表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/127

011 狩り再び

登場人物

長道:主人公。11歳。元日本人だが記憶を奪われている。ちょっと調子に乗っている。

デルリカ:9歳。ブロンドの美少女。妹を大事している。

康子:8歳。170cmはある体に隆々の筋肉。立派な人である。

里美:7歳。日本の記憶を持って居る。可愛い。

マリア:28歳。長道と里美を買ってくれた女性。謎が多い司教。

ヒーリア:ダークエルフの美人さん。最近魔法を覚えた。

― 011 狩り再び ―


午後からダークエルフのヒーリアさんと一緒に狩りに来た。

歩いてると、ヒーリアさんが草むらを指さす。


「長道坊っちゃん、あそこにグレイウルフがいるよ。」


僕は弓を構えた。

ふっふっふ、この前の僕とは違うんだぞ。

なんせ<時間魔法:5>の僕は超凄いから。


心を落ち着ける、そして少し先の未来を予測する。

矢が当たる未来を感じたときに矢を撃ち放つ。


バシュン


放たれた矢は、真っすぐグレイウルフの心臓に当たり、グレイウルフはパタリと倒れて息絶えた。

「おっしゃ!僕パワーアップ!」


妹達は、一撃で死んだ獲物を見て大絶賛してくれた。

「さすがですわお兄ちゃん、<時間魔法>をこんな風に使うなんて天才ですわ。」

「当たってから射るとか、どこの達人かって感じだね、お兄ちゃん。」

「見事な応用です。お兄様は天才です。」


妹達よ、ほめ過ぎだよ。えへへへ。


ヒーリアさんも感心してくれた。

「まったく魔法の気配が分からなかったけど、今のも魔法なんだよね。驚いたな。こういう地味な使い方の魔法が一番怖いんだよね。」


僕は2メートルはあるグレイウルフを<空間収納>に格納する。

そいえば、おとといの狩りの獲物がまだ僕の<空間収納>に入れっぱなしだった。

明日にでも肉以外は街に売りに行かなくちゃ。


空を見ると、鳥が飛んでるのが見える。

よーし、あれも落としちゃうぞ。

弓を構える。

また<時間魔法>で当たると予感で来たところで矢を放つ。


バシュン


「くえええええー」

吸い込まれるように鳥の心臓に矢が刺さり落ちてきた。


「やった!」

落ちたところに走っていくと、大鷲だった。


矢を抜いて、ひょいっと<空間収納>にいれる。


次は、適当に弓を構える。

獲物の悲鳴が聞こえる未来を感じたときに、矢を放った。

大きく弧を描いて飛んで行った矢は、目の前の倒木の後ろにおちる。


「ぐおおおおおお。」


そこにはファングウルフがいたらしく、矢が刺さって驚いて飛び出してきた。

僕はナイフを投げる。

これも大きく弧を描いて、ファングウルフの耳の穴に刺さり、ファングウルフの息の根を止めた。


「やった、なんかコツを掴んじゃったかも。」


ヒーリアさん呆然。

「長道坊っちゃん、メチャクチャすぎるでしょ。」


気を良くして、次の獲物を探していると妹達が僕の前を歩きだす。


ん?


ヒーリアさんがクスリと笑った。

「長道坊っちゃん、お嬢ちゃんたちも狩りがしたいみたいだから、次の獲物は譲ってあげた方が良いよ。」

「あっおー、うっかりしてました。じゃあ僕はしばらく見学しますか。」


グレーベアー

オオトカゲ鳥

ポイズンボア

ファングウルフ

炎オオトカゲ


次々に妹達は獲物をしとめて行く。

この人たち、ちょっと強すぎる気がするけど…


そのあたりで今日の狩りは終了することにした。


帰り道、ヒーリアさんは嬉しそうに僕に魔法を見せてくれた。

「ほら、エアカッターやサンダーブレイクが軽々撃てるんだよ。もう嬉しくて午前中の狩りでは使いまくったよ。しかも今は<空間収納>があるから、大物を狩ってもいちいち街に帰らなくていいから大助かりだよ。」

