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035 キャラバンは盗賊団に襲われるもの

あらすじ

女神様からチート能力をもらった長道は妹達と暮らしていて、うっかり魔王を倒す。

手下もたくさん作た。

そして2年。

新し街に引っ越しをするために移動中。

― 035 キャラバンは盗賊団に襲われるもの ―


体をゆすられた。

馬車の中で完全に寝落ちしちゃったみたい。


みるとビレーヌが必死な表情で僕をゆすっている。

この子は何でもない事でも余裕のない表情をするんだよね。初めはこっちも緊張したけど最近は慣れた。タブン今回も緊張の必要のない事だろう。

お昼かな?


目を覚ますと、みんなゾロゾロ降りていた。

思った通りトイレ休憩&ごはんタイムだ。


馬車から降りると、周りは簡単なトイレ付きのある広場。

僕らは適当に座ってお弁当を出してさっさと食べだした。


さすがエプロン子のお弁当はおいしい。


その後に、すぐヒーリアさんとダグラス団の所に行く。


里美とデルリカが手をつないでくるので、そのまま二人を連れて行った。

なんかデジャブが走るなあ。


ヒーリアさんとダグラス団の所に行ったら、ヒーリアさんに懐かしいものを見る目をされてしまった。

「長道坊っちゃん、なんとも昔を思い出す光景だね。」


「あれ、ヒーリアさんもなんか感じました?僕もなんかデジャブが走るんですよ。」


すると横からダグラスさんが苦々しい顔で割ってきた。

「そりゃ、2年前に長道坊っちゃんたちと初めて会った時のことを思い出すからさ。あの時も商人キャラバンの護衛で、そうやって妹2人と手をつないだ長道坊っちゃんがウロウロしていたろ。」


言われて思い出した。

たしかに、僕と里美がマリアお母様とデルリカに買われた日は、こんな感じで商人キャラバンをウロウロしていたっけ。


「それで懐かしかったんですね。これだけそっくりな状況なら、二年前と同じように盗賊が襲ってくるかも。」


ダグラスさんは迫力ある笑顔を見せた。

「それだったら嬉しいねえ。今はあの時と違って敵が100人だって負ける気はしないからな。むしろリベンジの意味でも望むところだ。」


「なるほど、それは頼もしいですね。」


労ってから、僕はその場を離れた。

警備の邪魔になるといけないし。


そっか、奴隷として買われた日とよく似た状況か。

まさかな…

僕は<鑑定探査>で付近を調査する。


うん、居た。

盗賊団が35人ほど。


「デルリカ、里美。盗賊団が近くにいる。二年前に僕らは盗賊に襲われそうになったけど、その場から離れて、商人キャラバンを見殺しにしたことを覚えてる?その時に死んだ人達に想い入れはないけど、あれ以来盗賊とかが大嫌いでさ。ちょっと行って来るから後よろしくね。」


分身して僕は飛び出した。

すると二人も分身して僕を追って来る。

「お兄ちゃん、水臭いですわ。わたくしもその場にいたのですよ。ご一緒いたします。」

「そうだよお兄ちゃん、私だって奴隷から解放された夜の事だから思い出深い出来事だもん、一緒に行くよ。」


そうか、じつはそう言ってくれることを期待していたんだよね。

だって僕一人で盗賊団と戦うとか怖いもん。


「ありがとう、じゃあ頼むよ。」


<鑑定探査>で敵の位置は分かる。

だから僕たちは素早く移動して、連中の後ろに着いた。


近くまで行って、僕は二人に作戦を伝える。

「いいかい、盗賊と言えども誰も殺しちゃだめだよ。前に剣聖にやったように盗賊ができないくらいにイロイロ奪い盗るから。だから僕が盗賊の能力を奪いやすいようにしてほしい。できる?」


