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あるエルフの都市作り  作者: 沙河泉
王都復旧
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構想

「して、何を思いついたのじゃ?」


 しばらく混乱というか、気分が高揚していたため、場が混沌としていることに気が付かなかったのだが、カレンが蜂蜜を溶かしこんで作ってくれた白湯を用意してくれたので、それを飲んで一息つくことができた。私が一人で興奮していたとき、ヴェルとエレンの言い争いがすごかったと、カレンとシュナが口をそろえて言っていたので、もう少し周りを見なければと反省・・・。


「それはね。ヴェルが持ってきてくれた、この土人形たちを見て思いついたんだ」


 魔力を込めてあげた土人形たちは、休眠状態が解除され、今は私の私室内の狭くてヒトの掃除が行き届かない場所の掃除をしてくれている。ヴェル曰く、手分けができて便利だったとのことだけど、この子たちが休眠状態になるほど内包魔力を使うなんて、と考えながら土人形から目線を上げると、シュナがこちらに向けて苦笑いしていた。どうやら、ヴェルの起こしたことの尻ぬぐいでもしていたのかな・・・。


「いったい、この子たちがどうしたというのですの?」


「えっとね。この子たちは、こんなに小さくても、ものすごい力持ちでしょう?」


「ですわね」


「それに、ヒトの手が入りにくいところや、危険があったり、困難な場所での作業だってへっちゃら」


「うむ。白狼石でできておるからの」


「うん。それに、人知れずに何かを成し遂げることだって可能だよね」


「ですね。ライラック島では、上下水道の整備を既存の建物を壊さず、工事を成し遂げてくれていました」


「そう!まさにそこだよカレン!」


「・・・?」

「ん?」

「なんのことだかさっぱりですわ」

「母様・・・。自信満々に言わないでください・・・」


「あはは・・・。人知れず、地下での工事をすることができる。そうすると、既存の建物に一切の影響を与えずに工事を完了させることができる。まぁ、島では工事の途中で誤って姿を見せてしまったために、少々騒ぎにはなってしまったけれどね」


「そのことと、研究所で見た『電車』と何が関係するのじゃ?」


「ずっと、ヒトやモノを大量に輸送することを考えていたんだ。馬では運べるヒトやモノの重さに限界がある。重量軽減の魔法だって、【重力魔法】の領域だから、なかなか使い手もいない。それに時間通りに輸送ができて、しかも乗員乗客を護ることができるそんな交通手段をね。そこでまず、市民の足として、地上で簡単に乗り降りができる路面電車を作ってみようかなと考えていたのだけれど」


「ふむ。それの何がいけないのじゃ?」

「気軽に乗り降りができるのは素晴らしい考えだと思うのですが」


「最初は、そう思っていたのだけれど、電気を得る仕組みを考えると、どうしても街中に架空線を張り巡らさなければいけなくて」


「街中に線を張り巡らされたら、堪ったものではないのですわ!空を気軽に飛べないなど、いくらアル様が決めたとしても、徹底抗議するのですわ!」

「あたしも、空を自由に飛べなくなるのは、ちょっと・・・」


「うん。それに、【転移魔法】を使うときに座標に誤差が生じるかもしれないんだ」


「なるほどの。確かに、転移先が架空線上であれば、感電の恐れがあるじゃろうし。一時期問題になった、電気を好む魔獣が街に侵入する可能性も考えられるしの」


「あぁ。そのようなこともありましたね。確か、魔核発電所ができたときに。何も対策をしていなかった。というよりも、電気を好んで食べる魔獣がいたと、新種だと大騒ぎになりましたね。今では対策を講じてはいますが、空を領分としている魔獣の中に電気を好むものがいてもおかしくはないでしょうし」


「うん。魔獣は、日々新種が発見されているくらいだからね。まぁその話は置いておいて。電車のことなのだけれど、確りと魔獣対策を施したうえで、地下を走らせようかなって思ったんだ」


「なるほど。であるからこその」


「そう。この土人形たち」


「ですが、様々な許可を得なければ、工事の着工は難しくありませんか?」


「それにですわ。様々な保守点検、維持管理などはどうするのですわ?」


「工事に関しては、今回被害を受けている住宅地区の再開発を実証実験区域としていこうかなって。事前の説明は必要だけど、便利な移動手段を得ることができるという、損得でいえば、徳の部分が多い気いからね。保守などは、やっぱりヒトの手を使おうかなって。工事に関しては、土人形にやってもらいながら技術者もあつめて、保守点検方法の現地学習会を実施。電車の保守点検に関しては、魔科研での講習会と実地研修を。それに、点検施設は魔科研に隣接する形で作ろうかなって思ってる。ビステアの話では現在も空間を広げているって話だったから、そこを利用しない手はないなって」


「でも・・・あんなに大きなものが地下を走ったら、上の建物は揺れるんじゃないんですか?」


「うん。そこが損得でいえば、大きな損にあたるよね。そのほかにも、乗り場から近い遠いとかもあるし。振動に関しては、魔法陣を隧道内に刻んで対処。乗り場の遠近に関しては、父上と相談して叩き台を作ったうえで、住民たちに諮って建設を開始する。そうやって、いろいろ詰めていった後に、都市間輸送に関しての構想も練っていこうかなって。こちらは、地下ではなく地上を想定しているけどね」


「ほぇぇ。なんだか、頭が混乱しそう」


「シュナには少しばかし難しいですわね」

「そういうお母様は理解できたのですか?」

「ぜんっぜんなのですわ!」

「だから・・・。自信満々に言わないでください・・・」


「あはは・・・」


「地下を走らせるのはわかったのじゃ。次に疑問なのは」

「電気はどのようにして、動力源へと運ぶのですか?」


「それはね・・・」


 あぁ。頭の中が、あれもしたい。これもしたいであふれてきてる。でも、ここでみなと話し合うのも、父上に伝えたり、計画を練り上げていくにも必ず糧になるから。思い浮かんでくるやりたいことに関しては、一度蓋をしておかないと。やっぱり、時間遅延の魔法は役に立つなぁ。なんて・・・。

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