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010 能力検証

登場人物

長道:主人公。11歳。元日本人だが記憶を奪われている。兄妹内で最弱。

デルリカ:9歳。ブロンドの美少女。甘えん坊。

康子:8歳。170cmはある体に隆々の筋肉。高潔にして実直。

里美:7歳。日本の記憶を持って居る。黒髪ストレートでトップアイドル級に可愛い。

マリア:28歳。長道と里美を買ってくれた女性。男ならみんな惚れるね。

― 010 能力検証 ―


場所を変えて、庭にある東屋に座る。

デルリカ、康子、里美、マリアお母様も円卓を囲むように座り、僕に注目中。


「では、<日本ライブラリー>にポイントを割り振ってみます。」


レベル19なので余剰ポイントが36ある。

だからポイントをケチちらず使う事にしようかな。


目をつぶり、右手のステータスウィンドを見る。

そして、<日本ライブラリ:0>にポイントを割り振った。

まあ初めてだから試しに、<日本ライブラリ:1>にしてみる。


作動させると、一覧が出た。

どうやら曲名のようだ。


適当なのを選択する。

音楽が聞こえてきた。


「あ、音楽が聞こえてきた。」

「そうなんですの?ワタクシにはなにも聞こえてきませんわ。」


デルリカがこちらを見つめながら小首をかしげた。

そうか、僕にしか聞こえないのか。


さらにポイントを増やす。

<日本ライブラリー:2>


すると、<スマホ念話>が起動。

そこから音楽が流れだした。


里美の目が輝やく。

「うわ、これってボーカロイドじゃない。こっちでも聞けるとか嬉しい。」


マリアお母様が困った顔になる。

「ですがこれだけでしたら、肩透かしな魔法ですわね。ポイントを使わせてしまいスイマセン長道。」


確かに。

でも僕は覚悟を決めた。マリアお母様にガッカリさせるわけにはいかない。


「もしかすると、あの大天使様が大地のこと以外ではポンコツだって可能性もありますが、ここは賭けで全振りしてみようと思います。」


里美は静かにうなずいた。

「できたら、気になっている漫画があるかるから、続きが読めるくらいにポイントを振ってくれると嬉しいな。」


デルリカも目を輝かせる。

「もしもアニメが見られるようになりましたら、ワタクシにも見せてくださいませ。神殿の幹部しか見られないといわれるアニメというものを見てみたかったのです。」


康子は遠慮がちにこっちを見た。

「負担が無いようでしたらですが、日本の武道の試合も見てみたいです。」


「OK、OK、じゃあ極振りしちゃうね。エンターテイメントを分かち合おうぜ。」


一気にポイントを入れた。

<日本ライブラリー:10>


これどうだ!

そして調べる。

で、僕は焦った。

思ったよりもやばかった。


なぜなら、

映画、ドラマ、アニメ、漫画、小説、各種書籍、スポーツ動画、格闘技の試合、テレビ番組(膨大な量)、日本語吹き替えされた海外ドラマ、音楽、ゲーム、PC用のアプリ、そして通販。


前世の僕は、どれだけのものを見ていたんだろう?