2人は楽しそうにうなずいた。

「お任せくださいませ、お兄ちゃん。」

「OKお兄ちゃん。ボクサーのパンチ並みに意識を刈り取ってやんよ。」


ふう、これで人死にを見なくて済みそうだ。

「よし、じゃあ行こう!」

僕らは静かに飛び出した。


で、あっというまに二人は走りこんでいく。

は、速すぎる。追いつけないよ。

さすが魔王と勇者。身体能力も半端ないな。


僕も魔王かもしれないけど、魔王の中でも底辺ではと思うんだよね。

あの二人の足元にも及ばないから。


里美は盗賊団に後ろから近づくと、扇子に眠りの魔法を籠めて撃ちこむ。

後ろから叩かれて眠った盗賊は、何が起きたか分からないだろうという手際だ。

里美は魔力量にモノを言わせて、次々に眠らせる。一秒に二人くらいの速度で。


デルリカは<状態異常の魔眼>で、次々に麻痺させて地面に転がしていた。

一秒に一人くらいのペースで。


僕が二人に追いついたときは、35人の盗賊団が全員倒れている姿が目に入る。


素早すぎだろ。

ぜえはあ、ぜえはあ


あの二人にかかれば、盗賊団が哀れにすら思える。

僕は寝転がるリーダーっぽい人を指さす。

「デルリカ、アジトや詳細について聞きだせる?ついでにアジトも壊滅させていこう。」

「わかりましたわ、お兄ちゃん。」


デルリカは男を起こすと、複雑な魔法陣を目に浮かべた。

同時にデルリカの目は真っ赤になる。

<支配の魔眼>だ。


「さあ、アジトとほかの仲間についてお話してくださいませ。」


盗賊の目も赤くなる。

「はい、アジトは東に2kmほど行った森の中です。そこに残りの5人が留守番をしています。」


スグにデルリカの目が黄色くなる。

<状態異常の魔眼>だ。

男は眠ってしまい動かなくなった。


よし、じゃあいつものヤツやるか。

<原始魔法>で倒れた盗賊たちのステータスを奪う。

能力はもちろん、体力や抵抗力も奪ったので、これから彼らは病弱な人生を歩むことになるだろう。


全員、状態異常の種類を睡眠に変えておいた。

目が覚めたら、まあ頑張ってね。


眠る彼らを放置して、すぐに僕らは走ってアジトに向かう。


しかし二人とも走るのが早いな。

わき腹が砕けるっちゅうの。


苦しさに追い詰められて、急にひらめいた。

そうだ、<純化魔法>だ。

人間、追い詰められないと新しい発見をしないのかもしれない。


<純化魔法>はエネルギーになってエネルギーを操る魔法。

僕は体を電力に純化させる。


軽くなった!

思った通り体が軽い。たぶん本当に体重がなくなったんだと思う。


見た目は人間だけど、電力なので地面にそって凄い速度が出る。

時速150くらいは出てるんじゃないだろうか。


恐ろしいのは、その僕と並走している二人だ。

この二人、もう人間とは呼べないな…。


スグにアジトにつく。

<純化魔法>を解いて普通の体になると、身を隠してそっとアジトの中を見た。

ボロイ小屋で、すごく臭い。


臭いに我慢して僕たちは中に入る。

<鑑定探査>で人の位置を確認すると5人はテーブルを囲むような形で座っているっぽい。

トランプでもしているのだろうか。


人が居る部屋の前まで着くと里美を見た。

「里美、眠らせられる?」

「まかせて、2秒で全員眠らせちゃうよ。」


里美は部屋の外から魔法を発動させる。


五人の盗賊は、こてりと眠った。

魔法への抵抗力が低い様だ。


素早く彼らからステータスを抜き取る。

君たちもイロイロ失うけど、強く生きろよ。


そこからはアジトの物色。


里美が目ざとく倉庫を見つける。

「お兄ちゃん、きっとここにお宝があるよ。」

倉庫のドアを開けた。


予想通り大量の武器や魔道具が置いてあった。

「里美に全部あげるよ。回収したら帰ろうか。」

「はーい。」


里美は素早くブツを<空間収納>に回収する。

それを見届けて、僕らは走ってまた馬車に戻ってきた。

ちょうど休憩が終わるところだったようで、みなが馬車に乗り込むところだった。


僕らも分身と合体して馬車に乗り込む。


さて、あとでヒーリアさんとダグラスさんにはお説教だな。

盗賊団の接近に気づかなかったんだから。


なんとも、微妙な出発の門出になったなあ。

お読みくださりありがとうございます。



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