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043 僕だって青春するのさ

あらすじ

魔王を倒してヘルリユ皇女を救出そた。

<時間魔法>無敵過ぎ。っていうかデカい猿を瞬殺できる妹達も強すぎ。

― 043 僕だって青春するのさ ―


魔物の死体を回収して、僕らは本陣にテクテク帰る。

空はもう真っ暗だ。

本来ならば魔物の襲撃に備えないといけない時間帯だけど、タケシ君の『石ころモブ結界』のお陰で平和なものだ。


この『石ころモブ結界』というのは、道に転がる石ころ程度にしか認識されなくなる結界で、実に使い勝手がいい。

いつか魔王・食楽王と戦うことになったら、この結界は命綱になると思う。

食楽王に<時間魔法>は効かないから。


だが、地味だがこの『石ころモブ結界』は通用する気がするのだ。

現に、魔王たちの傍までこの結界で近づいて気づかれていなかったのだから。


この結界で近づき、最初に食楽王から<時間魔法>を引っこ抜行けるかどうかがカギになるだろう。


まあ、あのバカっぽい魔王と戦う事になったらの話だけどね。

今は仲良くなったから、いつあの魔王と出くわしてもいいように、買収用の食べ物を常に<空間収納>に入れておこう。

バカだから、食べ物だけ与えればいうこと聞きそうだし。


ボーっと歩いていると、ヘルリユ皇女が僕の袖を引っ張った。

「長道、今日はありがとう。」

「どういたしまして。これからは無茶はダメだよ。」

「私の無茶は必要だからするんだよ。それよりも長道の妹達は何なの?魔王を瞬殺とかおかしくないか?」


やっぱりそこ気になるか。まあ気になるよね。

「あれね。あれは強い魔物を倒すときの必勝パターンなんだ。最初に素早く全力で倒すの。そうすれば相手が実力を出し切る前に倒せるでしょ。相手に実力を出されたら即死だからさ。今回の突猿王は食楽王に注意を向けていて、僕ら人間を虫けら程度に見てくれていたのがラッキーだったんよ。」


僕の得意技「口から出まかせ」発動!

ヘルリユ皇女はしばらく歩きながら考えて、何か納得をした。

「たしかに、猿の魔王は食楽王ばかり気にしていてエリオットが来ても気にしていなかったものな。あいつらにとって人間なんてその程度なのだな。」


「そういう事だね。」


また黙ってしばらく歩く。

そして急にこっちを向いた。

「でも強すぎるでしょ!」


誤魔化されなかったか…

では言い訳第二弾。

「じゃあ、ここからは内緒の話だよ。絶対に絶対秘密だよ。皇帝陛下にすら話さないと誓えるなら教えてあげる。この秘密がばれたら僕らはこの大陸から逃げないといけないような話なんだ。絶対完璧に秘密にできる自信がないなら聞かないでね。」


皇女は真剣な顔になった。

「よほどの秘密なのだな。…分かった、決して誰にも言わない。必要ならその秘密を守る手伝いもする。最高神マリユカ様に誓う。」


あのバカっぽい女神に誓うのか。

…あれ、バカっぽい女神の顔が思い出せない。

水色の髪の毛だったのは覚えているんだけど、なんでだろう。

まあ天界の秘密なのかもしれないな。神の顔を覚えられないというのも不思議ではないか。


そんな事を考えている僕を、真面目な顔でヘルリユ皇女は見つめる。

おっと、無視はいけないよね。答えなくちゃ。


「実は僕は異世界からの転生者なんだ。妹達もデルリカ以外は転生者。タブン僕らの知識や力はこの世界にとって異端だから、ヘルリユ皇女は知ってはいけないと思うんだ。だから今回の詳細は聞かないで。どこまで秘密にすべきか僕らもまだわからないから。いつか、どこまで話してもいいか見極めたら話すから。」


驚きつつも納得した表情になる。

「転生者か!歴代の勇者やダンジョンの魔王、さらには賢者大魔導士も転生者だったと聞く。だとすれば、魔王を倒す秘術があっても不思議ではないね。でもデルリカも凄かった気がするんだけど、あの子は?」