ヘルプでみると「見たもの、触ったもの」はすべてライブラリーに入っているようだ。

この「見た」はどうやら、内容を見ていなくても、背表紙やパッケージを見ただけのものを含まれているらしい。


僕は日本に居る時に、本屋や図書館、レンタルビデオ、CD屋で、どのくらいの背表紙を見たのだろうか?。

閲覧可能なリストを見たら、膨大過ぎて焦った。


それらを「出力」する機能まである。


なるほど、これは凄い。

日本に生きた人間にはありがたい。

戦いやコッチの生活にほとんど役に立たないと思うけど。


膨大な娯楽や知識が手に入るぞ。これからゆっくり楽しむとしよう。

実生活にはほとんど役に立たないが。


そのあと、妹達とお母様の希望しそうなコンテンツを4人の<タブレット>に送り、ひと段落してみる。

これは凄いな。


そうだ、おっぱい天使さんが言っていたものを探さないと。

佐山里美で検索。

すると、大量に出てきた。

音楽、PV、写真集、ドラマ、映画、出演したバラエティーテレビ番組。


「まさかと思うけど…」

恐る恐る、PVを再生した。


長い黒髪ストレートで、スッキリした美少女が歌って踊っている。

<タブレット>魔法で再生させつつ、僕は放心してしまった。

うわぁぁ、これマジでアイドルじゃん。


目の前の里美を見る。

PVに写っている佐山里美よりも幼いが、まちがいなく同一人物だといえる美少女。

うわあぁぁ。これ凄いな。


里美からはタブレットの中身は見えないから、放心する僕を不思議そうに見る。

「どうしたのお兄ちゃん?」


無言で<タブレット>を里美に向けた。

「あちゃぁ、見つかっっちゃたんだね。私がトップアイドルだった事実が。」

「すごいな里美、今も美少女だけど、この映像も相当な美少女だよ。」

「でしょ。お兄ちゃんにとっては自慢の妹ってことだよ。ついでにPVの最後のテロップもしっかり見てね。」


そういわれては最後まで見るしかない。

歌って踊る里美を眺める。


くふっ、変な笑いが出た。

あとでゆっくり鑑賞しなくちゃ。


曲が終わるとテロップがながれたので見ていたら…。

そしてまた絶句する僕。


『作曲・編曲 石田長道』

『振付 石田長道』

『演出 石田長道』


おおおい!

