接、事象に干渉させる……。実に画期的だ。君の理論が完成すれば、魔術の歴史は千年進むだろう。それを異端だの軍事転用できないだの……」


 俺はそこで一度言葉を切り、壇上のロシエル以外の古狸どもを侮蔑を込めて見渡した。


「そこの古狸どもは、節穴にも程がある。その理論の価値も理解できないとは、帝国の魔導アカデミーとやらのレベルも知れたものだな」


「なっ……! 古狸だと!?」

「我らを侮辱するか! この若造が!」


 教授陣が顔を真っ赤にして色めき立つ。

 だが、俺はそんな雑音など意にも介さず、ただ一人、壇上で呆然と俺を見つめている少女に集中していた。


「あ……。あな、たは……。私の、理論を……?」


 ロシエルが、絞り出すような、信じられないといった声で呟く。  その潤んだ瞳が、初めて救いを求めるかのように俺を捉えた。


「ああ。完璧に理解したとも。君がやろうとしているのは、魔力を『火』や『水』といった既存の現象に当てはめるのではなく、魔力という絶対的な力で、この世界の理そのものを書き換える試みだ。……違うか?」


「……っ! (そ、そこまで正確に……! 私が誰にも説明できなかった理論の核心を、この人は一瞬で見抜いた……!)」


 ロシエルの華奢な身体がわなわなと震え始めた。

 

 それは絶望からではない。

 生まれて初めて唯一の理解者に出会えた、歓喜の震えだった。


「その才能、豚に真珠とはこのことだな」


 俺が肩をすくめてみせた、その時だった。

 侮辱と目の前の状況に耐えかねた学長が、ついに我慢の限界を超えたようだ。


「ええい、もうよい! 警備兵! 警備兵は何をしている!」


 学長がヒステリックに叫ぶ。


「あの小娘はアカデミーを追放された異端者だ! そしてそこの男は、その異端者を擁護し学会の秩序を乱した不審者! 二人まとめて拘束しろ! 抵抗するなら……そうだ、帝国の秩序を乱す者は、即刻排除だ! 殺しても構わん!」


 なんとも物騒な許可が出たものだ。


 学長の号令と共に、講堂の四方に控えていた完全武装の帝国の兵士たちが、一斉に動いた。

 

 その数、十数名。

 彼らはガチャガチャと重い鎧の音を響かせ、腰の剣を抜き明確な殺意をその目に宿して俺と壇上のロシエルを包囲した。


「……先生」


 俺の背後に控えていたアザゼルが一歩前に出ようとする。

 俺はそれを手で制した。


(来たか)


 俺は内心でほくそ笑んだ。


 元日本人としての理性がまだ残っている俺にとって、無闇矢鱈に人を殺すのは正直なところ気が引ける。

 ベリアスを助けた時のランバートの護衛兵たちも、その後の冒険者たちも、殺すこと自体に快感を覚えたわけではない。


(だが、こうして明確な殺意を持って俺を排除しようとしてくる相手ならば話は別だ。これは正当防衛……)


 兵士の一人が「大人しくしろ! 異端者どもめ!」と軽蔑の表情を浮かながら、俺の肩を掴もうと手を伸ばす。

 その目には、俺たちを殺しても構わないという許可を得た残虐な光が宿っていた。


(結果的にこいつらの上質な魂が俺のダンジョン運営を、そしてハーレム計画を加速させることになるとしても……な!)


 俺の思考は、コンマ数秒で完了した。


「――『スペイシアル・スラスト』」


 俺は学者然とした穏やかな表情を崩さぬまま、ただ静かにその場にそぐわない魔法名を呟いた。


 刹那。

 ズシャンッ、と空気が破裂するような鈍い音が響いた。


「「「…………え?」」」


 俺を取り囲んでいた十数名の兵士たちが一斉に動きを止める。

 伸ばされた兵士の手は、俺に届く寸前で静止していた。


 そして次の瞬間。

 彼らの胴体は、まるで目に見えない巨大な刃物で水平に切断されたかのように上下真っ二つにズレた。


「ぎ……」


 悲鳴を上げる間もなく兵士たちの上半身がその内容物をぶちまけながら床に滑り落ちる。


 俺の呟いた魔法――空間そのものを断裂させ、触れるものすべてを切断する不可視の刃が、俺を中心とした全方位に一瞬だけ放たれたのだ。


 一拍遅れて絶叫が講堂を支配した。


「ひっ……! ひぃぃぃぃぃ……!」

「ば、馬鹿な……!? い、今、何が……」

「あ、足が! 腕が! ぎゃあああ!」


 生き残った教授陣は、目の前の凄惨な光景に一瞬、腰を抜かしかけた。

 だが、彼らは帝国の最高学府に籍を置く魔導師。そのプライドが恐怖を上回った。


「き、貴様ぁ! よくも帝国の兵士を!」

「異端者めが! アカデミーを血で汚しおって!」

「総員、詠唱開始! 帝国の力を思い知らせてやれ!」


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