「へえ、もう魔法を使いこなしているんですね。すごーい。」

「長道坊っちゃんが教えてくれたN魔法が簡単だったお陰だね。感謝してるよ。」


そう言いながらニコニコとする。

照れてしまうな。


森から村に入ると、まずは商店街を通る。

食べ物や飲み屋も多い。

だから酔っ払いに良く出会う。

まあ大抵、夕飯前から酔っぱらっているのは冒険者だけど。


そういえば、これだけ冒険者がいるという事はもしかして…

「ヒーリアさん、もしかしてこの村には冒険者ギルドの支部がある?」

「ああ有るよ。魔物狩りのために冒険者がたくさん来るから、ギルドがないと大変だからね。」


デルリカが凄い勢いで飛びついてきた。

ジャンプして僕の背中にへばりつく。

「ワタクシ、冒険者ギルドに行きたいです。わたくしも冒険者に登録できますか?」


「デルリカお嬢ちゃん、残念だけど冒険者登録は15歳からだよ。実力があって特例登録するとしても13歳からだ。あと4年またないとね。」

「そうなのですか、ワタクシは昼間から酔っぱらっている冒険者なんかよりも、よほど実力があると思いますのに。」


ヒーリアさんは満面の笑みを見せる。

「違いない。底辺のG級なんかよりもよほど強いよね。C級よりも強いんじゃないかな。」


冒険者にはランクがあるのか。

興味出たかも。

「ヒーリアさんのランクは?」

すると、ペンダントを見せてくれた。


「ここに書いてあるよ。わたしはE級さ。もっとも魔法を覚えた今の私はC級くらいの力はあると思うけどね。」


E級?それってどのくらいの実力なんだろう?


