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スナイパーと氷の姫

裏の世界——そこはスパイたちが日常を過ごす場所。

この物語は裏の世界でのほんわかとした生活の一部だ。


そうして朝食を終えて任務の場所に向かうもちろん俺先頭で


「着きましたね、このビルですね」

彼女は辺りを見渡して俺に言った

「正面のこのビルの屋上でスナイパーって狙える?」


俺は少し考えてから答える

「このビルの窓今カーテンで見えないんですけどこれがなくなれば…」

「じゃあ、僕がカーテン中から開けるからスナイパーで撃ってくれる?」

「了解です」

「じゃあ、あとは…無線で話そっか」

「はい」

2人はそれぞれの方向に進み、ビルに入っていく


─────────────────────────────────


屋上の風は思ったより強かった。

ライフルを構え、スコープを覗く。レンズの向こうに、ビルの内部がじわりと像を結んだ。

1階——男が二人。窓際で談笑している。こちらには気づいていない。


息を吸う。


無線の向こうで瀬奈の足音が止まった。

——カーテンが、開く。

「出来たよ」

さっきまでベットで包まっていた人とは思えないぐらい静かで感情の読み取れない声だ。

こんな敵だらけの中どうやって開けたのか疑問だが今は置いておく


引き金を引く前に、俺はいつも同じことをする。ターゲットを人としてみない。スコープの中にいるのは、ただの「的」だ。

——パン。

(一人目)

乾いた音。1階の一人が崩れる。もう一人が振り向く前に、二発目。

呼吸を整えて、スコープを上に振る。2階、3階、4階。



俺はあの人の手助けはできないかもだけど…それでもただ戦うだけだ



────────────────────────────────


(銃撃音…葵か…)

さすがボスが推薦しただけある、スナイパー以外は戦闘力は皆無と言っていたがこれだけの実力なら十分に補っている


最上階、ドアを静かに開け、歩く敵のボスを含めた26人の視線が一斉にこちらを向いた。


静かだった。


だが一斉に26人は銃口を僕に向けた


一人目が踏み込んでくる。右から拳。避けるより早く、手首を掴んで引き込む。勢いごと壁に叩きつけた。鈍い音。崩れる。

二人目、三人目が同時に来る。



葵に怪我はないか心配…一瞬そう思ったがすぐに考えを捨てた。



二人目の顎に肘を入れて、その体を盾にしながら三人目の足を払う。

四人目が銃を撃つ

──全く当たっていない


銃口が向く前に間合いを詰めて、手首ごと上に跳ね上げる。天井に向かって一発。その隙に首元に手刀。

静かに崩れていく四人目を見て、残りの21人が一歩後ずさった。



「もっと僕を楽しませてみてよ」

無表情でなおかつ冷徹な声で



すると敵のボスが喋る

「お前は誰だ?」

挑発するような声で言う


「…何で名乗る必要があるの、これから殺すのに」

「名乗るのが筋ってもんじゃねぇのかぁ?」

「そう…?名前は瀬奈だよ」

敵の残りの20人、敵のボス以外の奴らの顔が凍りつく



どれだけ舐められていたんだろう



何十秒かの沈黙の後に敵のボスが喋った

「瀬奈か…俺はお前の親父を知っているな」

「なんで、知っているの?」

静かに前に歩いていく


「10年前、お前の親父に殺されかけた。まぁもういない奴の話だがな」

ゲラゲラと笑いながら喋る敵のボスに微かに怒りを感じた



──なんだこいつ



無意識に銃を撃っていた、倒れた敵のボスを見ながら

「やっぱり、名前なんて述べるもんじゃない」


───────────────────────────────────

数十分後全ての人員を制圧した


無線で瀬奈に報告する

「全員制圧できましたか?」

「出来たよ」

「じゃあ今からそっち向かいます。あと、処理班にも連絡しておきますね」



屋上から降りて瀬奈のところまで行く

「お疲れ様です」


(なんか…機嫌悪い…?)


「うん、お疲れ様」

「何かありましたか?」

「え…あ、いや、ごめん、何でもない」


それよりこの人は返り血も怪我もゼロなんだか…遠距離ならまだしも近距離で…


そんなことを考えているうちに瀬奈が先に声を掛けてきた

「葵さ…自分で弱いとか言ってたけどさ凄い…と思うよ」

「正直…その…助かった」


──一瞬、心臓が跳ねた


「あ、は、はい、あざっす」



続けて瀬奈がまた喋った

「その、あの…あと…敬語じゃなくて…いい、その…ペアなんだし」

「あ、えと…うん、分かった、これからもよろしく瀬奈」

一瞬瀬奈の顔が赤くなった様なそんな気がしたが…気のせいか…


「それじゃ、葵、ご飯食べに行こ奢るからさ」


初めて──

瀬奈が俺の前でふふっと笑った

その笑顔は考えていたものより破壊力が強く自然と顔を背けてしまった

「奢り?言ったな忘れんなよ」

「忘れないよ」


──────────────────────────────────

「と言うことで、お疲れ様」

瀬奈が持っているのは酒、ではなくソフトドリンク。


「瀬奈もお疲れ様、瀬奈ってもしかして未成年?」

「違うよ、しっかり22歳」

なんかこの人ドヤってるけど同い年じゃん

「俺も22」


「おぉ、…見下せもしないし見下されもしないね」

「かっこよく言ってるけど結局は同い年じゃん、というかソフドリって…」

瀬奈は笑って

「…バレたね」


「まだまだお子様ですね〜」


すると瀬奈は少し怒った顔で

「悪かったな」

(意外とこの人表情がコロコロ変わるな)


しばらくそんな他愛もない話をしていたのだが瀬奈が急に真面目な顔で聞いてきた

「そういえば何で葵は自分の事弱いなんて言ってるの?僕的には強いと思うんだけどさ」



俺はしばらく間を置いてから喋った

「…俺、陰キャだからこの組織で友達とかそう言うのいなかったんだ。だけどある時一緒に任務に行った奴と初めて仲良くなったんだ。そいつは俺みたいな陰キャじゃなくて、いつもうるさくてバカでだけど、ピンチの時はいつも真っ先に助けてくれた。」


「……ある時の任務で近距離戦に持ち込めれたんだ、そん時俺は何かしなきゃだったのに動けなかった、そのまま目の前であいつは倒れた。最後まで俺を守って…あいつが死んだのは俺のせいなんだ」


俺が話している間、瀬奈は一言も口を挟まなかった。

店の中は、他の客の笑い声やグラスの触れ合う音で賑やかなのに、俺たちのテーブルだけが、妙に静かになったような気がした。


瀬奈は、ソフトドリンクの入ったグラスを両手で包み込むように持ち、氷の音がかすかに響くのを聞きながら、じっと俺を見つめていた。


いつもの無表情とは違う、どこか真剣で優しい目だった。

やがて、彼女は静かに口を開いた。

「どんなに…葵が自分が弱いと思ってもさ…僕と…任務をする時は負けるなんて思わないでね…」

「それでも…弱い自分が嫌なら、特訓しないと」


その言葉を聴いて思わず笑ってしまった。こんな時でも口下手だなんて

「そうだな、じゃあ明日から朝一緒にランニングでもするか?」

「朝早いのは…絶対嫌…だよ」

「えぇ、いいだろー可愛い相棒の願いじゃないか〜」

「今の僕には…全く葵は可愛く見えない、どちらかと言うと…悪魔だろ…」

「ひでぇー」

こんな日常も案外ありなのかも知れないな、話ながらそう思った。

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