「うーん、デルリカは謎だね。魔法や武道を教えても一度で全部吸収するんだ。記憶力も良いし、機転もきく。転生者でないにしても、天使か魔王が人間に落とされたんじゃないかとすら思うんだ。まあ、そんなことは関係ないくらい可愛いからどうでもいいけど。」


その言葉に、少女らしい笑顔を見せてくれた。

「あははは、長道はシスコンだよね。」

「うん、人並みには。」


そのあたりで本陣が見えてきた。

これにて一件落着だな。





次の日。

話し合いの結果、魔王の死体を金貨500000枚で買い取ってもらえることになった。

50億円か。


実際、魔王と配下を討伐しようとして軍を編成すれば、その数倍はかかり、なおかつ疲弊した軍隊が回復するのに数年必要になる。

その間の隣国からの脅威を退ける苦労も考えれば、金貨500000枚は安い支出だろうね。


ついでなので、新しい戦闘戦闘服セットを1000セットおまけで付けた。

いや、それくらいしないと貰いすぎな気がしたから。

おまけをつけるのは、商売の基本だし。


僕は本来、割引するよりオマケをつける派です。


一週間ほどでお金を受け取り、商品を受け渡した。


魔王の死体を運ぶのが大変そうだったので、ヘルリユ皇女とエリオットさんにはステータスを与えちゃった。これで<空間収納><探査><鑑定>が使えるので、

魔王運搬も問題ないだろう。


そして別れの日。

僕は、出発の馬車の横で錬成をしていた。

創作意欲がわいたので、ビレーヌと一緒に一気に試作品を作ってみた感じ。


そこにヘルリユ皇女がひょっこり顔を出す。

「長道、別れの挨拶にも来ないで錬成?少し寂しいな。」


僕は今作った戦闘服と装甲を差し出した。

「はい、ヘルリユ皇女専用にカスタマイズしたんだ。デザインはビレーヌに頼んだから女の子っぽいものになってると思うよ。それと、携帯念話機も作ったんだ。試作品だからこれもあげるよ。」


ヘルリユ専用の赤い戦闘装甲服と、携帯念話機100機ほど渡す。


「わざわざ作ってくれたのか。ありがとう…。これでお別れとだ思うと寂しいぞ。」

「その紫色の携帯念話機がヘルリユ用だよ。僕らの連絡先も入れてあるから、雑談したくなったら連絡してきなよ。友達なんだからさ、それで寂しくないでしょ。」


受け取ったものを抱きしめ、ヘルリユ皇女は年相応の少女の顔で涙を流す。

「ありがとう…。本当にありがとう。この地には死ぬ覚悟と絶望を胸に来たのに、こんな気持ちで帰ることができるなんて。長道には返しきれない恩が出来た。」


軽く頭を撫でた。

「お金はもらったから、それで充分だよ。向こうに着いたら写真を送るね。」

「うん。私も送る。」


たった13歳で、殺されるために来た第4皇女か。

殺さなくたっていいじゃん。

王族は本当に面倒だな。


俯いて涙を流すヘルリユ皇女が泣き止むまで、僕はそので手を握る。

さすがにハグするのは躊躇われたので。


1時間後。

僕らは出発した。

「ヘルリユ、またいつかーーー!」

窓から全力で手を振った。


笑顔でヘルリユ皇女も大きく手を振り返してくる。

「長道ーーー!フィリアの街に行くことがあったら連絡するからねーーー!」


見えなくなるまで手を振る。

なんか僕の今の行動、青春だなー。


馬車の中に戻ると、ニマニマした里美と目があってしまった。

「お兄ちゃん、随分仲良しさんになったよね。もしかして恋した?」

「もっと大人なら可能性はあるかもね。」


13歳はさすがに子供過ぎるよ…

可愛いけど、恋の対象ではないよな、流石に。

なんたって、僕の体は子供だけど頭は大人だから。


そのあと、駐屯地での思い出を語りながら馬車は進む。


数日後。


僕らはとうとう目的地につく。

魔王軍の最前線、フィリアの街に。


街の近くの山に陣取る魔王の名は『紅竜王』。

巨大な赤竜の魔王だ。

お読みくだりありがとうございます。

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