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034 新たな旅立ち

あらすじ

神様の遊びで子供の奴隷にされた長道は、マリアとデルリカに買い取られた。

そこで妹達と(命の危機を感じながら)楽しく過ごした。

そして2年がたつ。

― 034 新たな旅立ち ―


そして2年はあっという間に過ぎる。


この2年、僕は結局…黒竜王の力を自分に移植していない。

それどころか、魔王として手に入れたスキルにもほとんどポイントを振っていない状況だ。


なんとなく、必要になるまで巨大すぎる力に手を出してはいけないような気がして。


ただ、錬金錬成士・魔道技工士という職業を手に入れて、こちらは適度に伸ばしている。

マリアお母様が教えてくれるので、習いながら錬成の技と、ゴーレム作成を一生懸命学んだから。


まあ、職業に魔道技工士がついたのは我ながら意外だったかも。

マリアお母様がゴーレムを題材に錬成の技を教えてくれたので、いつのまにか職業に技師が付き、さらに気が付いたら上位職に進化してしまってたって感じ。


だって、錬成の勉強はマリアお母様との貴重な触合い時間だから大切にしていたのですよ。

そしたら知らないうちに能力が伸びてしまっていたわけ。


そんなこんなで僕は今13歳。


最近はポーションをギルドに売り、簡易ゴーレムを格安で販売していた。だから村の皆からは、ポーション屋さん兼ゴーレム屋さんという認識をされている。


そんな僕らが村を出る日が来た。

マリアお母様が、新しく来た司祭と聖騎士1名に警備用ゴーレムを譲り渡して、村に関する諸々の引継ぎが昨日終わったから。


そして本日出発。

荷物は手分けして<空間収納>に格納したので手ぶら状態。

出発の為に乗り合いバス停に来た。

するとそこで待ちかまえていた、村の人たちに囲まれて泣き喚かれてしまった。


とくに村長のおじさんは、マリアお母様の手を握りボロボロ泣いている。

「マリア司教様…あなたが来てくださらなければこの村は発展できませんでした。ほ、本当に感謝しかありません。生涯御恩は忘れません。」


優しく微笑み頷くマリアお母様。

「いいえ、皆様の努力が実を結んだけです。この村は皆で作ったのです。これからも胸を張って頑張ってくださいね。」

「マリア司教様…あ、ありがとうございます…。」


村中の人が泣き出した。

どれだけこの村人たちが、マリアお母様を心の支えにしていたか思い知る。

僕は誇りに思いつつ、この人に拾われた運に感謝した。

運に感謝って誰に感謝する事なんだろう?


良くわからないから神様に感謝するか。

ありがとう神様。好きかも。


里美も、離れたところでキモイ若者たちに囲まれて惜しまれている。

昔は職業:歌い手だったけど、今は職業がスーパーアイドルに進化しているためか、カリスマが半端ない。さすが里美、可愛すぎるからしょうがない。


康子は女性に囲まれている。

かなり熱烈なファンがいるようで、ヒステリックな悲鳴すら聞こえる。

流石は我が妹、里美とは違う意味でカリスマだ。


デルリカにいたっては、子供からお爺ちゃんまで、崇拝するような目で声を掛けれているのが印象的だ。

男を惑わす魔女だなアレは。さすがデルリカ。


でだ。

僕の周りには、護衛についてくるダグラス団とヒーリアさんしかいない。

あれー、僕に別れを惜しむ人はいないのかな?

あれですよ、今僕に別れを惜しみに来た人にはハイポーションか若返り薬をあげちゃうよ。

誰か…


そこで後ろから女の子の声がした。

「長道様。」


お!やっと僕にも来たか!

