アルフレッドの悩み
私たちは、そのほかに気になることをビステアに聞いて、王宮へと戻った。景観を損なわず、既存の街を破壊せず軌道を建設し、馬車に変わるヒトの大量輸送手段をどう構築していくか・・・。電力を主として原動力とすると、導線の確保は重要だし。それに、魔核で動かしたり、魔法で保管するのも何か違うのだよなぁ。やっぱり、最初は勇者たちがもたらした技術を応用しながらも、魔法やそれに類するものに頼りたくはない。【科学】と呼ばれるものがいかに魔法と異なる側面を持つのかということを導き出していたい。もちろん、自然を汚すようなことは禁止とするのだけれど。
「アル・・・アル!」
「ん?どうしたのエレン」
「まったく・・・。夕食中も上の空であったし、ブツブツと1人で問答を繰り返しているかと思えば、必要最低限の行動や、話しかけられたことに対する、形だけの相槌を打つなぞ、よくできるのじゃ。しかし、話しかけている方は少し、哀れであったぞ。普段交流のなかった者もおるのじゃ。そのあたり、ゆめゆめ忘れるのではないのじゃ」
「ごめん。サクラやキョウカ。ミュールにエルにカーサさんにはあとで謝罪するよ」
「うむ。それが良いのじゃ」
「・・・失礼いたします。アルフレッド様。お疲れのご様子でしたので、蜂蜜を溶かした白湯でも・・・」
「ありがとうカレン。いただくよ」
はぁ・・・。またやってしまった。どうも考え事をしてしまうとそれ以外をおざなりにしてしまう。誰しも考え中の時は一点に集中力を割くから、仕方のないことなのだけれど。それにしたって、今回はお客人も多いのだから、完全に私の失態だ。
「はぁ・・・。上手くいかないものだね」
「なぁに。誰しも完ぺきではないということじゃ。エルリエッタやカーサは、あの完璧なアルフレッド殿下がここまで悩んでいるのは、逆に新鮮。と少し感動している節も見られたのでな。まぁ。後から謝罪することには賛成なのじゃが」
「ですが、アルフレッド様は何をお悩みになられていらっしゃったのですか」
「それはね・・・」
私が悩んでいることを2人に打ち明けると、エレンもカレンも悩み始めた。やはり、既存の街に軌道や導線を引くことは、景観の面や安全性を考えて難しいということなのだろう。その時、部屋の戸を叩く音がした。誰かと聞くと、どうやらプルーナさんがやってきたので、入室を促した。
「アルくん。相当悩んでいたようだけど」
「あはは。ごめんね心配かけて。実は――――」
「————なるほどね。確かに、今のこの王都にそれだけのことをしようとすると、いくらアルくんが主導だからといっても、反発はあるかもしれないよね」
「そうなんだよ」
うぅん・・・。何かいい手はないものだろうか。そうみんなで悩んでいると、またも部屋の戸を叩く音が。今度は、シュナとヴェルがやってきた。
「いらっしゃい。そういえば、2人は魔科研には来なかったけど」
「そうなのですわ。王宮で給仕の仕事をしていたのですわ」
「お母様は、放っておくと何をやらかすか心配だから、私も残って様子を見ていました」
「まったく・・・。過保護な娘で困ってしまうのですわ」
「お主が、手がかかりすぎるだけじゃろうに・・・」
「何か言ったのですわ!?」
「いんや?何にも言うてなぞおらん」
「どうだかなのですわ。それはそうと、アル様。この子たちは働き者ですわ!わたくし、とぉっても助かりましたのですわ!」
そういって、ヴェルは自身の持つ空間から白い塊を5つ出してきた。
「これは・・・?」
「アル様の土人形たちなのですわ!アル様の魔力が底をついたようで、休眠状態になっていいるのですわ」
「そっか。それじゃぁ少し預かって、魔力を注入・・・!」
「ん?どうしたのじゃ?」
「そっか!そうだよ!いやぁ・・・盲点だった!あれをすれば国民や既存の建物、道路を改築しなくて済む!なんで気づかなかったんだろう!ヴェル!大きな糸口を得ることができたよ!ありがとう!」
「なっ・・・なんだかよくわかりませんが、アル様から褒めていただけましたわ!あはは!嬉しいですわ!」
「お母様落ち着いて・・・」
「そんなことでいちいち喜んでからに・・・」
「嫉妬なのですわ?全然褒められていませんものね」
「そんなことはないのじゃッ!」
「どうだか?なのですわ!」
「なにおぅ!」
「お母様もエレンさんも落ち着いて!」
そうだ!そうだよ!あぁ・・・これなら、だいぶ国民にも負担をかけなくて済むかもしれないな!
「————なんだか、混とんとしてきましたが。蜂蜜の白湯割をもっと用意いたしましょう。」
これで、工事計画が進められるかもしれない!




