凋落の地下遺跡8
その後はリスナーと雑談しつつ魔物を燃やしたり殴ったりマナ吸収したり燃やしたり燃やしたりしながら順調に進んでいった。
「……はい、という訳で迷宮守部屋前までやってまいりました」
コメント
・きちゃ!
・早いな
・普通は魔物避けて進むのに時間取られたりするから、倒して進めるなら確かに早いわな
・やるなぁ
・正直、最初は探索途中で切り上げるのかと思ってたわ
「では軽く事前説明を。ここのボスは"昔日の叡智"。人型の魔術師系魔物ですね。攻撃は激しめですがさしてタフな相手ではありません。おかげでソロで挑んでもそこまで時間のかからない相手ですね」
コメント
・いやこいつをソロ討伐は普通に無理ゲーなんだが
・手強い相手だぞ
・「タフではない」←なお本体はバリアに守られている模様
・中級者パーティーの壁
・でも妖怪ダンジョン小僧だしな
・ガチでやる気なのかい?
・お手並み拝見
「おまかせください。あいつに何度もブッ殺された恨みを糧に研鑽を積んできましたから。奴に殺された俺の数度目の仇討ち、別個体の奴で見事果たしてみせます」
コメント
・草
・草
・内容が色々おかしいw
・破綻してそうでしてない、少し破綻した理論
・死骸は復讐をする(白目)
ナナミン・あんまり無理しちゃ駄目
「はい気をつけます。……ではさっそく突入!」
俺は部屋に繋がる通路をずんずん歩いていく(なお余談だが蘇生費用は全額俺がダンジョンで稼いだ分で支払った)。
広い部屋に踏み入った瞬間、天井からひとつの影が飛来した。
緑のローブを羽織った幽霊のような青白い人型の影。右手には赤の、左手には青の書物が一冊ずつ掴まれている。頭に被ったフードの隙間からふたつの瞳が赤く輝いていた。
あれが凋落の地下遺跡ボス"昔日の叡智"である。
「〈ファイアボール〉!」
すーっと降りてくるボス相手に問答無用でスキル発動。杖から放たれた火炎球がまっすぐ青白い幽霊魔術師へ飛ぶ。
だが"昔日の叡智"が左手の書を突き出すと、その前面に青い障壁が展開される。命中するもあっさりと防がれる。
「はい、敵がなんかする前に先手を取ろうとしてもそうは問屋が下ろしませんでしたね。ボスはそんなに甘くない、覚えておきましょう」
コメント
・デスヨネー
・ビビったわw
・ヒーローもののお約束をその辺にポイ捨てする男、それが堂崎大地
・とても勉強になるなあ()
そうこうしているうちにボスが両手を左右に広げるように突き出す。掴まれていた二冊の書が不思議な力でひとりでに浮く。手でめくることなく開かれた書の内部から、多数の紙片が噴水のように勢いよく舞い上がる。
乱れるように舞う紙片はやがて整然と列をなし"昔日の叡智"の周囲を取り囲んだ。
「あの紙片は一枚一枚がボスの意のままに動き魔術を行使する、いわば遠隔の魔術端末ですね。赤い書物から出たほうは攻撃を、青のほうは防御を担当します。
それぞれ紙の材質や文字の大きさ、レイアウトなんかに違いがありますので判別すれば敵の行動に対応しやすくなります」
コメント
・だ か ら 無 理
・「並べれば分かる」程度の違いしかないんだが
・しかも戦闘中は両者が激しく入り乱れるんだが
「そこは慣れでなんとかしてください。 ……来ます! 解説はしますがコメントに目を通すヒマないと思うんであらかじめご了承を!」
言うと同時に"昔日の叡智"の放った赤い書の紙片から無数の光弾が放たれた。
殺到する魔術攻撃。俺は側面へダッシュ。ボスを中心に円を描くように移動。
全力で駆ける俺の背後で光弾が次々に着弾。ガガガガガガガガガッ!! と床を砕く音が後頭部を殴りつける。
一発でも直撃すれば俺の紙防御な肉体など軽く風穴を開けられる。だが避け方など散っ々お前に鍛えられてんだよ!
「こいつの光弾は速度こそ早いですが慌てなくて大丈夫。狙いが正確なぶん、ちょっと位置をズラすだけで当たりません!」
回避しながら刻んでいた術式が完成、即座に櫂杖を突きつける。
「〈火炎放射〉!」
放たれた炎が青い書紙片の展開する障壁に防がれる。
その障壁の一枚が砕かれ、それを展開していた紙片が燃え尽きる。そのすぐ後ろの紙片が防御。それも浴びせ続けられる炎の前にすぐ破られる。紙片が一枚、また一枚と灰になっていく。
「敵の張る障壁ですが、このように持続性のある攻撃なら効率よく破ることができます!」
確かにバリアの『防御力』は高い。
が、その『耐久力』は低い。
ようは強力な攻撃でも防げるが、長く防ぎ続けることはできないのである。
炎を長時間浴びせ続けられる〈フレイムスロワー〉はこういう時にも有効なのだ。
青の紙片が一枚、また一枚と燃えていく。ついにはその奥に守られた赤い書の紙片も燃えていく。光弾による猛攻が緩む。
「はい攻撃チャンス到来です。ただしいずれ相手も対応してくるんでご注意を!」
その隙を見逃さず本体に向けて全力ダッシュ。すばやくスキル準備。
「〈ヒートパイル〉!」
"昔日の叡智"に向け炎の杭を打ち出す。緑のローブと青白い肉体を赤い炎が深々と貫く。どこに発声器官があるのか、幽霊魔術師は苦悶の声らしきものを部屋内に響かせる。
「っしゃらぁぁっ!!」
立て続けに杖で殴りつける。ダンジョンには"ターンごとに一回行動"なんて原則は当然ない。怯んでいるうちに遠慮呵責なく連打連打連打ぁっ!!
「かと言って調子に乗って攻撃ばかりしている……っとぉ!」
ボスが両手の書物を振るう。赤からは光の魔術を、青からは障壁を加工した刃が伸びる。
交差する斬撃を跳びすさって回避。そのまま距離を取る。"昔日の叡智"両手の書物から追加の紙片がぶわっと舞い上がる。
「ごらんの通り紙片は追加されるんで逐一減らしてください。敵の攻撃をしのいでバリアを剥いで本体に攻撃、これが"昔日の叡智"戦の流れです!」
俺は精霊さんに向けて言った。
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