「どのくらいのランクが普通なんですか?」

「そうだねー、冒険者の7割以上がE級以下らしい。D級になれれば実力者だよ。」


へえ、そうなんだー。


そんな話していたらヒーリアさんが建物を指さす。

「ほら、そこが冒険者ギルドだよ。ついでだから見ていくかい?」

「見る!」


ドアを開けて中に入る。


すると、荒くれた人たちが奥のレストランスペースで酒を飲んで騒いでいる。

うん、THE・荒くれものって感じだ。


入り口に近い壁には、依頼の紙が沢山貼ってある。

里美は横で鼻息荒くした。


「お兄ちゃん、これこそ冒険者ギルドだね。なんかテンション上がるよね。誰か絡んでこないかな。」

「なんで絡んでほしいのさ。」

「お兄ちゃんがやっつけるの見たい。」

「ごめん、やっつけるより先に土下座を見ることになると思うよ。ココの人たち顔が怖いから、僕には無理無理。」


ヒーリアさんは慣れた感じで受付の超お姉さん(普通のお姉さん+30歳くらい)のところに行く。


「ユカエルさん、買取を頼む。大型の魔物5匹だ。」


ここで買い取ってくれるのか。

じゃあ僕も。

必死に受付台の上に顔を出す。

「あと、僕のキラービー100匹の買取も頼みます。」


すっごい、生暖かく微笑まれた。

「坊やも魔物持ってきたのかい?じゃあヒーリアと一緒に倉庫に行っておいで。」

そして飴玉をもらった。


台から離れて後ろを向くとデルリカがニコニコ手を出してくる。

はいはい。

飴玉をデルリカに譲渡した。


「ありがとう、お兄ちゃん。」

「どういたしまして。」


ユカエルさんについて倉庫に行くと、ヒーリアさんは<空間収納>から魔物をドサドサだす。

まわりの職員がどよめいた。

「ベアー系3匹にウルフ系2匹か。これを今日一日で?凄いものだね。」


死体の状態を調べて、ユカエルさんは書類を書いて渡す。

「全部買取で良いなら、金貨50枚は行くとおもうよ。解体して魔石が出たら上乗せするからね。明日また来ておくれ。」


その横に、僕はキラービーをボトボト出す。

今回は100匹だけ売ろう。

山のように100匹だしたら、ユカエルさんが悲鳴のように叫んだ。


「坊や!あんた本当にキラービーを持ってきてたのかい!てっきり子供の妄言かと思っていたよ。驚いたねぇ。」


職員が死体のチェックを始めた。

みな、チェックしながら何度もこっちをチラチラみる。


誤解されるといけないから、説明しなくちゃ。

「もちろん僕が1人で狩ったわけじゃないですよ。この5人で倒したんです。」

うしろでデルリカと里美がドヤ顔していた。


「それでも驚いたね。キラービーはAクラスパーティーでも30匹いたら逃げる相手だからね。100匹も倒すなんて凄い事だよ。」


本当は800匹だけど、面倒になるといけないから言わないでおこうっと。


ユカエルさんは僕に預かり証明の書類を渡してくれる。

「じゃあ明日のお昼以降にお金を取りにおいで。600ゴールドくらいになるだろうから、大人と一緒に取りに来るんだよ。」


うーん、取に来るのめんどい。

引き取り証をヒーリアさんに渡してみた。


「ヒーリアさん、ついでに受け取って。」

「そうだね、ついでにわたしが受け取って持って行ってあげよう。」


ユカエルさんもそれを聞いて表情を和らげた。

「それがいい。こんな大金を子供が持っていたら、何をされるか分からないからね。」

心配してくれていたのがわかる。

ユカエルさん、いい人だな。


でも僕の時間魔法があれば誰が来ても絶対大丈夫だと思うけど、面倒だからそこは説明しなくていいか。


そして帰路につく。


ギルドから家に帰ってきたら、狩りで獲った肉をキッチンのエプロン子にわたす。

沢山あるから、余った分は売るって言ってた。

で、お茶でも飲もうとテーブルに行くとマリアお母様がいたので、今日の話をした。


「…ってわけで、僕の狩りは達人級です。妹達も強いし凄いですよ。あとギルドにキラービーを売りに行ったら金貨600枚になりそうだから、580枚はマリアお母様にあげますね。それでね…。」


話をしている間中、マリアお母様はニコニコしていた。

「そうですか、楽しい一日だったようですね。」

「はい、とっても。」


ぎゅっと抱きしめられた。

はう。

それは、らめぇぇ。なんか童心に帰っちゃうから・・・

だめ、もう我慢できない。もう甘える。ふにゃふにゃ。。。


抱かれる腕の中で力を抜いて身を任せた。

「長道、明日から分身をお屋敷に置いていきなさい。勉強と武道の練習をしますよ。」

「・・・うー、はい、わかりました。」


いま脳が批判する能力を失っているから『はい』って言っちゃたけども問題ないよね。

ふう、マリアお母様のぎゅうは心地いいな。

ずっとこうやって甘えたくなる。


しばらくそうやって甘えていると、里美に見つかってしまった。

「お兄ちゃん、甘えん坊だなあ。」


その言葉で僕はやっと、人を駄目にするハグから立ち直る。

「う、うるさい。甘えたっていいじゃん。」


不服そうにしている里美。

その里美に、いきなりデルリカがハグをした。


「さあ里美、お姉ちゃんが甘えさせてあげましょう。たんと甘えてくださいね。」


抱き合うデルリカと里美。

やばい、可愛すぎる。


<スマホ念話>を起動して動画撮影!くそ、写真も撮りたい。

あとで撮影に特化した魔法を手に入れなくちゃな。

妹可愛すぎる。


するとマリアお母様がデルリカと里美に歩み寄った。

「そうそう忘れるところでした。今日は神殿に行って、いいものを奪ってきました。これを二人にあげましょう。ふたりも長道や康子と同じ魔法が使いたいでしょうから。」


いうと、二人の左右の腕に腕輪をつける。

「これは<一意多重存在>ができるようになる腕輪です。それで2人にも分身できるはずです。勉強とマナーのレッスンをするために、いつもお家に1人はおいていきなさい。子供は勉強が一番の仕事ですから、外で遊ぶなら分身を置いていくのは絶対です。いいですね。」


2人はギョッとしていた。

僕だってギョッとした。


よく見ると、マリアお母様の腕にも同じ腕輪が付いている。

恐る恐るマリアお母様に尋ねる。


「それって神殿から奪ってきて大丈夫なんですか?」


軽い表情で普通にうなずいてきた。


「ええ大丈夫です。これは<一意多重存在>を習得する練習用に作られたものなのです。ですが、すでに役目を終えていたので貰ってきました。これを作った賢者大魔導士が許可してくれましたので大丈夫ですよ。」


いやいや、そんな高価なアイテムを気軽に貰っちゃ絶対ダメでしょ。

勘だけど、本当は持ち出してはいけないんじゃないかな。

それ絶対国宝級の魔道具ですよね。

記憶が無い僕にでもわかりますよ、それは存在自体を公表してはいけないアイテムでしょ。


マリアお母様…本当に何者なんだろう?

この人が一番謎だ。

お読みくださりありがとうございます。


能力説明<一意多重存在>

普通の分身は、本体と分身に分かれる。分身を増やすほど本体は集中力が必要になり、ほかのことができなくなる。本体が死ぬと分身は全滅する。

しかし一意多重存在は、一つの意識ですべての肉体を操るので、すべての分身が本体。

複数の肉体を操るのは大変だと勘違いされるが、分身の数だけ脳が増えるので、むしろ頭がよくなる。

一意多重存在は一つの魂で複数の肉体を使うので、どの分身が死んでも影響はない。1体でも生きていれば記憶は継承されて魂は死なない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ランキングアップのために、↓↓クリックしてくれると嬉しいです
小説家になろう 勝手にランキング

新作
「異世界に行きたい俺たちの戦い ~女神さまは無責任~」
もよろしくお願いいたします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