喜んで振り返ったら、委員長だった。

「あ、あー、うん。どうしたの委員長。」


「あの、背中が寂しそうでしたので気になりまして。長道様にはわたくしが生涯ついていきますので気を落とさないでください。」


9歳児に気を使われてしまった。


その言葉に僕の状態に、気づいたダグラス団やヒーリアさんが慌てて僕の肩を叩く。

「長道坊っちゃん!このヒーリアも長道坊っちゃんについて行くんだよ。村を捨ててついて行く人間が何人も居る長道坊っちゃんは、質の意味で勝っているからね。」


「そうだぞ長道坊っちゃん、ユカエルさんなんてギルド支長なのに長道坊っちゃんについていくほどだぞ。質じゃ一番じゃねえかな。」


そっか、別れを惜しむ人が何人もいるよりも、別れないためについてくる人が居るっていうのは確かに質が上だ。


うん、その理屈で自分を誤魔化そう。

「ありがとうみんな、その理屈で納得するよ。」


僕らは先に乗り合い馬車に乗った。

ダグラス団とヒーリアさんは、これから移動する馬車と商人キャラバンの護衛も兼ねている。

なので、ここで一旦別れた。


僕と委員長は先に馬車に乗り込み席に座る。


ぽつーん。


みんな別れを惜しんでいるのか、なかなか乗り込んでこない。

なんだろう、この謎の敗北感。


委員長は僕の手にそっと手を重ねてきた。

みると真っ赤になっている。


「長道様、わたくし達は学校を離れます。ですので、わたくしのことは委員長ではなくビレーヌとお呼びいただけませんか?」


そんなこと言うのも照れるとか、年頃の女の子の羞恥心は謎っす。

でも確かに、委員長だけは名前で呼んでいないな。


「そうだね。じゃあ今日からビレーヌって呼ぶよ。でもなんか照れるね。慣れるまで時間がかかりそう。」


僕の手に重ねた委員長の手に力が籠められる。

「で、でしたら沢山練習してくださいませ。い、い、今からでも。」

「そうだね。ビレーヌ。」

「はい!」

「ビレーヌ」

「はい!」


なんか返事に気合が入ってて面白い。

しばらく委員長…じゃなくてビレーヌで暇をつぶすか。


「ビっレっエっヌっ」

「はっいっ!」

「ビレーーーーーヌ」

「はーーーーい!」


面白いなこの子。

前から思ってたけど、まじめすぎて面白んだよな。


こんなただ名前を呼ぶだけのことを30分ほど繰り返したら、やっとお母様たちが馬車に乗り込んでくる。


みなが席に着くと、顔が真っ赤なビレーヌに里美が不思議そうにのぞき込んできた。

「ビレーヌちゃん、なんか顔が緩んでいるけど良い事あった?」

「はい、とても幸せな時間を過ごしましたわ。もう幸せ過ぎて死にそうです。」


里美はニタニタこっちを見る。

「お兄ちゃん、なにしてたのー?もしかして、チュウとか?」

「いや、ただビレーヌって呼ぶ練習をしただけ。もう委員長じゃないからさ。」

「それだけ?」

「うん、それだけだけど。」


里美はもう一度ビレーヌを見る。

すると嬉しそうに「はい、ビレーヌと呼んでいただきました!」と叫んだので僕の疑惑は晴れた。


デルリカはタケシ君を隣に座らせて、なにか話をしている。

そうそう、デルリカは狩りで稼いだ金で見事にタケシ君を買い取ったのだ。

男を金で買うという発想が怖い。11歳でそれはヤバイぞデルリカ。


そう思っていたら、馬車が走り出す。

窓の外を見ると、沢山の村人が手を振りながら走って着いてきた。

無茶するな、村の皆。


その村の人たちが、全員走れなくなって見えなくなるまでマリアお母様は手を振り続けた。

慕われ過ぎだよ、マリアお母様。


この馬車には、僕ら家族以外にも商人キャラバンの家族も乗っている。

なので、本当に日本のバスみたいな感じ。


僕は本能的に目をつぶり睡眠に入る。

これは、外人から見ると日本人の謎の行動の1つらしい。

乗り物に乗る→目をつぶる→寝る。


里美と康子も、早速目を瞑っている。

うん、やっぱり乗り物に乗ったら仮眠だよね。


そして不思議と眠れちゃうんだよ。

落ち着いてきたら、次の街での生活への不安がよぎってきた。


良い所だといいな。

街の人と仲良くできるかな。

いじめられたりしないかな。


急に新しい環境への不安でいっぱいになる僕であった。

およみくださりありがとうございます。


登場人物外見紹介


長道:決して二枚目ではない。しかし妹達曰く癒し系。黒目黒髪で髪型も普通。


デルリカ:ややウェーブのかかった長いブロンド。色白で人形のような美少女。時々目のハイライトがなくなる。好きなものはスコップ。人工精霊は愛用のスコップから作ったシャベリン。服装もロリータに近いものを愛用しているため人形度が増している。澄ました表情をしている事が多いが、心の闇が表に出たとき、悪魔のような表情になる。


康子:その肉体は戦士として理想的な筋肉。8歳の時で170cm。10歳で178cm。まだ伸びている。顔は男前な女子レスラーのような感じで、女性受けは良い。その厳つい外見でありながら柔らかい表情と繊細な心遣いによりブス可愛いと言われている。


里美:長いストレートの黒髪に、切れ長の黒目をした美少女。前世ではスーパーアイドルだった外見そのままなので、長道的には世界で一番可愛いと思っている。悪戯好きで、あまり物事を恐れない性格が顔に出ている。


マリア:長い黒髪をアップにまとめた淑女。服装も黒いっぽい質素なドレスでいることが多い。しかし知性と優雅さを感じさせる顔立ちなため、地味な服装はいい意味で良く似合う。微笑んでいることが多いが、すぐに厳しい表情もする。


ビレーヌ:長い赤毛を左肩にまとめている。肌が透けるように白いため些細なことで赤くなったり青くなったりする。美少女系ではあるがいつも必死な表情をしていることと服が地味なため、男子に人気は無かった。長道にかまってもらっている時は笑っていることが多い。自分に衣食住を与え、魔法を与え、命を救ってくれ、魔王さえ倒した長道をヒーローだと思っている。


ヒーリア:ダークエルフでやや褐色で銀髪。スラリとしているが胸はマリアよりは大きい。冒険者らしいきつめの顔立ちだが、面倒見いい。やや露出が高い服装をしているのは、ダークエルフの伝統らしい。


ユカエル:最初はかなり太って長い白髪なのに、目と口元だけが色っぽい女性だった。若返ることで流し目が似合おう金髪の美女になる。長い髪は片目の前に垂れた髪がかかっており、よりいっそう流し目が多発される。若返ったらグラビアアイドル級にナイスバディになったため、服装も露出が多めになる。

ちなみにこの世界は「マリ」とか「ユカ」が名前の一部に使われている女性は多い。


ダグラス団:とにかく見た目が世紀末な感じ。近寄りがたいが話をすると目や表情が優しく常識人を感じさせる。実際良識や礼儀は十分なため、クライアントからのリピート率は高い。


剣聖アキリス・オプテア:細マッチョで金髪のイケメン。卑怯で意地悪く自分勝手でプライドだけは高い性格が顔に出ている。

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