慌てて、その文字を指さす。

すると里美は嬉しそうにうなずいた。

「そうだよ、私の振付や衣装案や作曲やら諸々は、殆どお兄ちゃんがやってたんだよ。お兄ちゃんは私の作曲担当であると同時に専属Pだったんだから。」


マジか…

僕にそんな才能が。

そこで気づいた。僕が持っている謎のスキル<楽器演奏:5>。

そういう事か…。


愕然とした。


そこで里美が僕の腕をつかむ。

「そうだお兄ちゃん、演奏してよ、私歌うから。バンドやろう。ずっと一緒に歌いたかったの。」

「そうすると、ギターがいいのかな。」


里美は楽しそうにバシバシ僕を叩く。

「何言ってるの、ギター、ベース、キーボード、ドラムもやってよ。<一意多重存在>があればできるでしょ。」


僕は本気で聞き返した。

「なんで?」


里美は驚いたように目を丸くする。

「本気でいってる?<一意多重存在>は分身の術だよ。お兄ちゃんが4人になればバンドは可能だよね。<一意多重存在>はお兄ちゃんの得意技だよ。」


「マジか!」

っていうか、なんで里美がそれを知っているんだ?僕もよく知らないのに。

謎だ。

あ、妹だからか。


今日、僕の過去が少し暴かれたけど、かえって謎が深まった気がする。

アイドルの作曲家で、プロデューサーで、分身の術が得意だったのか。

しかも<日本ライブラリー>で表示された一覧から察するに、相当な量の本や映像を見ている。

しかも大天使とお友達。

いったい僕は何者だったんだろうか。


よし推理しよう。

おそらく過去の僕は、音楽業界の敏腕プロデューサーで、大学か何かの研究者。

忙しすぎて分身して働いていた。

その時にライブ会場に来ていた大天使と仲良くなった。

これに違いない。


そんなことを考えていたら、デルリカが僕の腕を引っ張る。

「そういえば、他のスキルにもポイントを振っていますの?最低1ポイントは割り振らないと使えませんよ。」


僕は笑ってごまかした。

「えへっ。」


「…信じられませんわ、まさかポイントを割り振っていないのですか?今すぐ最低でも1割り振ってくださいませ。勿体ないですわ。」


目をそらしてみる。

目をそらした先では、マリアお母様がジト目でみていた。

だめだ誤魔化せない。だったら丸投げしてみよう。


「あのマリアお母様、ポイントをどう割り振ったら良いか自信が無いので、お任せしても良いですか?」


「長道…、そういう大事なことは自分でお考えなさい。」


「無理無理、おねがいママン。」


数秒見つめ合う母子。

そしてマリアお母様が折れて溜息をついた。


「わかりました。ではできるだけ究極魔法に割り振ってください。普通は手に入らないモノですから。」

「あざっす!」


で、すぐにポイントを割り振ったのがこれ。


―――

長道 11歳 未使用ポイント5

レベル19

職業:村人

称号:なし


スキル:<鑑定探査><鑑定><空間収納><楽器演奏:5><スマホ念話><タブレット念話><ノートPC>

魔法:<一意多重存在:5><純化魔法:5><時間魔法:5><原始魔法:5><日本ライブラリー:10><衝撃波:2>

武技:<弓:1><槍:1><N武道:4>

備考:人工精霊2体所有。

―――


未使用ポイントを5残したのは、今後のための備えだね。


ポイントを振った後の能力の説明は面倒だけど、いきなり凄いよ僕は。

今回のポイント割り振りで、超凄くなった。

でも説明が面倒なので妹達へは気が向いたら説明するつもり。

ヘルプを見る限り、究極魔法を全部<5>にしたことで驚くようなことがたくさんできるようになった。

でも他人に説明しないけど。だって面倒なんだもん。


ポイントを割り振ると、当然デルリカは興味津々で詰め寄ってくる。

「では新しい能力を試しませんと。さあ、お見せ下さい。」


どれを見せようかな。

一番得意だったといわれた<一意多重存在>を使ってみるか。

この分身は、

ポイント1で2人に増える事が出来、

ポイント2で4人に増えられ、

ポイント3で8人に増えられる。


という感じに、ポイントを一つ増やすと分身できる人数が倍になるらしい。


僕は5ポイント振ったので32人になれるって訳だね。


ヒョコリ。


2人に分身した。

妹達から拍手が起きる。


さらにヒョコリと分身。

4人になった。


さらにヒョコリ。

8人になる。


ここでデルリカも里美も大興奮した。

「凄いですわ。みんなで二人ずつお兄様をもらえますもの。これは最高ですわね。」

「お兄ちゃん、さっそく私とバンド組んでよ。ギターとベースとキーボードとドラムで。演奏が全部お兄ちゃんとか最高だよ!」


なんか妹達のテンションが高い。


康子は僕を厳しい視線で見つめている。

どうした康子?


「これならば、お姉さまの面倒を見ながら、勉強しつつ武道の練習をし、同時に魔法の修業をしつつ、狩りにも行けますね。出来る事なら私もその魔法が欲しいです。」


分身を見て、最初に努力することを考える康子、まじ立派過ぎ。

僕なんて、組体操をする以外の使い方のイメージが出来なったのに。


「康子、いつかこの魔法を極めたら伝授してあげるからな。こういう魔法は康子にこそふさわしいと思うよ。」

「はい、その日を楽しみにしております。」


すると、人工精霊の高麗こまが半透明な体でゆらりと現れた。

『長道様、それでしたら<一意多重存在>を引き千切ってお与えになってはいかがでしょうか?<原始魔法>は概念や法則を捻じ曲げて物理のように扱う魔法です。<原始魔法>で<一多重存在>を引き千切れば康子様にも分け与えることができると思いますよ。』


「マジか!だったら康子にあげよう。この魔法は康子にこそふさわしい!」


僕はまず<一意多重存在:5>に余らせていたポイントを全部振って<一意多重存在:10>にする。

それを<原始魔法:5>を使って引き千切ろうとした。


そこで康子が慌てて止めに入る。

「おやめくださいお兄様、そんなことをしたらお兄様から<一意多重存在>がなくなってしまうかもしれません!」


しかし、ぼくは自分の胸に手を当てて、イメージで<一意多重存在>を迷わず引き千切った。

「気にするな。僕のモノは妹のモノも同然。すこしは康子にお兄ちゃんらしい事もしたいしね。」


なんせ、康子には世話になってばっかりで、自分の情けなさがちょっと辛かったから。

だから、せめてこの魔法をあげたい。康子が欲しがったんだもの。


引き千切ったイメージを康子の胸にたたきつけるように、右手で心臓あたりにえぐりこんだ。


「うぐうう、これは、、、、すごい、、、、、」


くらって膝をついてうずくまる康子。

あれ?苦しめるつもりはなかったんだけど、大丈夫だろうか?

