君の笑顔
走ってきた彼は私の顔とボールを何回か見ると状況を把握したのか私の方に顔を向けて
「悪い!大丈夫だった?!」
と少し早口で尋ねてきた。私は彼の顔をあまり見ることができず、下の方を向いたまま、
「はい。なんとか大丈夫です…。」
と答えた。そして彼にボールを渡そうと近くにあったボールを取り、立ち上がると、彼が教室に入って私の前に来た。
「ホントに大丈夫なんだよね?」
そういって彼は私の赤くなったおでこを指さした。私は驚いてパッと手で隠してしまった。だって彼は…。
「はい。大丈夫ですから…。」
「本当に?」
おんなじクラスで不登校の空音風雅なのだから…。説明すると私のクラスには不登校児童が一人いて、その人は始業式の時からずっといない私の隣の席の人。みんなは会わない方がいいって言ってたけれど私は少し会ってみたかった。まさかこんな形で会うことになるとは思っていなかったけれど…。
「おーい。どうした?やっぱり痛む?」
彼の言葉を聞いてはっとした私は彼に…。風雅君に、
「だ、大丈夫です!」
そういって顔を上げると目の前には風雅君の顔が…。また私は驚いて顔を下に向けた。すると
「お前って忙しい奴だな」
とニコッと笑いながら風雅君がいった。そして、
「俺は空音風雅。お前は?」
そう、優しい口調で尋ねられ、
「て、天冷風華です。」
私は風雅君に言った。すると風雅君は、いきなり…。
「やっべぇ!ボール片づけねぇとっ!」
大声で叫んだ。私は苦笑いすると、
「なぁ今度旧音楽室来いよ!もっと話そうぜお前面白れぇからさ」
風雅君は笑顔で私にそういってどこかに行ってしまった。私はしばらくの間風雅君の笑顔が頭の中から離れなかった…。




