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プロローグ

靑い海。海の色は好きだ。心が落ちつく、素敵な色。

波しぶきの音は心地の良い子守唄のようで、日々の鬱屈を癒してくれる。

私が見つけた特等席の岩は太陽のおかげでぽかぽかしていてじんわりと温めてくれる。心までも。

けれど、今日の海は曇り空も相まって表情を変えた。

厚い雲が夕日を隠す黄昏時の空に、荒い波しぶきの音だけが辺りにこだまする。

いつもの居心地の良い特等席もひんやりと冷たい。心まで冷たくなってしまいそう。

こんな日は悲しい哀しい人が来る。ほら、あそこに一人。どこか憂い顔の切な気な娘を見据える。

実際は、その娘のいる浜辺と私がいる岩場はとても距離が離れているから、普通の人にならよく見えないのだけれど。

私の力なら、それも容易いこと。

今にも降りだしそうな雲があの娘によく似ている。私は目が離せなかった。

零れそうになる涙を堪えながら、ただただぼーっと寄せては引く波を眺めている彼女の瞳は私もよく知る絶望を滲ませていたから。

誰もいない砂浜で、たった一人きり。

時も場所も違えど、その光景がとある遠い日の記憶と重なった。決して忘れはしない。

『今度こそ…。約束を果たす。必ず救ってみせるから。貴女が元気で、心の底から笑ってくれる日がいつかきっと訪れるから。私を信じて』

そのためには、やるべきことがたくさんある。

今からでも、遅くない。

希望への招待状はもう貴女宛に。

理不尽なこの世界に、歪んだ存在の(わたし)が巻き起こすちょっぴり風変わりな物語─────


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