「ごめん苦しかった?大丈夫か?」


すぐに抱き起すと、康子は右手を見ていた。

「お兄様…<一意多重存在:5>が私のステータスに追加されました。ありがとうございます。」

「そうか。これで康子は頑張れるね。」


ふう、初めて使った<原始魔法>だけどうまくいって良かった。

左手のヘルプによると、原始魔法は「原点にして始まり」の魔法だそうだ。無の世界に概念を生み出し、世界の元をつくった魔法らしい。究極魔法の名に恥じない超レア魔法だ。

概念を操作するという反則級の魔法だから、僕自身も扱いに気を付けないといけないな。

今回はテンション上がって使っちゃったけど、これからは気をつけよっと。


そうだ、僕の<一意多重存在>は消えたのかな?

僕は自分のステータスから<一意多重存在>が消えたのを確認するために右手のステータスを見る。


すると、


―――

長道 11歳 未使用ポイント0

レベル19

職業:村人

称号:なし


スキル:<鑑定探査><鑑定><空間収納><楽器演奏:5><スマホ念話><タブレット念話><ノートPC>

魔法:<一意多重存在:5><純化魔法:5><時間魔法:5><原始魔法:5><日本ライブラリー:10><衝撃波:2>

武技:<弓:1><槍:1><N武道:4>

備考:人工精霊2体所有。

―――


あれ?<一意多重存在>が残ってる?

どうして?


そして分かった。

<一意多重存在:10>から<一意多重存在:5>を引きちぎって、康子にあげたから<一意多重存在:5>残ったのか。


「なんだ、半分になるだけで無くならないじゃん。」

僕のつぶやきに高麗は、ぷくーっと不本意そうな表情になる。


『究極魔法を失うような不利益なことは長道様に進言いたしません。ただ、短時間のうちに何度も引き千切ると消えるかもしれませんので、一度引き千切ったスキルは、しばらく引き千切らないようにしてくださいませ。』


「そうなんだ。おっけー。」


そんな話をしている間に、さっそく康子は32人に増えていた。

すごい迫力。

なんだろう、屈強なコマンドーが団体でやってきた感じ。


「ありがとうございますお兄様。これでしたら他人の30倍努力ができます。本当にありがとうございます!」


「喜んでもらえて何よりだよ。」


康子、超人になれよ。


そのあと、マリアお母様の指示でメイドゴーレムが楽器を持ってきてくれた。

だから僕は分身して演奏を開始してみる。里美のために。


ジャジャラン


おお、僕って楽器演奏が上手だったんだな。どれも軽々演奏できた。

演奏者が全員僕なので、演奏のタイミングも完璧。

これ、理想的なバンドだな。


里美はノリノリで歌って踊り出す。


マリアお母様とデルリカと康子は、歌う里美をノリノリで見て楽しみだした。


うんうん、妹達がみんな喜んでいて僕もうれしいよ。

僕のチートは、こういう楽しい使い方だけしていたいな。

お読みくださりありがとうございます。

能力説明<日本ライブラリー>

1ポイント:過去に見たか聞いたことのある音楽が聴ける。

2ポイント:音や映像を<タブレット>魔法で等で出力できる。

3ポイント:過去に見た動画が見れる。ビデオ、映画、テレビ、PCで見たもの。

4ポイント:過去に見た本が見れる。出力は<タブレット>か脳内。プリントもできる。

5ポイント:過去に見たゲームが再現できる。

6ポイント:過去に触ったり見たゲーム機やPC等のハードをエミュレートができる。

7ポイント:ゲーム機やPCのエミュレート魔法を他人に与える事ができる。

8ポイント:ライブラリーの閲覧権限を他人与える事ができる。

      一覧から探す以外に、全文検索で必要な情報を探すことができる。

9ポイント:過去に背表紙やパッケージだけでも見たことがあるものをライブラリーに入れられる。

10ポイント:最新のものを異世界から追加購入できる。(金貨一枚1万円相当)



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